「に泊まってもらえば、予約が増えるのではないか」。私たちmicadoはホテル・旅館のSNSと集客を支援していますが、この相談は今も多く寄せられます。ただ、起用したものの、投稿の後に何も残らなかったという声も同じくらい聞きます。差を分けるのは、誰を選ぶかより前の、起用するかどうかの判断と、投稿の後の受け皿です。
この記事では、を起用するかどうかの判断と、2023年10月から始まったステルスマーケティングの規制で施設が気をつけることを扱います。規制については、消費者庁の公式の案内で確かめられた範囲だけを書きます。
を起用すべきか、何で判断しますか?
最初に、起用するかどうかを決める物差しをそろえます。流行っているから、競合がやっているから、という理由で始めると、何を成果とするかが曖昧なまま終わります。皆さまの施設では、の投稿で、何が起きれば成功だと言えるでしょうか?
目的と受け皿が決まってから、起用を考えます
の投稿で期待できるのは、主に施設を知ってもらうことです。投稿を見た人がすぐに予約するとは限らず、多くはプロフィールや公式サイト、で施設を調べるところから始まります。ですから、起用の前に、何のために起用するのかを決めておきます。新しい客層に知ってもらいたいのか、閑散期の特定のプランを広めたいのか、施設の雰囲気を伝える写真を増やしたいのかで、選ぶ人も、測る数字も変わります。
もう1つ欠かせないのが、投稿を見た人の受け皿です。施設のSNSのプロフィールから公式サイトのプランへすぐにたどり着けるか、公式サイトがスマートフォンで予約しやすいか。ここが整っていなければ、投稿で生まれた興味は予約になる前に途切れます。投稿で紹介してもらうプランが、公式サイトやで実際に予約できる状態になっているかも、事前に確かめておきます。プロフィールから予約への導線は、SNSのプロフィールを予約につなげる記事で扱っています。
フォロワーの数より、中身と投稿の質を見ます
起用する人を選ぶとき、フォロワーの数だけで判断するのは危険です。見かけ上の数が多くても、施設の顧客になりうる人がどれだけ含まれているかは別の話です。購入されたフォロワーが多ければ、投稿が届いても予約にはつながりません。
私たちが見るのは、まず投稿への反応の中身です。いいねの数だけでなく、旅行の計画に関するコメントや質問がついているか、保存されていそうな投稿か。次に、普段から旅行や宿泊の投稿をしているか、その人のフォロワーが施設の泊まってほしい人と重なっているかです。過去のPRの投稿で、広告であることをきちんと示しているかも確かめます。後で触れる規制への姿勢が分かるからです。
撮影や文章の質も大切です。施設の写真を、その人らしい目線で魅力的に伝えられるか。過去の宿泊施設の投稿を見れば、だいたいの見当がつきます。候補が決まったら、撮影してほしい場面や伝えたい魅力を共有しつつ、表現そのものは相手に任せるのが基本です。施設が言葉を細かく指定しすぎると、その人らしさが消え、フォロワーにも響きにくくなります。
ステルスマーケティングの規制で、施設は何に気をつけますか?
を起用するなら、避けて通れないのがステルスマーケティングの規制です。広告であることを隠した投稿は、2023年10月から法律違反になりました。しかも、責任を問われるのは投稿した人ではなく、依頼した施設の側です。皆さまの施設では、招待した人の投稿に広告であることが示されているかを確かめているでしょうか?
規制の対象は、依頼した事業者です
消費者庁の案内によると、2023年10月1日から、景品表示法にもとづく告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」により、ステルスマーケティングが景品表示法違反となりました。対象は、インターネット上のSNSの投稿や口コミだけでなく、テレビや雑誌などの表示も含まれます。
注意したいのは、規制の対象が、商品やサービスを提供する事業者、つまり広告主だという点です。消費者庁は、依頼を受けて投稿するなどの第三者は規制の対象にならないと説明しています。に依頼して投稿してもらう場合、その投稿は施設の広告として扱われ、広告であることが分からなければ、施設が違反を問われることになります。
違反が認められた場合、消費者庁は事業者に措置命令を行い、誤認の排除や再発の防止を求めるとされています。違反の事実までは認められなくても、そのおそれがあれば指導が行われることもあります。
無償の招待でも、関与すれば広告になります
「お金を払っていない招待だから広告ではない」とは言い切れません。消費者庁のQ&Aでは、事業者が投稿の内容の決定に関与しているかどうかが判断の軸とされています。明示的に依頼していなくても、やり取りの内容や提供の目的、これまでの取引の関係などから、関与があると判断される場合があります。一方で、無償で提供したうえで、相手が自分の意思で自由に投稿する場合は、事業者の表示に当たらないとされています。高い評価を条件にするなど、内容を指定すれば事業者の表示に当たります。
広告であることを示す方法として、Q&Aでは「広告」「宣伝」「」「PR」といった言葉を示す方法が挙げられています。ただし、運用基準では、目に入りにくい末尾にだけ書く場合、大量のハッシュタグの中に紛れ込ませる場合、動画の途中や末尾にだけ、あるいは認識できないほど短い時間だけ表示する場合などは、明瞭とは言えないとされています。依頼する前に、示し方まで取り決めておいてください。

目的と受け皿を決め、人を選び、示し方まで取り決める。この順で進めると、起用の失敗を減らせます。
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起用の効果は、どう確かめればよいですか?
の施策は、効果が見えにくいと言われます。見えにくいのは、多くの場合、投稿の前に何を測るかを決めていないからです。最後に、私たちが確かめ方として勧めていることと、気をつけていることをお伝えします。皆さまの施設では、投稿の前と後で、どの数字を比べるか決めているでしょうか?
投稿の前に、測る数字と比べる期間を決めます
測る数字は、起用の目的によって変わります。知ってもらうことが目的なら、施設のアカウントのプロフィールの閲覧やフォロワーの増え方、施設名での検索の推移を見ます。予約が目的なら、投稿に添えてもらうリンクに、どこから来たかを示す印を付け、公式サイトのアクセス解析でその経路の訪問と予約を数えます。
比べる期間も、投稿の前に決めておきます。投稿の直後だけでなく、数週間から数か月の推移を見ることが大切です。投稿を見た人が、日程が決まってから予約するまでには時間がかかることがあるからです。連休やイベントの時期と重なると、投稿の効果か需要の変化かが分からなくなるので、比べる時期にも気をつけます。
投稿でどんな反応があったかも記録しておきます。コメントで多かった質問は、公式サイトやプロフィールに足すべき情報の手がかりになります。かかった費用と、宿泊の提供にかかった原価も記録しておくと、次に起用するかどうかを判断する材料になります。
ここは率直にお伝えします
の起用は、1回の投稿で予約が大きく増える施策ではありません。投稿で知った人が、施設のSNSや公式サイトで情報を確かめ、比べたうえで予約する。その流れの入口をつくる施策です。だからこそ、単発で終わらせず、相性の良い人と継続して関係を築くほうが、成果は積み上がりやすくなります。入口だけ広げても、受け皿が整っていなければ成果は残りません。
また、規制への対応は、施設の信頼に直結します。広告であることを隠した投稿は、法律の問題であるだけでなく、見抜かれたときに施設の評価を大きく損ないます。示し方を取り決め、投稿後に確かめるところまでを、施設の仕事と考えてください。規制の詳しい考え方は、消費者庁が公表している運用基準とQ&Aで確かめられます。
市場規模や調査の数字は、時点が古いものや一次情報を確かめられないものが多いため、この記事では載せていません。SNSでの接点の全体像は、Z世代とSNS集客の記事でも扱っています。SNSの運用を外部に任せるかどうかを考えるときは、ホテルのSNS運用代行の選び方の記事が参考になります。

まとめ
の起用は、目的と受け皿が決まってから考えます。選ぶときは、フォロワーの数より、反応の中身、フォロワーの重なり、投稿の質、そして広告の示し方への姿勢を見ます。
2023年10月から、広告であることを隠した表示は景品表示法違反となり、対象は依頼した事業者です。無償の招待でも、内容に関与すれば広告として扱われます。「PR」などの示し方を事前に取り決め、測る数字と期間を投稿の前に決めておく。この順で進めれば、起用を一度きりの話題で終わらせず、信頼を損なわない集客につなげられます。
読んで「なるほど」で終わらせていませんか?
施策は思いついても「どの順で・いつやるか」で止まっていませんか。いま売上を伸ばしている施設と、そうでない施設の差は、「どこで取りこぼしているか」に気づき、「いつ・何をすべきか」を数字で判断できているか。違いはそこだけです。
同じエリア・同じ規模の施設は、すでにデータを見ながら最適なタイミングで手を打ち始めています。一方で「分析する仕組みがない」「何から手をつければいいか分からない」と判断を後回しにしている間も、機会損失は静かに積み上がっていきます。
まずは”自社で実際に何が起きているか”を見るところから。それが、最適なタイミングで最適な一手を選べる施設への第一歩です。
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を起用すべきか迷っている、招待した投稿の示し方が適切か不安だ、という段階でも構いません。起用の目的と、施設のSNSや公式サイトの状態をお聞かせいただければ、受け皿の整え方から一緒に考えます。