「の顧客に来てもらうには、何から始めればよいですか」。私たちmicadoはホテル・旅館のマーケティングと運用を支援しているので、この相談をよくいただきます。海外に載せる、多言語のサイトを作る、SNSで発信する、と手段はいくつも思い浮かびますが、迎える側の準備が整っていないまま集客だけを進めている施設も少なくありません。
この記事では、の集客を、来てもらう手段の前に迎える準備から整理します。多言語の情報、料金の見え方と決済、予約までの導線の3つです。海外の使い分けと、海外向けの検索対策は別の記事で扱い、ここでは受け入れの準備に絞ります。
の集客は、何から始めればよいですか?
手段を選ぶ前に、始める順番を決めておきます。集客の手段だけを先に増やすと、予約の手前で取りこぼす原因が残ったままになるからです。皆さまの施設では、いまどの国や地域の方が泊まっているかを把握できているでしょうか?
来てもらう前に、迎える準備を整えます
日本政府観光局(JNTO)が2026年1月に発表した推計値では、2025年の訪日外客数は約4,268万人で、年間で初めて4,000万人を超えました。日本を訪れる人の数そのものは、集客の前提として十分にあります。
ただ、訪れる人が多いことと、自社が選ばれることは別です。予約を検討している人は、施設の情報を自分の言葉で読めるか、料金が分かりやすいか、予約や支払いで迷わないかを確かめてから決めます。どこか1つで不安が残れば、ほかの施設へ移ります。
だからこそ、私たちは集客の手段を増やす前に、迎える準備を整えることをおすすめしています。準備が整っていれば、海外や検索、SNSから来た人を、そのまま予約までつなげられます。
誰が泊まりに来ているかを、国と地域で確かめます
とひとくくりにすると、準備の範囲が広がりすぎます。まず、いま泊まりに来ている方の国や地域を、多い順に3つほど挙げます。すでに泊まっているということは、何かしら施設と合う理由があるということです。
国や地域によって、使う言語、予約に使う媒体、旅の日数、気にする情報は違います。たとえば、連泊が多い国からの予約が目立つなら、洗濯や周辺での食事の情報が役立ちます。上位の国や地域が決まれば、どの言語の情報から整え、どの媒体の導線を先に見直すかが決まります。国や地域ごとの予約は、の予約データや自社の予約の記録から集計できます。
接客の場面で直接話を聞く、口コミを国や地域ごとに読む、といった方法でも、それぞれの方が何に喜び、何に困ったかが見えてきます。
集客の手段と、受け入れの準備は分けて考えます
の集客は、来てもらう手段と、迎える準備に分けると整理しやすくなります。来てもらう手段は、海外への掲載、海外向けの検索対策、SNSでの発信などです。迎える準備は、情報、料金と決済、予約の導線です。
手段のほうが目に見える成果につながりやすいので、そちらから手をつけがちです。しかし、準備が整っていなければ、手段で集めた人を予約の手前で逃してしまいます。広告や掲載に費用をかけるほど、その取りこぼしも大きくなります。準備を先に整え、手段は後から足す、という順番で考えます。
海外の媒体ごとの役割と始める順番は、海外OTAでインバウンド対策を扱った記事、海外向けの検索対策は海外と日本のSEOの違いを扱った記事で整理しています。
向けの多言語の情報は、何をそろえますか?
迎える準備の1つ目は、情報です。言葉の壁は、の集客で最初に挙がる課題ですが、すべてを多言語にする必要はありません。皆さまの施設の情報は、日本語を読めない方が予約を決めるのに十分な内容になっているでしょうか?
予約の前に知りたいことに、先に答えます
予約を検討している方が知りたいことは、ある程度決まっています。最寄りの駅や空港からの行き方、客室の広さとベッドの数や大きさ、食事の内容と時間、チェックインとチェックアウトの時間、料金に何が含まれているか、などです。
日本ならではの過ごし方も、先に説明しておきます。大浴場の入り方や、館内での浴衣の扱い、食事の時間が決まっていることなど、国内の方には当たり前でも、初めての方には分からないことがあります。事前に知っていれば不安にならないことを、予約の前に伝えておくと、予約のためらいを減らせます。
情報は、まず上位の国や地域の言語から整えます。英語は多くの国の方が読めるので、最初の1つとして用意しておくと役立ちます。
機械翻訳のままにせず、確かめます
多言語の情報を用意するとき、機械翻訳をそのまま使っている施設は少なくありません。機械翻訳は手早く用意できる一方で、施設の名前や料理の名前、日本独自のサービスが意味の通らない言葉に置き換わることがあります。
私たちは、予約が伸びない原因を確かめるとき、多言語の情報の質も見ています。意味が通らない説明は、施設そのものへの信頼を下げます。翻訳した後は、その言語を母語とする方に読んでもらう、少なくとも料金と規則にかかわる部分は人の目で確かめる、といった手間をかけます。キャンセル規定や追加料金の説明が誤って伝わると、到着後の行き違いにつながるからです。
ごとに表現がばらばらになっていないかも確かめます。媒体ごとに説明が違うと、どれが正しい情報なのか分からなくなります。
Googleマップの情報を、そろえておきます
の方は、立地を基準に施設を選ぶことが多く、Googleマップで施設を探し、比べる人も少なくありません。Googleマップに載る施設の情報は、言語の壁をこえて目に入る情報の1つです。
住所、電話番号、営業の情報、公式サイトへのリンク、写真を最新の状態にそろえます。外観や入口の写真があれば、初めて訪れる方が迷わずに到着できます。口コミには、投稿された言語に合わせて返信すると、施設の対応の姿勢が伝わります。
Googleマップの情報は、や公式サイトの情報と食い違っていないかもあわせて確かめます。営業時間や駐車場、設備の情報が媒体ごとに違っていると、どれを信じてよいか分からなくなります。情報を変えたときは、すべての媒体をまとめて直す手順を決めておきます。

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料金と予約の導線は、どう整えればよいですか?
迎える準備の2つ目と3つ目は、料金と決済、そして予約までの導線です。情報が整っていても、料金が分かりにくかったり、予約の途中で止まったりすれば、予約にはなりません。皆さまの施設の予約画面を、海外から最後まで操作してみたことはあるでしょうか?
料金の見え方と、支払いの方法をそろえます
海外では、税金や手数料を含めた額で表示される場合があり、国内の表示に慣れた施設から見ると、思った以上に高く見えることがあります。私たちが予約の伸びない原因を確かめるときも、海外で税や為替を含めた料金が割高に見えていないかを確かめます。
料金に何が含まれ、何が含まれていないかも明記します。宿泊税や入湯税のように現地で別に払うものがあれば、予約の前に伝えておきます。到着してから知らされると、口コミでの不満につながりやすいからです。
支払いの方法は、事前に払うか、現地で払うかを決めておきます。直前のキャンセルが多い場合は、事前決済の比率を上げる方法もあります。考え方は、事前決済へ誘導するキャンセル対策の記事で整理しています。
公式サイトの予約画面を、最後まで確かめます
の方の中には、で施設を見つけた後、公式サイトを確かめてから予約する方もいます。そのとき、公式サイトに英語のページがあっても、予約の画面に進んだ途端に日本語だけになる、ということがよくあります。
予約画面の言語、料金の通貨の表示、入力欄の形式を確かめます。海外の住所や電話番号が入力できない、名前の入力欄がカタカナを求めている、といった小さな壁で予約は止まります。施設の担当者自身が、海外の方になったつもりで予約の最後の画面まで進んでみると、どこで止まるかが分かります。スマートフォンでも同じように確かめておきます。
公式サイトの予約画面で離脱が起きる段階と、その直し方は、予約完了率を上げる記事で扱っています。
ここは率直にお伝えします
の需要は、為替や国際情勢、航空便の状況によって、国や地域ごとに大きく動きます。この記事で紹介した訪日外客数は2025年の推計値で、今後も同じように伸びるとは限りません。特定の国や地域に頼りすぎず、上位の国や地域の動きを定期的に確かめることをおすすめします。数字は日本政府観光局が毎月公表しているので、最新の値で確かめてください。
また、受け入れの準備を整えたからといって、すぐに予約が増えるわけではありません。準備は、集客の手段の効果を予約まで届けるための土台です。土台が整ってから、海外や検索、SNSといった手段を足していくほうが、費用を無駄にせずに済みます。料金を国内とで分けて考える方法は、二重価格戦略を扱った記事で整理しています。

まとめ
の集客は、来てもらう手段の前に、迎える準備から整えます。まず、いま泊まっている方の国や地域を多い順に確かめ、準備の優先順位を決めます。
情報は、予約の前に知りたいことと日本ならではの過ごし方に先に答え、機械翻訳のままにせず確かめ、Googleマップの情報もそろえます。料金は何が含まれるかを明記し、税や現地で払うものを予約の前に伝えます。公式サイトの予約画面は、海外の方の立場で最後まで確かめます。この土台が整ってから、海外や検索、SNSで集客の手段を足していきます。
読んで「なるほど」で終わらせていませんか?
施策は思いついても「どの順で・いつやるか」で止まっていませんか。いま売上を伸ばしている施設と、そうでない施設の差は、「どこで取りこぼしているか」に気づき、「いつ・何をすべきか」を数字で判断できているか。違いはそこだけです。
同じエリア・同じ規模の施設は、すでにデータを見ながら最適なタイミングで手を打ち始めています。一方で「分析する仕組みがない」「何から手をつければいいか分からない」と判断を後回しにしている間も、機会損失は静かに積み上がっていきます。
まずは”自社で実際に何が起きているか”を見るところから。それが、最適なタイミングで最適な一手を選べる施設への第一歩です。
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いま泊まっている方の国や地域から、どの言語の情報と、どの予約の導線から整えるべきかを、施設の予約データと施設ページをもとに一緒に整理します。を始めるかどうか迷っている段階でも構いません。答えを用意してからではなく、迷っている段階でご相談ください。