SNSを始めたものの、何を投稿すればよいか、どこまで力を入れればよいか分からない。私たちmicadoはホテル・旅館のSNSと集客を支援していますが、こうした相談の多くは、SNSでできることの全体像を整理しないまま、目の前の投稿から始めてしまったことに原因があります。アカウントの運用、広告、キャンペーン、、顧客の声を聞くこと。SNSのマーケティングには複数の手法があり、それぞれ役割が違います。
この記事は、ホテルのSNSマーケティングの入口として、全体像と始める順番を整理します。個々の手法の詳しいやり方は、それぞれを扱った記事につないでいきます。
ホテルのSNSマーケティングは、何を担うのですか?
最初に、SNSがホテルの集客の中で何を担うのかをそろえます。SNSだけで予約が完結することは多くありません。施設を知り、確かめ、比べ、予約する。その流れのどこで役に立つのかを押さえておくと、力の入れどころが見えてきます。皆さまの施設では、SNSに何を期待しているか、言葉にできるでしょうか?
知ってもらい、確かめてもらい、広げてもらう
SNSが担う役割は、大きく3つです。1つ目は、まだ施設を知らない人に知ってもらうこと。写真や動画で施設の雰囲気や過ごし方を伝えられるSNSは、宿泊施設と相性の良い入口です。
2つ目は、施設を知った人に確かめてもらうことです。旅行を考えている人は、検索やで見つけた施設を、SNSで実際の様子や泊まった人の投稿から確かめることがあります。このとき、施設のアカウントや、宿泊した人の投稿が、選ぶ決め手の1つになります。
3つ目は、泊まった人に広げてもらうことです。宿泊した人が写真や感想を投稿すれば、その人のつながりの中で施設が知られていきます。施設が発信するより、実際に泊まった人の投稿のほうが信頼されやすい場面もあります。
この3つのうち、どこを強めたいのかによって、選ぶ手法が変わります。たとえば、知名度はあるのに予約につながらない施設なら確かめてもらう役割を、は多いのに新しい顧客が少ない施設なら知ってもらう役割を強めます。
手法は5つあり、役割がそれぞれ違います
ホテルで使えるSNSマーケティングの手法は、主に5つです。施設のアカウントを運用して情報を発信すること、SNS上に広告を出すこと、投稿を促すキャンペーンを行うこと、に紹介してもらうこと、そしてSNS上の顧客の声を集めて生かすことです。
役割で分けると、知ってもらうことに強いのは広告と、確かめてもらうことに強いのはアカウントの運用、広げてもらうことに強いのはキャンペーンと宿泊した人の投稿です。顧客の声を集めることは、すべての土台になります。何が評価され、何に不満が出ているかが分かれば、発信の中身もサービスも改善できるからです。
すべてを一度に始める必要はありません。施設の人手と、強めたい役割に合わせて、順番に取り組みます。SNSの種類も同じです。写真や動画で雰囲気を伝えやすいもの、情報が広がりやすいもの、既存の顧客との連絡に向くものなど、それぞれ得意なことが違います。届けたい人がよく使うものを1つ選び、そこで続けられる形を作ってから広げてください。
SNSマーケティングは、何から始めればよいですか?
手法が分かったら、始める順番です。いきなり広告やキャンペーンから始めると、興味を持った人の受け皿がないまま、費用だけがかかります。私たちは、誰に何を伝えるかを決め、アカウントを整え、それから広げる施策に進む順番を勧めています。皆さまの施設のアカウントは、初めて見た人に、どんな施設か伝わる状態になっているでしょうか?
誰に、何を伝えるかを先に決めます
最初に決めるのは、SNSで誰に届けたいのか、そしてその人に施設の何を伝えるのかです。若い世代に知ってもらいたいのか、記念日の旅行を考えている人に選ばれたいのか。届けたい人によって、使うSNSも、投稿の中身も変わります。すべての人に届けようとすると、誰にも響かない発信になりがちです。まずは泊まってほしい人を1つに絞ってください。若い世代とSNSでの接点のつくり方は、Z世代とSNS集客の記事で扱っています。
伝える中身は、施設が見せたいものではなく、届けたい人が知りたいものから選びます。宿泊した人の口コミで繰り返しほめられている点は、そのまま発信の題材になります。客室の広さ、食事の雰囲気、周辺での過ごし方など、予約を決める前に確かめたいことです。投稿の写真や文字の雰囲気をそろえ、施設らしさを保つことも大切です。施設らしい発信を続け、価値ある投稿を集める考え方は、ホテルのSNSブランディングの記事にまとめています。
アカウントを、予約への受け皿として整えます
次に整えるのは、アカウントそのものです。投稿を見て興味を持った人は、プロフィールに来て、どんな施設か、どうすれば泊まれるかを確かめます。ここで答えが見つからなければ、興味は予約になる前に途切れます。
名前と自己紹介で、どこにある、どんな施設かを伝えること。プロフィールのリンクから、公式サイトのプランを選べる画面へすぐにたどり着けること。よくある質問への答えを、保存した投稿などで見られるようにしておくこと。こうした受け皿が整って初めて、広げる施策の効果が予約として残ります。公式サイトの側も、スマートフォンで迷わず予約できる状態かを確かめておきます。SNSから来た人は、多くの場合スマートフォンで見ているからです。プロフィールから予約への導線は、SNSのプロフィールを予約につなげる記事で詳しく扱っています。

決める、整える、広げる。この順に進めると、SNSにかけた手間が予約につながりやすくなります。
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広げる施策は、どう選んで使い分けますか?
受け皿が整ったら、知ってもらう範囲を広げる施策に進みます。キャンペーン、、広告は、どれも効果が出れば大きい一方、決まりごとや費用の面で注意が要ります。皆さまの施設では、広げる施策を始める前に、何を成果とするかを決めているでしょうか?
キャンペーンとは、決まりごとを確かめてから
投稿を促すキャンペーンは、宿泊した人やフォロワーに参加してもらい、施設を広げてもらう施策です。参加しやすい仕組みにすれば話題になりやすい反面、SNSごとにキャンペーンの決まりがあり、内容によっては規約に反することがあります。企画の前に、使うSNSの公式の規約を確かめてください。景品を出す場合は、景品の額などについての決まりにも注意が必要です。キャンペーンの例は、観光・ホテル業界のSNSキャンペーンの記事にまとめています。
に紹介してもらう場合は、2023年10月から始まったステルスマーケティングの規制に注意が必要です。広告であることが分からない投稿は景品表示法違反となり、責任を問われるのは依頼した施設の側です。広告であることを示す表記を、投稿の本文に明瞭に入れてもらうよう、依頼の段階で取り決めておきます。起用するかどうかの判断と、規制で気をつけることは、ホテルのインフルエンサー起用の記事で扱っています。
ここは率直にお伝えします
SNSは、広告を出さなければ費用をかけずに始められます。ただし、続けるには人の手間がかかります。投稿を作り、反応を見て、コメントに応える。担当者が他の業務と兼ねている施設では、続けられる頻度と範囲から始めるのが現実的です。投稿の題材を月ごとにあらかじめ決めておく、写真をまとめて撮っておくといった工夫で、負担はかなり軽くなります。
また、フォロワーの数は、SNSの成果のすべてではありません。フォロワーが少なくても、施設を選ぶ決め手になる投稿を続けている施設はあります。SNSの活用事例は、ホテル・旅館のTwitter活用事例の記事でも紹介しています。成果は、プロフィールの閲覧、公式サイトへの訪問、施設名での検索、予約といった数字で確かめてください。SNSで知った人がで予約することもあるので、公式サイトの予約だけで判断しないことも大切です。
SNSの利用者数のランキングや、視覚情報の処理速度に関する数字は、時点によって大きく変わるか、一次情報を確かめられないものが多いため、この記事では載せていません。

まとめ
ホテルのSNSマーケティングは、知ってもらい、確かめてもらい、広げてもらう役割を担います。手法はアカウントの運用、広告、キャンペーン、、顧客の声を集めることの5つで、それぞれ強い役割が違います。
始めるときは、誰に何を伝えるかを決め、アカウントを予約への受け皿として整えてから、広げる施策に進みます。キャンペーンはSNSの規約を、はステルスマーケティングの規制を確かめること。続けられる範囲から始め、数字で確かめる。この順で進めれば、SNSを予約につながる入口として育てられます。
読んで「なるほど」で終わらせていませんか?
施策は思いついても「どの順で・いつやるか」で止まっていませんか。いま売上を伸ばしている施設と、そうでない施設の差は、「どこで取りこぼしているか」に気づき、「いつ・何をすべきか」を数字で判断できているか。違いはそこだけです。
同じエリア・同じ規模の施設は、すでにデータを見ながら最適なタイミングで手を打ち始めています。一方で「分析する仕組みがない」「何から手をつければいいか分からない」と判断を後回しにしている間も、機会損失は静かに積み上がっていきます。
まずは”自社で実際に何が起きているか”を見るところから。それが、最適なタイミングで最適な一手を選べる施設への第一歩です。
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