
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、ホテル・旅館業界は長らく売上減少や予約キャンセルなどの課題に直面していましたが、現時点(23/9/19)では宿泊市場はコロナ前の水準まで戻ってきています。
瞬く間に、インバウンド需要も復活し、国内旅行客ともに良い傾向が見受けられるようになりましたが、同時に”人手不足”の問題も深刻化している事実もあるかと思います。
本記事では、コロナ禍に突入した2021年から2023年9月までの宿泊市場と、先々のマーケットについての予測をまとめていきます。宿泊客の傾向やこれからのトレンドも把握できますので、今後の取り組みにご活用いただければと思います。全国のホテル・旅館さまのOTA集客サポートやマーケティング支援をしているmicadoならではの観点もあるので、ぜひ最後までご覧ください。
2021年の宿泊市場は”価格訴求型”
Withコロナ真っ只中だった2021年の宿泊情勢は、コロナ初期の2020年対比で見ると全国的に+30〜40%くらいまで戻しました。GoToトラベルや地域独自の割引キャンペーンが開始されてからは、特にリゾートエリアや温泉地などは賑わいを取り戻した時期も度々見受けられました。
コロナ禍中でも予約が減らなかったり、むしろ予約増加したホテル・旅館もあったかと思いますが、その共通点としては、3蜜回避を徹底している施設であること。特にクラブラウンジや客室露天風呂付きなど、パーソナライズされた空間が好まれていました。また、インルームダイニング(部屋食)やロングタイムステイ(長時間滞在)など、今までに無かったニーズが見出され、宿泊需要が低いからこそ”付加価値”を提供することが予約獲得のきっかけでしたね。
コロナ禍で、取扱高が伸びた某OTAの抱えるデータの中には、高頻度でホテルを利用する上位会員の予約シェアが多く、1年に2〜3回くらい宿泊するライトユーザーは休眠顧客に。また、マーケット動向を踏まえて、激戦区での大幅な値下げが見受けられ、ほとんどが稼働率重視でのレベニュー戦略だったのではないでしょうか。
【2021年の宿泊情勢のまとめ】
・感染予防の徹底とプライベート空間の充実度が重要
・新たな宿泊ニーズを高めたホテルが目立っていた
・価格を下げて稼働率重視にシフトする施設が多かった
2022年終盤までは”宿泊体験・高付加価値”が鍵だった
2022年はコロナ禍での生活に慣れていくものの、消費者の購買意欲は低いままで、安いものではなく、安全・安心感のあるものを購入する意識が高まっていました。これは宿泊においても同様で、高品質なサービスや設備、おもてなしなどが求められていたのです。
例えば、地元の食材を活かしたレストランや、リラクゼーション、専用クラブラウンジ、アクティビティなどが予約において検討材料になっていたのはご存知でしたか?
このような高付加価値の要素が、今でも競合との差別化を図り、リピーターや新規顧客を獲得するための要素となっています。また、客室の広さや清潔感、プライベート空間も選ばれるポイントでしたね。
ホテル・旅館がこうしたニーズに対応することで、顧客満足度を向上させ、リピート率や口コミ・SNSで拡散されたことにより、コロナ禍でも安定した集客を獲得できていたのです。
2022年終盤までの宿泊業界の動向を振り返ると、価格訴求型から宿泊体験や高付加価値を重視する市場へと変化したことが明らかです。ホテル・旅館は、この変化を捉えて、顧客が求める体験やサービスを提供することで、競争力を維持・向上させる必要があります。今後もコロナ禍を踏まえたニーズに柔軟に対応し、新たな価値を提供することが求められます。
【2022年の宿泊情勢のまとめ】
・宿泊体験や高付加価値の追求が重要となり、顧客は質の高いサービスに価値を見出していた
・感染対策の徹底に基づき、非接触化やオンラインサービスの充実が求められていた
・顧客ニーズに応えるサービス改善や地域の魅力を活かしたプラン提案が求められていた
2023年はインバウンド需要の回復が逆風に!?
2022年10月に鎖国が終了し、インバウンドの受け入れをするようになってから、宿泊市場も急速に潤っている印象がございます。実際に、外資系ホテルの稼働率は急回復し、年内には国内OTAよりも、海外OTAからの予約が圧倒的に多いように見受けられました。現時点では、宿泊料金の価格高騰が当たり前のように起きており、多くの宿泊施設はインバウンドを軸にした価格設定をしているのではないでしょうか。
さらに、それと同時に”人材不足”によるオペレーションや清掃の問題も深刻化しています。
コロナ禍での人件費削減によるリストラや、自主退職による業界離れが加速してしまい、コロナ禍が過ぎ去っても、それは変わることのない状況です。
本来であれば、旅行・宿泊需要が回復してきたので、マーケティング施策による集客促進をするべきものの、人員不足による問題でなかなか取り組めない状況にあり、機会損失をしてしまっているホテル・旅館さまも少なくないでしょう。
2023年以降では”新規開業”や”民泊需要の回復”など、マーケットシェアの占有率が下がってしまうネガティブな要因もあるので、安定してきた市場での将来的なポジショニングが重要になります。
DXや外部委託による業務効率化以外にも、集客促進ができるような体制を構築し、未来の売上を見込めるような施策に取り組んでいきましょう。
【2023年の宿泊情勢のまとめ】
・インバウンド需要の回復による宿泊単価の急騰
・人材不足による集客促進を取り組めない施設の増加
・コロナ禍が過ぎてからが本番で、マーケティングの取り組みが重要
・業務効率化だけでなく、集客促進を目的としたDXや外部委託の活用
今後のホテル・旅館は”マーケティング活動”が必須!
ホテル業界は少しずつですが明るい方向に進み、コロナ前の盛り上がりに戻るまでは約2〜3年はかかると予想されていましたが、それは全体的にみたときの見解なので、特定のエリアや一つのホテル・旅館で切り抜いてみると、良くなるペースはもっと早いことが言えるでしょう。
また、目先の利益を逃してしまうと逆に窮地に追い込まれてしまう可能性があるでしょう。リスク分散をどのように実施するか….がWithコロナでは問われていて、Afterコロナでは機会損失を減らすことが問われることが考えられます。
そこでホテル・旅館は、やはりマーケティング力によって将来の認知や売上は左右するので、良い状況だからこそ、集客の流れを仕組み化できる施策に取り組むことが欠かせません。
①Webマーケティング施策
「ホテルマーケティング」が浸透しはじめてきたホテル業界ですが、実際にマーケティング活動ができているのは1〜2割くらいではないでしょうか。
マーケティングの中にもSNSマーケティングやデジタル広告、イベント企画などの認知度向上や予約増加に繋がるさまざまな施策があり、公式サイトの集客や分析・改善が特に重要ですが、すべての領域を並行して進められる施設が非常に少ないのが課題だと言えます。
インターネット上で認知をしてもらい、興味を持ってもらうための仕掛けが欠かせません。宿泊予約のステップに近づくごとに、SNSや公式サイトなどいろいろな媒体に訪れるので、どういうキッカケで予約に至るか…という施策がマーケティング活動です。
ホテルマーケティングに注力して取り組んだことがない…という施設さまは、micadoが推奨するマーケティング運用チェックリストをご覧になってみてください。
②OTA運用の最適化
多くのホテル・旅館の主な集客減になるOTA(Online Travel Agnecy)での取り組みは、ときにはマーケティング活動よりも重要になる場合があります。
Withコロナ〜Afterコロナで売上アップの鍵となる国内OTAは、マーケットに合わせた料金設定や魅力的なプラン内容、ユーザーニーズの高い割引施策などを戦略的に実施しないと予約獲得が難しくなっているのです。
ただOTAに出すだけでなく、OTAから抽出できるデータを基に、ユーザーの行動や心理や予約する時期・タイミングなども予想しながら、集客活動をしないと先々の予約獲得に活かせません。
今まではOTA集客と言われていましたが、「OTAマーケティング」の視点で取り組む必要があります。
③SNSマーケティング
近年、インターネット検索に代わりSNSで情報を探すユーザーが増加しており、友人やフォロワーが紹介する商品やサービスに注目が集まり、話題の情報をSNSで検索する傾向が強まっています。
SNSでは個人的な感想や意見が投稿されるため、無名のレビュアーが書く検索エンジンの情報よりも参考になりやすく、ホテル選びにおいても同様の現象が見られます。
例えば、SNS限定のイベント告知や特別なキャンペーン情報の発信、ユーザー投稿を活用したホテル施設や客室の紹介動画などで、充実したコンテンツを提供することができます。さらに、フォロワーとのコミュニケーションを大切にし、フィードバックを取り入れることで、ファンを増やすことが可能です。
④写真・PR動画撮影
InstagramマーケティングやOTAマーケティングで成果を出すために欠かせないのが写真撮影です。
我々が抱えている宿泊予約の分析データの中に、写真の枚数や画質、どういった写真があるかで予約行動に大きく影響する場合があります。ときには、予約転換率が0.5%以上も下がるケースもありました。
コロナ禍中になって、宿泊予約に要する時間が長くなったことから、さまざまな媒体を参考にしたり、競合施設と比較検討もしたり、より写真や動画での伝え方が重要になります。
2023年以降のホテルマーケティングを見直そう
今までOTA集客に頼っていた体制から、自社でも集客できるマーケティング力を付けていくことが必要だとご理解いただけたでしょうか。Afterコロナに向けて、宿泊情勢の変化は続き、予約するユーザーの基準などがアップデートされていくことが予想されます。
今後のホテル・旅館に求められることは戦略的なマーケティングを取り組み、なぜ予約が増えたのか・なぜ予約が減ってしまったのかを理解しながら、分析を中心としたアクションが重要です。
micadoでは、国内ホテル・旅館のOTA集客サポートをはじめ、マーケティング支援のサービスを提供しております。「OTAでの集客体制について見直しをしたい」や「OTA運用に関するノウハウを蓄積したい」など、各施設さまの目標や抱えている課題をもとに、売上アップを実現いたします。
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