
ホテルや旅館の経営には、その施設の特性や地域性、顧客ニーズなど、多くの要素が複雑に絡み合っています。さらに、すべての要素は日々変化し、対応しながらサービスを提供し続けることが求められることから、大きな業務負担となり、人手不足の現場ではなかなか困難な場合も多いです。
そんな中、「運用代行」という選択肢があり、”完全運営代行”や”Web集客支援の運営代行”など、さまざまな種類があり、各ホテル・旅館のニーズに合わせて選ぶことができます。しかし、運用代行にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。適切な運用代行業者を選び、円滑に業務を進めるためには、どのような業者を選べば良いのか、どのような業務を依頼すべきなのかを理解することが重要です。本記事では、運用代行の概念から選び方、ホテル・旅館の運用代行について詳しく解説していきます。
ホテル・旅館の運用代行とは?
ホテル・旅館の運用代行とは、ホテルや旅館の運営業務の一部または全てを外部の専門業者に委託することです。その形態は大きく分けて、完全運営代行とWeb集客支援の運営代行の2種類になります。
完全運営代行
完全運営代行とは、ホテルや旅館の全ての業務を専門業者にお任せすることを意味します。フロント業務、清掃、施設管理、飲食提供、予約管理などの全ての業務が含まれています。
外部業者が運用全体を担当することで、オーナーサイドは日々の業務から解放され、新たな事業開発や重要な意思決定に専念できるのがポイントです。
Web集客支援の運営代行
Web集客支援の運営代行は、主にWebサイトの制作やSEO対策、SNSの運用、オンライン広告の運用など、デジタルマーケティングに関わる業務を担当します。これにより、ホテルや旅館はより多くの顧客を獲得し、収益を増やすことが可能となります。
ホテル・旅館が運用代行をするメリットとは?

昨今では、人材不足を課題として抱えているホテル・旅館は特に多いのではないでしょうか?
運用代行のメリットを一言でまとめると、「最小限のリソースで最大限の成果を見込める」ことです。
宿泊施設の業務をすべて社内で完結させるのは大変ですし、何となく継続しているだけでは成果は出づらくなってしまいます。続いては、運用代行に業務を委託することによって、特に目に見えやすい3つのメリットをご紹介していきます。
1.人件費・業務負担の削減ができる
委託先に業務の一部でも運用をお任せすることで、人件費や業務負担の削減につながります。専門的な業務を自社で行う場合、専門知識を持つスタッフの採用や研修が必要となり、想定しているよりもコストや時間がかかるケースは少なくないでしょう。
最初から専門知識を持った信頼できる委託先に継続して依頼する方が、結果的に高いパフォーマンスも期待できます。
2.専門的な知識やノウハウを蓄積できる
運用代行業者は、その業界の専門的な知識とノウハウを持っています。委託することでその知識やノウハウを自社に取り入れることができます。
最終的には自社リソースで解決させたいと考えているホテル・旅館さまでも、あらかじめ契約期間や達成目標を設定するといいでしょう。
3.質の高いコンテンツやキャンペーンが期待できる
運用代行業者は専門性の高いノウハウや知識を駆使して、高品質なコンテンツや効果的なマーケティングキャンペーンの実施が期待できます。結果的には、認知度の向上や集客力の強化につながり、業績にプラスの影響を与えてくれます。
もちろん、自社で展開もできなくないですが、マーケティングを駆使して効率的なアクションを実行できるのが専門家の強みだと言えるでしょう。
ホテル・旅館が運用代行をするデメリットとは?

運用代行にも一部デメリットはございます。事前に理解し、ご自身の施設にとって適した選択を行うことが重要です。続いては、委託先に”依頼するとき”または”契約開始してから”の発生しやすい問題をご紹介していきます。
1.依頼内容によっては費用がかかる
運用代行会社に依頼をしようと考えるときに、業務内容や規模、契約期間などにより大きく変動します。
達成したい目標を基準に、どのくらいの予算を確保することが重要です。また、運用代行を行うことで得られる収益増が、その費用を上回るかどうかを慎重に考える必要があります。
ホテル・旅館が位置するフェーズによって、本当に必要なサポートなのか。契約前に打ち合わせを通してヒアリングをし、取捨選択してくれる企業は信頼しやすい傾向がございます。
2.委託先との良好な関係が築きづらい
運用代行業者との間には距離があるため、良好なコミュニケーションを保つことが難しい場合があります。そのようにときには委託先の乗り換えよりも、まずは担当者を変更してもらえないかを、商談・契約時の担当者に相談してみるのがいいと思います。
担当者の問題ではなく、提供サービス自体に不満などがある場合には、委託先の変更を検討するのがいいでしょう。運用代行サービスは対人関係であることから、ミスコミュニケーションが起きてしまうのは仕方ないことですが、日々の業務負担が増えないサポートをしてくれる委託先を見極められるといいですね。
3.知識やノウハウが蓄積できない可能性がある
運用代行サービスを利用すると、自社での業務運用に必要な知識やノウハウが思うように蓄積されにくいというデメリットもあります。
特に完全運営代行の場合は顕著に顕著に表れ、依頼をストップした場合、自社で業務を行うのが困難になる可能性があるため、この点を注意深く考える必要があるでしょう。もちろん、一部の業務を委託するときにも同様です。
参考記事:ホテル集客代行のメリット・デメリットを解説!外部委託を活用するポイントとは?
Web集客支援で依頼できる業務内容

本記事をご覧いただいている多くの方々は、現在進行形で外部委託先に何を依頼しようか検討されているのではないでしょうか?
特に最近のお問合せで多いのは、ホテルマーケティングを活用したWeb集客支援です。例えば、昔から主流となっているOTA運用代行や、マーケティングの基盤構築からと運用代行など、ホテル・旅館様のフェーズに合わせた適切なサポートを行っています。
続いては、Web集客支援に関連した運用代行サービスでどのような依頼ができるのか。宿泊業界の相場感などについてご紹介していきます。
1.マーケティング運用代行
マーケティング運用代行とは、ホテル・旅館のブランド認知度向上、予約数増加などの目的を達成するための全体的なマーケティング戦略を設計し、実行します。
最大の目標は「直販比率の向上」ですが、目に見える成果が出るまでにSEO対策、Web広告、コンテンツマーケティング、メールマーケティングなど、多角的なアプローチの効果検証を重ねる必要があります。
マーケティングの相場費用は、依頼する内容によって差があり、最低数万円から数百万円までと振れ幅は非常に大きいの特徴的です。
ホテルマーケティングについて詳しく知りたい方は、ホテルマーケティングの集客8選!施策の目的や期待できる効果を徹底解説!をご覧ください。
2.OTA運用代行
OTA運用代行は、楽天トラベルやじゃらんなどのOTA(オンライン旅行予約サイト)のプラン登録代行や料金設定、プロモーション策定、レビュー対応等のアカウント管理が一般的です。適切な業者は、各OTAで最大限の露出を得て予約数を増やす方法を知っていますが、戦略的な運用を行える代行業者はごく僅かでしょう。
OTA運用代行の費用は、1カ月あたり最低数万円〜数十万円が相場です。業者によっては、デフォルトのプランが”固定費+インセンティブ”という少し高めに設定している企業もあるので、しっかりと選定をしてから契約するようにしましょう。
micadoのOTA運用で売上を伸ばせるアルゴリズムを解説しているE-Bookもあるので、ぜひダウンロードして参考にしてみてください。
3.SNS運用代行
ホテル・旅館のSNSアカウントを管理し、定期的な投稿やプロモーション活動をします。現代社会では切り離せない媒体になり、情報収集から購入までをSNSで完結させるのが当たり前になっているのです。
主にホテルブランディングを目的として、認知度の向上やファンの獲得など、強力な集客チャネルへの成長をさせるための運用代行となります。
また、宿泊とSNSの相性はとても良く、効率的な運用を行うことで今までの何倍もの成果が期待できます。相場費用は依頼するSNSの種類や投稿頻度、広告予算などによりますが、月額数万円から数十万円程度が一般的です。
4.Webサイト運用代行
Webサイト運用代行は、ホテル・旅館のデジタルフロントを強化し、オンラインでのブランドイメージを向上させるための重要な役割を果たします。予約者が必ず訪れるのがWebサイトであるため、そのデザインや内容、使いやすさが重要となります。しかし、一部のホテル・旅館では、テクニカルな知識やデザインスキル、継続的な更新作業などが十分にできていないのではないでしょうか。
そこで専門的な技術力と最新のトレンドに精通した業者は、SEO対策やコンテンツ作成、デザインの改善などを通じて、最適化を図ることができます。また、データ分析や改善を重ねて、ユーザーにとって使いやすく魅力的なWebサイトを提供し、直接予約の最大化を目指すことが可能です。
Webサイト制作は数十万円〜数百万円が相場ですが、運用管理は数万円から委託できます。
5.イベント企画・運用代行
ホテル・旅館が認知度を一気に高め、ブランドイメージを向上させるための強力な手段です。新規顧客を獲得し、既存の顧客との関係を深化させるために、イベントの企画から運営までをサポートします。
しかし、イベントの開催は費用や人員の負担が大きいため、一部のホテル・旅館では難しいと感じられるかもしれません。そのような場合、代行業者がそのギャップを埋めることが可能です。イベント開催のノウハウを活用してコストを抑えたり、効率良い立ち回りの仕方などを考えてくれます。
費用はイベントの規模や内容によりますが、一つのイベントにつき数十万円から数百万円程度が一般的です。または、ホテル・旅館側から予算を提示することによって、その中での運用代行業者にサポートしてもらうことも委託先によってはできるでしょう。
6.オウンドメディア運用代行
ホテル・旅館が自身のブランドイメージを構築し、顧客エンゲージメントを高めるための効果的な手段となります。オウンドメディア運営は、定期的なコンテンツ制作と更新、効果分析と改善が求められ、専門的な知識や時間が必要となります。
オウンドメディア運用代行業者を利用することで、ホテル・旅館は自社のメディアを最大限に活用し、新規の顧客を獲得し、既存の顧客との深いつながりを保つことが可能となります。また、定期的な分析と改善を通じて、その効果を継続的に高めていきます。料金は業務の範囲によりますが、月額数十万円から百万円程度が目安となります。
外部委託先はホテル専門家を選ぶこと!
ホテル・旅館のコンサルティング会社へ依頼する方法を解説!未来を見据えた計画力が売上を左右する?でも詳しく説明をしているのですが、マーケティング会社は多いのですが、ホテルマーケティングに精通している企業は数少ないのはご存じでしょうか?
宿泊業界や宿泊情勢について熟知していないと、共通認識がズレてしまうことから、micadoは目的や要望に寄り添える委託先を推奨しております。
ご検討されているホテル・旅館さまは、「相場感などを詳しく知りたい」や「どのような支援をしてもらえるかなどを知りたい」などとお考えの方は、micadoのお問い合わせフォームよりご連絡をいただき、みなさまの目標達成に向けてお手伝いさせてください。