「に載せてはいるけれど、うまく活用できている気がしません」。私たちmicadoはホテル・旅館の運用を支援しているので、この相談をよくいただきます。手数料は払っているのに、予約は思ったほど増えない。そうなると、価格を下げるか、セールに出るか、という打ち手に寄りがちです。けれども、で成果が出ない原因は、価格以外のところにあることが少なくありません。
この記事は、ホテル・旅館がを活用するときの考え方の全体像を扱います。を何のために使うのか、売上が伸びないときにどこから見直すのか、施策の効果を何で判断するのかを、順に整理します。各媒体の詳しい使い方は、記事の中でそれぞれの記事へご案内します。
ホテルはを、何のために使えばよいですか?
最初に、を使う目的をそろえます。は予約を取る場であると同時に、施設を知ってもらう場でもあります。目的があいまいなまま使うと、どの媒体にも同じように在庫と割引を出すことになります。皆さまの施設では、それぞれのに何を期待しているか、言葉にできるでしょうか?
予約を取る場であり、知ってもらう場でもあります
の役割は、大きく2つあります。どちらを重く見るかで、在庫の出し方も、見るべき数字も変わります。1つは、その場で予約を取ることです。もう1つは、まだ施設を知らない人に見つけてもらうことです。自社だけで施設の名前を広く知ってもらうのは簡単ではありませんが、には、特定の地域や日付で宿泊先を探している人が毎日集まっています。
この2つ目の役割を意識すると、に載せる情報の作り方が変わります。で施設を知った人が、施設の名前で検索し、公式サイトを訪れることもあります。そのとき、で見た写真やプランの印象と、公式サイトの内容がそろっていれば、施設の印象は強く残ります。反対に、と公式サイトで写真や説明がばらばらだと、同じ施設だと気づかれないこともあります。は公式サイトの競争相手であると同時に、公式サイトへの入口にもなりえます。
公式サイトとの料金をどうそろえるかは、ベストレートの記事で扱っています。
媒体ごとに、使う人も得意なことも違います
もう1つ押さえておきたいのは、を1つのものとして扱わないことです。楽天トラベル、じゃらん、一休.com、Booking.com、Agodaでは、使う人の層も、媒体が得意とする施策も違います。同じプランと同じ割引をすべての媒体に出すと、どの媒体でも中途半端になりがちです。媒体ごとに、年齢層や地域、予約から宿泊までの日数、よく売れるプランを管理画面で確かめると、それぞれの媒体で誰に何を売ればよいかが見えてきます。
私たちは、国内のでは定期的なセールへの参加を続け、海外のでは掲載順位を上げる広告かのどちらかを必ず実行する、という方針で運用しています。また、各媒体の会員向けの施策は確実に押さえます。媒体が情報の更新を求める項目も、費用がかからないので最優先で整えます。媒体ごとの特徴は、たとえばBooking.comで予約を集める方法の記事や、高価格帯に絞った一休.comの手数料を扱った一休.comの手数料の記事で、それぞれ整理しています。
で売上が伸びないとき、どこから見直せばよいですか?
目的がそろったら、売上が伸びないときの見直し方です。私たちは、原因を層に分けて、上から順に確かめるようにしています。需要が減った、他の施設に取られた、という結論に飛びつく前に、自分たちで確かめられるところから見ます。皆さまの施設では、予約が減ったとき、最初に何を疑うでしょうか?
在庫、価格、露出、ページの順に、上から確かめます
最初に確かめるのは、在庫と販売の条件です。に在庫が出ているか、特定の媒体だけ販売が止まっていないか、客室とプランの紐付けに漏れがないか、との連携に問題がないか。ここに問題があれば、どんな施策も効きません。
次に、価格です。競合と比べて高すぎないか、反対に安すぎて取れたはずの売上を逃していないか、割引やクーポンが重なっていないかを見ます。その次が露出で、検索結果に表示されているか、掲載順位が下がっていないか、広告が止まっていないかを確かめます。最後が施設のページで、表示はされているのに予約されていないなら、写真やプランの見せ方に原因があります。
この順番で確かめると、原因が下の層にあるのに上の層で手を打つ、という空振りを防げます。たとえば、在庫が出ていないのに広告を足しても、予約は増えません。需要の変化や他の媒体への流出を疑うのは、ここまでを確かめたあとです。
値下げの前に、プランと写真で選ばれる理由を作ります
の中では、多くの施設が同じ地域、同じ日付で並びます。その中で選ばれる理由を作れないと、最後は価格で比べられます。ここで値下げを選ぶと、競合も下げ、地域全体で価格が下がっていきます。私たちは、単価を下げる方向の施策は最後の手段だと考えています。
その前にできるのが、プランと写真です。プランは数を増やすより、施設の強みが伝わるものに絞ります。料理が強みなら量や内容を選べるプランを、温泉や景観が強みならそれが伝わるプランタイトルと写真を用意します。プランが多すぎると、見る人は比べることをやめてしまいます。
の担当者から、エリアの平均単価が下がっている、他の施設は価格を下げている、といった情報をもらうこともあります。こうした情報は判断の材料の1つとして受け取り、そのまま価格に反映するのではなく、自分たちの予約の動きと照らし合わせてから判断します。媒体の提案は、媒体の売上を伸ばす観点から出てくるものでもあるからです。
次の図は、で売上が伸びないときに確かめる順番を示したものです。

その課題、”自社の数字”を見れば打ち手が見えてきます。同じエリアの施設はもう動き始めています——気づかないうちの取りこぼしを止めませんか? 予約データを入れるだけで改善点が見えるLevitt Lite、その場で相談できるmicado AI、記事もツールもすべて無料。▶ **mintに無料で会員登録する**
の施策は、何で効果を判断すればよいですか?
最後に、施策の効果の判断です。には、セールや特集、広告、クーポンなど、多くの施策があります。どれも参加すれば売れるように見えますが、実際の効果は施策ごとに大きく違います。皆さまの施設では、参加したセールが効いたかどうかを、何と比べて判断しているでしょうか?
セールや特集は、参加した日と参加しない日で比べます
私たちは、施策の効果を、参加した日と参加しない日、対象の日と対象外の日を比べて確かめています。支援先のデータを社内で集計した結果では、楽天トラベルの「5と0のつく日」は、ページを見た人の数は変わらないまま、予約する割合が1.5倍前後、売上が2倍前後になりました。一方で、同じ楽天トラベルでも、得旅や季節セールのように、私たちが比べた範囲でははっきりした効果を確認できなかった企画もありました。じゃらんのスペシャルウィークのように、施設によって効き方が違い、逆効果になった例もあります。
つまり、他の施設で効いたから自分たちにも効く、とは限りません。評判のよい企画でも、毎回、参加した期間と参加しない期間の数字を並べて確かめます。「5と0のつく日」の備え方は、楽天トラベル「5と0のつく日」の記事で詳しく扱っています。
手数料と割引を合わせた、実質のコストで見ます
効果を見るときは、売上だけでなく、かかった費用も並べます。の費用は、契約の手数料だけではありません。見えにくいのは、施設が自分で選んで足していく分です。ポイントやクーポンの原資、広告や有料のプログラムの上乗せ、セールの割引が、契約の率の上に積み重なります。これを合わせた実質のコストで見ないと、売上は伸びたのに手元に残る額は減っていた、ということが起こります。施策ごとの費用を別々の担当や予算で見ていると、合計を見る人がいなくなるので、月に一度は1枚の表にまとめて合計を出します。
手数料の上乗せがどこで生まれるかは、OTA手数料の上乗せの記事で、予約1件あたりの獲得費として見る方法はOTAの実質手数料をCPAで見る記事で整理しています。
ここは率直にお伝えします
の手数料は安くありません。それでも、を使わずに必要な予約をすべて集められる施設は多くありません。私たちは、をやめるかどうかではなく、で何を取り、公式サイトで何を取るかを決めることが現実的だと考えています。媒体ごとの手元に残る額を並べて見れば、どの媒体に在庫と販促費を寄せるべきかを、感覚ではなく数字で決められます。
また、ここで紹介した見直しの順番や判断の仕方は、どの媒体にも共通する考え方です。実際の設定や企画の条件は媒体ごとに違い、時期によって変わることもあるので、各媒体の管理画面と案内で確かめてください。媒体ごとの運用の設計は、OTA運用の戦略設計の記事でも扱っています。

まとめ
は、予約を取る場であると同時に、施設を知ってもらう場でもあります。媒体ごとに使う人も得意な施策も違うので、同じ在庫と割引をすべての媒体に出すのではなく、媒体ごとに役割を決めて使います。
売上が伸びないときは、在庫、価格、露出、ページの順に上から確かめ、値下げの前にプランと写真で選ばれる理由を作ります。施策の効果は、参加した日と参加しない日を比べ、手数料と割引を合わせた実質のコストで判断します。この順番で進めれば、を価格競争の場ではなく、売上を設計する場として使えます。
読んで「なるほど」で終わらせていませんか?
施策は思いついても「どの順で・いつやるか」で止まっていませんか。いま売上を伸ばしている施設と、そうでない施設の差は、「どこで取りこぼしているか」に気づき、「いつ・何をすべきか」を数字で判断できているか。違いはそこだけです。
同じエリア・同じ規模の施設は、すでにデータを見ながら最適なタイミングで手を打ち始めています。一方で「分析する仕組みがない」「何から手をつければいいか分からない」と判断を後回しにしている間も、機会損失は静かに積み上がっていきます。
まずは”自社で実際に何が起きているか”を見るところから。それが、最適なタイミングで最適な一手を選べる施設への第一歩です。
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