ホテル・旅館を経営する中で、「一度泊まった顧客に、もう一度選んでもらえていない」「顧客の情報がや予約エンジン、の管理画面に分かれていて、誰が何回泊まったのかわからない」「メールを配信しても、予約につながっているのか判断できない」といった課題を感じたことはありませんか?
こうした課題を解決する手段として、(顧客管理)の導入を考える施設さまもいらっしゃるかと思います。
私たちmicadoは、ホテル・旅館ののマーケティングを支援している会社です。の製品は提供していませんが、のご相談の中で、や会員の仕組み、メールの配信についてお話を伺うことがあります。その中には、「自社予約が増えたと言われても、から移っただけなのか、新しく増えたのかがわからない」というお声もあります。
を導入しても、期待していたほど再予約が増えないことがあります。原因はさまざまですが、その一つに、施設がで実現したかったことと、導入した製品が得意としていることが合っていないことがあると、私たちは考えています。
この記事では、「ホテル おすすめ」と検索しても製品を選びづらい理由と、導入する目的に合った製品と提供会社の選び方をお伝えします。これから導入する方も、今の製品を見直すか迷っている方も、ご自身の施設と照らし合わせながら読んでいただければと思います。
なぜ「ホテル おすすめ」と検索しても、自社に合う製品が決まらないのか?
を探そうと思ったとき、皆さまはどのように候補を選んでいますでしょうか?
おそらく「ホテル おすすめ」や「ホテル 比較」と検索して、上位に表示された比較記事や製品のホームページから見ているかと思います。
ただ、いくつかのページを読んでも、「どの製品にも顧客管理、配信、分析の機能が並んでいて、違いがわからない」と感じたことはありませんか?機能の一覧や導入実績は載っていても、皆さまの施設の顧客情報がどこから入ってきて、その製品で何ができるようになるのかまでは、判断しづらいからです。
例えば、同じ「を増やしたい」という目的でも、公式サイトからの予約が多い施設なら予約エンジンにすでに会員の記録がありますが、予約の大半が経由の施設では、すべての宿泊者がそろっている記録はの宿泊台帳だけ、ということもあります。どちらに向いている製品なのかは、機能の一覧を見比べてもわかりません。
料金も同じです。私たちが確認した範囲では、ホテル・旅館向けの製品の多くは公式サイトに金額を載せていません。月額の利用料のほかに、配信の通数に応じた費用やシステムをつなぐ初期費用がかかる場合もあり、会員割引やポイントの原資は施設の負担です。利用料だけを並べても、施設から出ていく費用は比べられません。
もちろん、どのような製品があるのかを知るには、比較記事は役に立ちます。ただ、見つけやすさと、皆さまの施設に合うかどうかは別の判断材料です。紹介されている機能や実績をそのまま導入する理由にすると、契約後に「思っていた使い方ができない」と感じる可能性があります。
を導入して、何を実現したいのかは明確でしょうか?
そもそも、が必要だと感じたきっかけは何だったでしょうか?
・が増えない、そもそも何人いるのかわからない ・の手数料が重く、公式サイトからの予約を増やしたい ・メールマガジンが月に1回の一斉配信だけになっている ・前回の滞在で伺った要望や記念日が、次の滞在に引き継がれていない ・複数の施設を運営していて、顧客の情報を施設ごとにしか見られない
ここで気をつけたいのは、目に見えている問題と、その原因が同じとは限らないことです。
例えば、「が増えない」と感じていても、実際には再訪している顧客が予約の経路ごとに別の人として記録され、数えられていないだけ、という場合があります。名簿は十分にあると思っていても、ご案内を送ってよい相手はその一部しかないこともあります。広告や宣伝のメールは、特定電子メール法により、原則として事前に同意をいただいた相手にしか送れないからです(総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」)。
最初から「機能が足りないからだ」と決めつけて製品を選ぶと、新しい製品に替えても、本来解決したかった課題が残ってしまいます。
そこで、を導入する目的を、大きく5つに整理してお伝えします。皆さまの施設がどれに当てはまるのか、照らし合わせながら読んでみてください。

①顧客情報を一か所にまとめ、誰が何回泊まったのかを把握したい
まずは、散らばっている顧客の情報をまとめ、一人ひとりの宿泊履歴を見られるようにしたいケースです。
「と予約エンジンで顧客の記録が別々になっている」「同じ人が何件も登録されている」「リピート率を出しても、担当者によって数字が違う」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、配信や会員制度の機能よりも先に、どのシステムから顧客の情報を取り込み、同じ人を同じ人としてまとめられるかが重要です。別々に記録された同じ人のデータを一人に束ねることを「名寄せ」と呼びます。
例えば、同じ顧客の氏名が、の予約ではローマ字、公式サイトの予約では漢字で入ると、別の人として登録されることがあります。この状態で「2回以上泊まった方へ」というご案内を送ると、初めて泊まった顧客にも届いてしまいます。
製品を比べるときは、メールアドレス、電話番号、会員ID、氏名のカナなど、何を組み合わせて同じ人と判定するのか、判定が割れたときに誰が確定するのかを確認しましょう。別の人を一人にまとめたときに施設側で直せるかどうかは、名簿を信頼して使えるかに直結するからです。
なお、経由の予約で受け取れる顧客情報の範囲と、それをご案内に使ってよいかは、媒体や契約によって違います。経由の予約が中心なら、の宿泊台帳から取り込める製品かどうかをまず見ることになります。
②公式サイトからの再予約を増やしたい
次に、の手数料を抑えるために、一度泊まった顧客に公式サイトから予約してもらいたいケースです。
「会員価格や会員ランクをつくりたい」「ポイントやクーポンで、公式サイトを選ぶ理由をつくりたい」「会員登録はしてもらえるのに、予約につながらない」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、会員の仕組みが予約と同じ場所で動くことが大切です。公式サイトの予約が多い施設であれば、予約エンジンに会員機能が組み込まれた製品から考えるのが自然です。ただし、予約エンジンを替えると、会員の記録やポイントの残高も移す必要が出てきます。
例えば、会員価格を用意したのに、登録したまま一度も予約していない会員が多い場合、必要なのは会員価格をさらに下げることではなく、登録の翌日や初めての宿泊のあとにご案内を届ける仕組みかもしれません。
確認していただきたいのは、会員の特典やクーポンを使った予約を、新しく増えた予約と、や通常の予約から移ってきた予約に分けて見られるかです。
もともと公式サイトで予約するつもりだった顧客が割引を使っただけなら、件数は増えても、施設に残る利益は減ります。割引と予約エンジンの手数料を合わせた費用が、の手数料を上回っていないかを確かめられることが、成果を判断する前提になるからです。
③メールやLINEで、相手と時期に合わせたご案内を届けたい
配信はしているものの、全員に同じ内容を送るだけになっているケースです。
「一斉配信が予約につながっているかわからない」「前回の滞在から1年たった方や、2回以上泊まった方に送り分けたい」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、配信の機能と宿泊履歴が結びついていることが必要です。メール配信ツールだけを使う方法は安く早く始められる一方で、宿泊の履歴とつながっていなければ、送り分けの条件をつくれません。また、LINEを主な接点にする製品では、LINEでつながっていない宿泊者は名簿に入りません。宿泊者全員に届けたいのか、LINEでつながった顧客との関係を深めたいのかで、合う製品は変わります。
例えば、配信を始めたところ、受け取った顧客から「詐欺メールではないか」と問い合わせが入ることがあります。施設の名前で届くはずのメールが予約システム側のドメインから送られていると、不審に感じられるのです。
製品を比べるときは、施設の独自ドメインから送れるか、配信の通数に応じて費用がかかるかを確認しましょう。送るほど費用が増える契約であれば、一斉配信を増やすより、相手と時期を絞った配信から始めるほうが、費用と効果を見比べやすくなるからです。

④接客や滞在中の対応に、顧客の情報を活かしたい
ご案内の配信よりも、フロントや客室係が顧客の情報を共有し、滞在中の対応に活かしたいケースです。
「前回いただいた要望が、次の滞在で引き継がれていない」「担当者が替わると、長く通ってくださる顧客の好みがわからなくなる」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、チェックインや滞在中に、現場のスタッフが顧客の記録を見られるかが重要です。宿泊台帳と顧客の記録がつながっている一体型の製品や、と連携して顧客の情報を表示できる製品が候補になります。
例えば、前回「枕を替えてほしい」と伺っていても、その記録が予約担当者のメモにしか残っていなければ、次の滞在でフロントは気づけません。
確認しておきたいのは、現場のスタッフがどの画面で、どのタイミングで記録を見られるか、そして誰が記録を書き足すのかです。書く人と見る人が決まっていなければ、機能があっても情報は更新されないからです。
⑤複数の施設や、宿泊以外の売上も含めて顧客を管理したい
複数の施設を運営している、またはレストランや宴会、法人の利用も含めて、顧客を一つの記録にまとめたいケースです。
「施設ごとに会員の仕組みが分かれている」「ある施設に泊まった顧客に、系列の別の施設をご案内したい」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、施設をまたいで顧客をまとめられるか、宿泊以外の会計データを取り込めるかが選ぶ基準になります。ホテル・旅館向けの製品にも複数の施設をまとめるプランを用意しているものがあり、汎用のを宿泊向けに設計して使う方法もあります。
汎用のは自由に設計できる一方で、設計と運用を担う人が社内にいることが前提です。法人営業向けの機能が中心の製品もあるため、個人の宿泊者を主な対象にしているか、設計を提供会社がどこまで担い、導入後の運用を誰が続けるのかを確認しましょう。
複数の目的に当てはまる場合は、取り組む順番も含めて考えてみてください。名簿が整理できていないうちに会員制度や配信を増やすと、送る相手を間違えたり、成果を正しく測れなかったりします。ポイントのように、一度始めるとあとから止めにくい仕組みもあるため、効果を確かめてから広げられる進め方かどうかも大切です。
契約前に確認しておきたい連携の範囲・役割分担・成果の考え方
導入する目的が見えてきたら、候補の製品で実際に何ができるのかを、提供会社に確認していきます。
まず確認したいのは、取り込めるデータの範囲です。「主要なシステムと連携できます」と言われても、皆さまの施設のや予約エンジンと標準で連携できるのか、個別の開発が必要なのかによって、費用も導入までの期間も変わります。
次に、導入から運用までの関わり方です。初期設定や名寄せのルールづくり、配信の条件づくりを提供会社がどこまで支援してくれるのか、導入後に困ったときに誰に相談できるのかを確認しておきましょう。
そして、施設側との役割分担です。配信の文面や写真の用意、特典の設計、名寄せの候補の確定、問い合わせを受ける現場への配信内容の共有など、導入後も施設側に残る仕事は多くあります。特に経由の予約が多い施設では、チェックインのときに連絡先と配信の同意をいただく運用がなければ、どの製品を入れても名簿は増えません。製品は入ってきたデータをまとめることはできても、入ってこないデータをつくることはできないからです。
最後に、何を成果として判断するかです。
顧客情報をまとめるのが目的なら、配信に同意をいただいている人数や重複の件数。公式サイトからの再予約なら、新しく増えた予約か、原資と手数料を差し引いて利益が残っているか。配信なら、予約につながった件数。接客なら、現場で記録が使われているか。目的によって見るべき数字は変わります。
ここで気をつけたいのが、数字の定義です。開封率やクリック率は、配信した数で割るのか、届いた数で割るのかなど、製品によって分母が違います。そろっていないまま前月や別の製品と比べると、成果を実際より小さく、あるいは大きく見てしまいます。製品の資料にある開封率や会員登録率も、誰の、どの条件で集計した数字なのかを確かめてから読む必要があります。
あわせて、解約するときに何を持ち出せるかも確認しておきたい点です。は、使い込むほど乗り換えにくくなる道具だからです。特定電子メール法では、同意を得たことを示す記録の保存も求められています。顧客の一覧を持ち出せても、いつ、どの画面で同意をいただいたかの記録がなければ、新しい製品から送ってよい相手かどうかを示せません。

もちろん、これらをすべて整理してから相談する必要はありません。何から確認すればいいかわからない段階でも、施設の状況を聞いたうえで、必要な機能を一緒に考えてくれる提供会社を選ぶことが大切です。
導入したは、ぶっちゃけ使いこなせているか?
ここは率直にお伝えすると、を導入したことと、再予約が増えていることは同じではありません。
を入れたのに、気づけば月に1回の一斉配信だけになっている。会員の画面はあるけれど、誰も開いていない。皆さまの施設では、そのような状態になっていないでしょうか?
その原因は、製品の性能よりも、製品の得意分野と施設が期待していたことのずれにある場合があります。ここまでお伝えしたように、経由の予約が中心の施設に予約エンジン一体型を入れても、会員の記録はたまりにくいのです。製品が悪いのではなく、施設の状況と得意分野が合っていなかったということです。
また、配信数や開封率のレポートが届くことと、課題が解決していることも同じではありません。
全員にクーポンを送った結果、もともと予約するつもりだった顧客が使っただけであれば、原資と配信の費用が出ていくだけ、ということも起こりえます。施設に何が残ったのかを見なければ、配信を続けるべきかは判断できません。
導入後に名簿が思ったように増えないといった問題が起きたとき、機能の説明を繰り返すだけなのか、使い方を一緒に見直してくれるのか。そこにも提供会社としての違いが表れます。だからこそ、契約前には導入実績だけでなく、「導入したものの使われなくなった施設に、どのように対応したのか」も聞いてみていただきたいです。
長く同じ製品を使い続けることが合っている施設さまもいらっしゃいます。ただ、「やめようと思えばやめられる」状態で続けるのと、「やめられないから」続けるのとでは、意味が違います。
これは私たちmicadoにも同じことが言えます。に関わるご相談に対して、何ができて、どこまで関われるのかを、具体的にお伝えする必要があると考えています。
micadoが選びとの運用でお手伝いできること
ここまでご覧になって、自社に必要なを考えるためのポイントは整理できましたでしょうか?
最初にお伝えしたとおり、micadoはの製品を提供していません。システムの連携やデータの移行、初期設定は提供会社の領域で、この記事で扱った課題のすべてを私たちが支援しているわけではありません。
micadoが専門としているのは、マーケティングを通じて、宿泊施設が売上目標を達成し続けられる状態をつくることです。に関わるご相談では、マーケティング支援として、名簿と配信をどう予約と売上につなげるかを一緒に考えます。
まずは、現在の予約データをもとに、目標に対して売上がどのくらい足りないのか、その差がどのチャネルや客室タイプ、予約の時期から生まれているのかを整理します。分析AI「Levitt」が今日までの予約データとマーケティング活動をもとに、必要な施策を数値の説明と一緒に提案し、micadoのマーケターがそれをもとに動きます。
そのうえで、や公式サイトからの予約を増やすことが優先なのか、新しい顧客に知ってもらうことが先なのかを判断し、誰に、いつ、何をご案内するのか、特典の原資をどこまでかけるのかを考えます。
施策を実行したあとは、定例の打ち合わせで結果を振り返り、新しく増えた予約なのか、割引や手数料を差し引いて利益が残っているのかを確認しながら、次の取り組みをすり合わせます。関わり方は、の取り組みが動いていて最適化したい、やることはわかっているが作業する人手がない、何から手をつければいいかわからない、といった施設さまの状況に合わせて考えます。

「を入れたものの、配信が月1回で止まっている」「が増えない原因が、名簿にあるのか、別のところにあるのかわからない」「今の製品を続けるべきか、何を頼むべきか迷っている」という段階でも構いません。
一度、私たちとお話ししてみませんか?
まずは現在の状況と、これから実現したいことをお聞かせください。皆さまの施設に必要な取り組みと、私たちがお手伝いできることを、一緒に整理するところから始められればと思います。