ホテル経営は、需要が回復しても「やり方次第で勝ち負けが決まる」世界です。稼働が落ちた瞬間に値下げして埋めにいく、発信が止まって予約を待つ、プランが増えるほど “誰に何を売りたいか” が曖昧になる。こうしたズレが積み重なると、売上があっても利益が残らず、経営はじわじわ苦しくなります。本記事では、ホテル経営が失敗しやすい3つの共通点と、成功する宿が必ず押さえている考え方を、すぐ見直せる形で整理します。
ここ数年で国内旅行の需要は高まり、コロナ禍中でもGoToトラベルや地域キャンペーンによる旅行を喚起させる取り組みが行われています。コロナが収束することで、も徐々に戻ってくることが期待され、日本の宿泊市場は盛り上がっていくでしょう。
しかし、宿泊市場が低迷している期間での廃業数が増加しており、この先「旅行市場が回復してもホテル市場の競争は激化すること」が予想されています。そこで今回は、ホテル経営が成功する宿と失敗する宿の違いについて紐解いていくので、ぜひお役立てください。
ホテル経営でまず押さえるべき「利益の出る構造」(KPI付き)
ホテル経営がうまくいくかどうかは、根性論ではなく“構造”で決まります。言い換えると、売上が上がっているのに資金が残らないホテルには、共通して「数字の見方」と「打ち手の順番」にズレがあります。
まずは、ホテル経営の議論で最低限そろえておきたい基本KPIを押さえましょう。ここを理解すると、値下げや広告に走る前に「本当にやるべきこと」が見えるようになります。
・・は “売上”、は “体力”
ホテルの売上は、シンプルにいえば「(どれだけ埋まったか)」と「(平均客室単価)」の掛け算で決まります。そこからよく使われる指標が(販売可能な客室あたりの売上)です。
ただし、ホテル経営で本当に重要なのは “売上そのもの” ではなく、「利益が残るか」です。売上が伸びても、コスト構造が悪ければ資金は増えません。経営判断をするなら、(営業利益に近い概念)など「利益の残り方」までセットで追うのが基本です。
「値下げで稼働を埋める」が危険な理由
が落ちたとき、最初に単価を下げるのは簡単です。しかし、値下げは一度始めると戻すのが難しく、地域全体の相場を押し下げてしまうこともあります。結果として、稼働は回復しているのに利益が残らない状態になりやすいのが怖いところです。
値下げは “最終手段” です。本来はその前に、売る相手()・売る理由(体験価値)・売り方(//SNS/口コミ)の設計を整えた上で、価格最適化に進むべきです。
経営が崩れる前に見るべき3つのサイン
ホテル経営が危うくなるときは、いきなり倒れるのではなく「悪い兆候」が先に出ます。代表的なのは次の3つです。
1つ目は、稼働を保つために値下げが常態化していること。
2つ目は、予約を増やすための情報発信や導線づくりが止まっていること。
3つ目は、現場の施策がバラバラで「誰に何を売りたいのか」が説明できないことです。
この3つが揃うと、打ち手が “短期の埋め合わせ” に偏り、長期的な収益の土台が崩れていきます。
コロナ禍中でも予約の埋まるホテルの特徴
こぐ最近まで、ラグジュアリーホテルとビジネスホテルで二極化し、「旅行だから贅沢をする」か「価格が安い/立地が良い」といった表層的な理由で宿泊先を決める傾向にありました。ですが、コロナ禍中で我々の私生活が変化したことにより、宿泊(滞在)の目的が多様化しているのです。
インターネットで宿泊予約について検索するユーザーは、確実に参考にする媒体が幅広くなっています。つまり、予約を完了するまでの道のりが枝分かれするようになり、消費者のニーズを細分化するようになったからです。
宿泊需要が下がったコロナ禍では、いつものように集客に頼りっぱなしか。以外でも、公式サイトやSNSなど、ダイレクトに顧客と接点を生み出せるマーケティング活動をしていたがで大きな差がありました。
今までは内で予約を検討している層からのアクションを待っていましたが、財布の紐がきつくなった消費者に動いてもらうためには、ホテル側の積極的な情報発信が重要なポイントです。
現在の宿泊市場は大きな節目であり、経営戦略や集客戦略を一度見直し、新しいブランドを立ち上げるつもりで取り組むことが、将来でも継続できるポイントになるでしょう。
【コロナ禍中でも予約が埋まるホテルの特徴】
・予約を待つのではなく、呼び込む集客をしている
・宿泊予約してくれそうな客層に絞り込む
・一人ひとりの顧客満足度を上げる取り組みをする
ホテル経営が失敗してしまう3つの共通点
続いて、コロナ禍中でホテル経営の危機に追い込まれてしまう共通点を3つご紹介します。ホテルマーケティングとレベニューマネジメントの観点を基に、経営リスクが上がってしまうポイントになるので、ぜひチェックしてみてください。
1. 極端にを下げてしまう
単価を下げれば予約は増える、というのは半分正しくて半分危険です。価格は需要を動かす一方で、ブランドの期待値も同時に下げます。さらに、競合が追随すると「値下げ合戦」になり、エリア全体が疲弊します。
ホテル経営で見るべきは“”だけではありません。稼働を埋めても利益が出ないなら、その施策は長続きしません。単価を落とす前に、売る相手・売り方・商品の魅せ方を変える余地がないかを疑うべきです。
特に首都圏エリアやリゾートエリアに該当する話ですが、「コロナ禍中で予約が増えないから、値下げをして他社との違いを見せるようにしている」というホテル・旅館が増えています。結果的に、地域周辺の相場が1000円〜2000円以上も下がってしまい、は維持できていても、予約売上は思うように上がっていません。
競合施設も同じような戦略を取るので、エリア全体の宿泊単価を押し下げる流れになっているのです。「レベニューマネジメントだけで予約を増やす戦術」は期待しづらくなっています。
2. 積極的に情報発信をしていない
今は「良いホテルを作れば勝手に選ばれる」時代ではありません。予約までの検討導線が複雑化し、だけでなくSNS、Google、口コミ、公式サイトなど複数の接点をまたいで意思決定されます。
ここで情報発信を止めるのは、売上の蛇口を自分で閉めているのと同じです。重要なのは発信の量ではなく「誰に向けて、何の価値を約束するか」。言い換えると、発信はマーケ施策ではなく“経営の設計” です。
前述でもお伝えしたように、予約されるのを待っていても成果は出づらくなっています。ホテル側から積極的にアクションをするかしないかでは、多額の機会損失になっている…と言っても過言ではありません。インターネット上でユーザーとの接点を増やす取り組みが、将来の売上に貢献することが考えられます。
ただし、情報発信することが目的ではなく、ユーザーとの接点を作ること。つまり、ユーザーにとってメリットがないと接点は生まれないので企画力が必要です。
3.「誰に何を売りたいのか」がわからない
ホテル経営が失敗する最大の原因は、突き詰めるとここです。が曖昧だと、プランが増えるほど訴求がぼやけ、結果として価格でしか勝負できなくなります。
100人に薄く刺すより、10人に強く刺す方が予約は伸びます。誰に、どんな体験を、どの価格帯で提供するのか。これが言語化できた瞬間に、集客・商品・発信・接客のすべてが一貫し始めます。
や公式サイトなどの全ての媒体で共通していえることは、「誰に何を届けたいか」を明確にしましょう。マーケティングの領域になりますが、100人中100人に向けて情報を発信するのではなく、100人中10人,1人に刺さる情報を届けることです。
プランの一つでも同じく、予約してほしい人物像(年代・性別・趣味)を明らかにした方が、成果の面でもみても目標を達成しやすい傾向にあります。つまり、誰に何を売りたいのかがわからないままでは、集客活動は成功しないということです。
ホテル経営を成功に近づける共通点
ホテル経営がうまくいく宿は、派手な施策をやっているというより「当たり前の設計」を丁寧に積み上げています。しかも、その設計は属人的ではなく、再現可能な形で仕組みになっています。
ここでは、成功する宿が共通して持っている要素をチェックリストにしました。上から順に埋めていくだけでも、経営のブレが減り、改善の優先順位がはっきりしてきます。
成功する宿は「誰に・何を・いくらで」が言語化できている
・予約してほしい客層(属性だけでなく“目的”まで)が言える
・選ばれる理由(体験価値)が一言で説明できる
・価格の根拠(なぜその単価なのか)が言語化できる
・口コミ・リピートが回る “仕組み” がある
・公式サイトで予約する理由がある(特典/安心/分かりやすさ)
・口コミが自然に増える導線がある(体験設計+依頼のタイミング)
・リピート・紹介が起きる仕掛けがある(記憶に残る要素+顧客管理)
やるべき改善の優先順位が決まっている
改善の順番を間違えると、頑張っているのに成果が出ません。たとえば、が曖昧なまま広告を回しても、集客効率は悪化します。
成功する宿は「設計→導線→最適化」の順で改善します。つまり、と価値を固め、売り方を整え、それから価格や広告の精度を上げます。
まず何から着手すべきか
「ホテル経営を立て直したい」「これから強くしたい」と思ったとき、やることが多すぎて手が止まるケースが多いです。そんなときは、次の3ステップで進めると迷いません。
ポイントは、価格をいじる前に “売れる理由” を作ること。順番さえ間違えなければ、同じ労力でも成果が変わります。
ステップ1:と提供価値を決める
まずは「誰の、どんな目的の宿泊に、何を提供する宿なのか」を言語化します。ここが曖昧だと、すべての施策が場当たりになります。
最初に決めるべきは、属性よりも“目的”です。観光なのか、ワーケーションなのか、記念日なのか。目的が決まれば、必要な体験価値と不要な要素が整理できます。
ステップ2:売り方(・・SNS)を設計する
次に、が予約までに通る導線を設計します。に任せきりなのか、公式サイトで予約する理由を作るのか、SNSや口コミで想起を増やすのか。
この段階で重要なのは「点の施策」ではなく「線の設計」です。どこで知って、何を見て、何が決め手になり、どこで予約するのか。これを作れる宿は強いです。
ステップ3:値付けは「最後」に最適化する
値付けは大事ですが、最後にやるべきです。価値が伝わっていない状態で値付けだけ変えると、値下げに引っ張られやすくなります。
売れる理由(体験価値)と売り方(導線)が固まった後に、やプラン設計、販路別の価格最適化に入ると、利益が残る形で売上を伸ばしやすくなります。
まとめ
この記事でお伝えした要点は、次の3つです。
・宿泊料金を下げない販売戦略の立案
・ユーザーと接点を増やす情報発信
・特定の層に絞ったターゲティング
ホテル経営を安定させるためには、目先のだけで判断するのではなく、「誰に、どのような価値を、どの価格で届けるのか」を明確にすることが重要です。自社の強みや顧客との接点を見直しながら、利益が残る集客の仕組みづくりに取り組んでいきましょう。
■ Levitt Liteとは
Levitt Liteは、予約データをアップロードするだけで、売上最大化に向けた「次の打ち手」を提示する分析ツールです。単なる可視化に留まらず、現場がすぐに動けるアクションプランの設計まで支援します。
・収益に直結する「3つの主要KPI」を可視化
・「96%の改善実績」を支えるロジックを搭載
・目標とのギャップを埋める「着地予測」
このツールが現場にもたらす変化は、大きく3つあります。
①価格競争からの脱却
競合に合わせて価格を下げる消耗戦から脱却し、自社の価値を正しく評価している顧客層と最適な販売チャネルを明確にします。無闇な安売りを抑制し、適切なへ適切な価格で届けることで、宿泊施設本来の「稼ぐ力」を取り戻します。
②PDCAの高速化
で実施した施策の効果は即座に数値で可視化されるため、施策の良否を迅速に判断できます。この改善サイクルを継続することで、担当者の経験や勘に依存しない「売れる仕組み」が組織に蓄積されていきます。
③会議の質が変わる
データに基づいてボトルネックが共有されることで、議論は感覚論から事実ベースへと転換します。次に取るべきアクションが明確になり、チーム全体が同じ方向を向いてスピーディーに意思決定・実行できる体制を構築します。