ホテル・旅館を運営する中で、「から入った予約を、台帳や別のシステムに手で写している」「フロントの人手が足りず、チェックインや精算の時間に業務が詰まる」「今のシステムが古くなり、入れ替えを考えなければならない」といった課題を感じたことはありませんか?
そうしたときに検討されるのが、(宿泊管理システム)の導入や入れ替えです。予約の管理から精算、客室の管理まで、施設の運営に関わる情報が集まるシステムなので、どの製品を選ぶかによって、日々の業務の進め方も、手元に残るデータも変わります。
私たちmicadoは、を提供している会社ではありません。宿泊施設の売上目標の達成を、予約データの分析とマーケティングで支援している会社です。ただ、支援や商談の中でのお悩みを伺うことがあり、「とのデータをまとめられず、日ごとの集計は手作業になっている」というお声もありました。
は入れ替えるにもデータの移行やスタッフの慣れが必要になるため、「思っていたものと違った」と気づいても、すぐに替えられるとは限りません。この記事では、検索しても製品を選びきれない理由と、導入目的から合う製品と提供会社を見極めるポイントをお伝えします。
比較記事の機能一覧だけでは、自施設に合う製品がわからない理由
を探そうと思ったとき、おそらく「ホテル おすすめ」と検索して、上位に表示された比較記事や製品のホームページから候補を選んでいるかと思います。
比較記事には、施設の規模、操作のしやすさ、との連携、料金、サポート体制といった項目で製品が並んでいます。どれも大切な項目で、候補を知るには役立ちます。ただ、いくつか読んでも「自分たちの施設に合うのはどれなのか」と迷われたことはありませんか?
同じ悩みでも、原因によって必要な機能が変わるからです。
例えば「フロントの負担を減らしたい」という悩みでも、の予約を手で入力しているならとの連携、チェックインや精算に時間がかかっているならセルフチェックイン機や自動精算機との組み合わせ、締めの集計に時間を取られているなら帳票やデータの出し方と、見るべき機能は異なります。
また、同じ「」でも、製品によって得意分野は違います。宴会や婚礼、売掛、会計まで1つの仕組みでまとめる大型施設向けの製品、施設の運用に合わせて調整できることを強みにする製品、クラウドで提供し、セルフチェックインや決済の機能を必要に応じて足していく製品、公式サイトの予約システムと一体になった小規模施設向けの製品などです。導入施設数が多い製品が、皆さまの施設の業態や規模に合うとは限りません。
料金も同じです。外部のツールとのデータ連携や分析の機能が別料金のオプションになっている製品もあれば、大型施設向けを中心に個別見積もりの製品もあり、料金欄の月額だけでは総額がわかりません。
検索で見つけやすい製品と、皆さまの施設の課題を解決できる製品は、必ずしも一致しないのです。
で解決したいことは、施設によって違います
そもそも、を検討し始めたきっかけは何だったでしょうか?
・の予約を手で入力していて、二重入力や入力漏れが起きている ・フロントの人手が足りず、少ない人数で回せる体制にしたい ・食事や宴会、売掛の管理が別々で、施設全体の数字がまとまらない ・予約データの集計に時間がかかり、販売の判断に使えていない ・今のシステムや契約の見直しをきっかけに、入れ替えを考えている
ここで気をつけたいのは、目に見えている問題と、その原因が同じとは限らないことです。
例えば「現場が今のシステムを使いこなせていない」という悩みは、操作のわかりにくさが原因に見えます。ただ実際には、誰が、いつ、何を入力するのかが決まっておらず、入力した人に手間だけが増えていることが原因の場合もあります。そのまま製品を替えても、同じことが起きる可能性があります。「データが出せない」が今の製品の設定やプランで解決できる場合もあるため、入れ替えを前提にする前に、今の使い方で解決できないかも確認しておきたいところです。
そのうえで、の導入目的を6つに整理してお伝えします。

①予約管理とフロント業務の手間を減らしたい
日々の予約管理やフロント業務の手間を減らしたいケースです。「の予約を台帳に手で写している」「紙とシステムに同じ内容を書いている」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、予約を自動で取り込み、変更や取り消しまで正しく反映できる仕組みが必要です。
注意したいのは、デモで見せてもらえる操作の多くが、予約から精算までの整った流れだということです。現場が手間を感じるのは、滞在中の部屋の移動や団体の予約、で取り消されたあとに別の経路から入り直した予約など、その流れから外れたときではないでしょうか。
デモでは、先月いちばん手間がかかった処理を、実際に入力している担当者の方に操作してもらいましょう。手間の多くが例外的な処理にある施設では、標準の流れが速くなっても、負担はあまり変わらないからです。
②少ない人数で運営できる体制にしたい
人手不足を背景に、少ない人数で運営できる体制をつくりたいケースです。「夜間のフロントに人を置き続けるのが難しい」「将来は無人に近い運営も考えている」といったお悩みが当てはまります。①との違いは、今いるスタッフの作業を減らしたいのか、人員の配置そのものを変えたいのかにあります。
この場合は、セルフチェックイン機や自動精算機、客室の鍵などと組み合わせて、どこまでを機械に任せられるかを考える必要があります。
ただ、機械が受け持てるのは、うまく流れたときの処理です。カードが通らない、予約が見つからない、人数が予約と違う。そうした場面で誰がどこから対応するのかを決めておかなければ、その場にいるスタッフが手作業で埋めることになります。
機器の導入や保守を同じ提供会社が担うのか、トラブル時の問い合わせ先はどこかを確認しましょう。人員を減らしたあとに例外対応が重なると、少ないスタッフに負担が集中するからです。
③食事や宴会、売掛まで含めて施設全体を管理したい
旅館や、レストラン・宴会場を持つホテルで、宿泊以外の部門まで管理をまとめたいケースです。「食事の時間や場所、献立を別の台帳で管理している」「売掛や経理への転記が手作業」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、予約と食数や食事の場所をつなげて管理できるか、部門をまたいで顧客情報を共有できるか、会計ソフトへのデータ連携に対応しているかを確認する必要があります。
旅館で特に気をつけたいのは、室料と食事の売上を分けて記録できるかです。泊食込みの合計金額しか残らなければ、単価の変化を部屋と食事のどちらで説明すればよいのかがわからず、プランの値付けを見直す材料も不足します。
一方で、部門の多い大型施設向けの製品は、小規模の施設にとって機能も費用も過剰になる場合があります。どの業務をにまとめ、どれを別の仕組みのまま残すのかを決めてから比べましょう。すべてをまとめられる製品が、最適とは限らないからです。

④予約データを販売や料金の判断に使いたい
予約データを販売方針や料金の判断に使いたいケースです。「どのから、どの部屋が、いくらで売れているのかをすぐに出せない」「がどのくらいいるのかわからない」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、予約の受付日時、取り消しとその日時、名まで分かれた予約の経路、室料と食事の内訳、同じ顧客を紐づける情報などが記録され、施設が取り出せることが必要です。
例えば、受付日時がなければ宿泊日の何日前に予約が入ったのか()が計算できず、直前に料金を下げるべきかの判断材料がなくなります。経路が「経由」とひとまとめなら、ごとの単価は分けられません。なお、経由の予約で顧客情報がどこまで入るかは、側や側の仕様にも左右されます。
「データは出せますか」と聞けば、多くは「出せます」と返ってくるでしょう。その中身が集計表なのか予約1件ごとの明細なのか、施設が好きなときに出せるのかを確認しましょう。どれも業務を回すだけなら困らない項目で、記録されていなければ、あとから分析のツールを足しても埋まらないからです。
⑤複数の施設をまとめて管理したい
複数の施設を運営する会社で、数字や顧客情報をまとめたいケースです。「施設ごとにシステムが違い、本部で数字をまとめるのに時間がかかる」「施設によって集計の仕方が違う」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、複数の施設のデータを同じ形式で集められるか、施設をまたいで顧客情報を管理できるか、本部と各施設の権限をどう分けられるかを確認する必要があります。
例えば、ある施設は税込、別の施設は税抜で平均単価を集計していれば、同じ名前の数字でも並べて比べられません。団体の予約や手数料の扱いなど、集計の定義がそろっているかを確認しましょう。定義がそろわないまま数字を集めても、どの施設に課題があるのかを正しく判断できないからです。
⑥今のシステムから安全に乗り換えたい
今のシステムや契約の見直し、運営体制の変更をきっかけに、乗り換えを進める必要があるケースです。「運営を委託する会社が変わる」「過去の予約データがどうなるのか不安」といったお悩みが当てはまります。
この場合は、新しい製品の機能だけでなく、過去のデータの引き継ぎと切り替えの段取りを考える必要があります。入れ替えると、前年の同じ時期と比べるという基本の見方が途切れることがあり、項目の名前が同じでも税や団体の扱いが変われば、前年比は並べられなくなります。
また、運営を外部に委託している施設では、の契約が委託先の名義になっている場合もあります。自施設の予約の記録でも、切り替えるときに受け取れるのかは早めに確かめておきたいところです。
過去のデータをどの範囲と形式で移せるか、費用はかかるか、並行して使える期間はあるかを確認し、旧システムの解約を通知する前に全期間の予約データを書き出しておきましょう。解約後にデータを受け取れるかは、契約の内容によって変わるからです。
ここまで6つの目的をお伝えしましたが、複数に当てはまる施設さまもいらっしゃるかと思います。その場合は、何を優先するかを決めておくことが大切です。製品ごとに得意な部分と苦手な部分があっても、どこを妥協してよいのかを判断しやすくなるからです。
なお、開業に合わせて初めて導入する場合は、移行の心配がない代わりに、①から⑤のどれを優先するかを最初に決めることになります。小規模な施設や一棟貸しでは、予約システムと、表計算ソフトの組み合わせで運営している施設もあり、を入れないことも選択肢の一つです。
製品と提供会社を比べるときに、契約前に確かめたいこと
導入の目的が見えてきたら、候補の製品と提供会社が、実際に何をしてくれるのかを確認していきます。
まず確認したいのは、対応できる業態と規模です。導入施設数が多くても、その中に皆さまの施設と近い業態の施設がどのくらいあるのかまではわかりません。ビジネスホテルでの導入が中心の製品と旅館での導入が中心の製品では、標準の機能も、提供会社が持つ運用の知見も異なります。
次に、本体に含まれるものと、オプションや別契約になるものの範囲です。との連携、セルフチェックイン機、外部ツールへのデータ連携、分析の機能などが、どちらに入るのかは製品によって違います。優先する目的に必要なものを含めた総額で比べると、製品同士を並べやすくなります。
そして、提供会社の支援範囲と、施設側に残る役割です。は、客室やプラン、料金の登録、過去データの移行、スタッフへの操作説明など、稼働までにやることが多くあります。どこまでを提供会社が担うのか、稼働後の問い合わせ窓口や受付時間はどうなっているのかを確かめておきましょう。
はや会計ソフトなど、別の会社のシステムとつながって動くことが多いため、連携がうまくいかないときの問い合わせ先が決まっていなければ、担当者さまが各社の間を行き来することになります。入力のルールを決めてスタッフに定着させるのも、多くの場合は施設側の役割です。担当者さま一人に負担が集中しない進め方を考えておきましょう。
最後に、何を成果として判断するかです。業務の手間を減らすことが目的なら、手入力や締めの集計にかかる時間、入力漏れによるトラブルの件数。少ない人数での運営なら、人員配置をどこまで変えられたか。データの活用なら、必要な集計を施設が自分で出せるようになったか。乗り換えなら、過去のデータが欠けずに引き継がれ、前年と比べられるかを見ます。
稼働直後はスタッフが慣れるまで手間が増えることもあるため、稼働直後と数か月後で確認する時期を分けておくと、製品が合わないのか慣れの問題なのかを判断しやすくなります。契約期間や更新の時期、解約時に全期間のデータをどの形式で受け取れるかも、契約書で確認しておくと安心です。

もちろん、これらをすべて整理してから相談する必要はありません。大切なのは、商談での質問に具体的な答えが返ってくるかどうかです。
選びで、ぶっちゃけ見落とされやすいこと
率直にお伝えすると、検索上位のページを読んだだけでは、皆さまの施設の課題を解決できる製品かどうかまでは判断できません。機能の一覧に「分析レポート」「顧客管理」と書かれていても、どの項目を分析でき、顧客をどう管理できるのかが見えなければ、期待していた使い方ができるかはわからないからです。
例えば、省人化の機能が充実した製品を料飲の比重が大きい旅館が導入すると、食事の管理は別の台帳に残ってしまうかもしれません。反対に、多部門向けの製品を客室数の少ない施設が導入すると、使わない機能に費用と設定の手間がかかります。得意分野があること自体は問題ではなく、問題になるのは、それと施設の期待がずれたまま契約してしまうことです。
また、デモで製品が動くことと、現場で使われ続けることは同じではありません。導入後に入力が遅れる、紙とシステムの両方に書く、操作できるのが一部のスタッフだけになる、といったことが起こる場合があります。私たちはこれを、スタッフの意識の問題だとは考えていません。入力した人に手間だけが返ってくる仕組みのままであれば、どの製品でも同じことが起きる可能性があります。
だからこそ、契約前には導入実績の数だけでなく、「導入後に現場で定着しなかった施設では何が起き、どう対応したのか」を聞いてみていただきたいです。設定の見直しや操作説明の追加など、導入後の問題にどこまで関わってくれるのかに、提供会社ごとの違いが表れます。「出せます」「つながります」という答えに、どの項目が、どの形で、どちら向きにという説明が続くかも見てください。
料金の安さや高さだけで良し悪しを判断することもおすすめしません。本体が安くても必要なオプションを足すと総額が変わることもあれば、費用に見合う業務の削減ができる場合もあります。
これは私たちmicadoにも同じことが言えます。最後に、を提供していない私たちが何をお手伝いでき、何ができないのかを正直にお伝えします。
を提供していないmicadoが、お手伝いできること
先にお伝えしておくと、私たちmicadoはを提供していないため、特定の製品をおすすめする立場にはありません。製品の機能の確認や導入、データの移行は、それぞれの提供会社にご相談いただく必要があります。また、フロント業務の効率化や省人化、料飲部門の管理そのものは、私たちの専門ではありません。
micadoが専門としているのは、マーケティングを通じて、宿泊施設が売上目標を達成し続けられる状態をつくることです。この記事の中では、主に④の「予約データを販売や料金の判断に使いたい」に関わる部分です。
目標達成メソッドでは、まず今日時点で売上目標をどのくらい達成できそうかを予測します。そのうえで、蓄積された予約データから、チャネル、客室タイプ、など課題がどこにあるのかを特定し、、SNS、公式サイト、価格、プランの中から打ち手を選んで実行します。定例ミーティングでは、予測との差を確認しながら施設さまと方針をすり合わせます。分析AI「Levitt」が予約データとマーケティング活動をもとに必要な施策を数値の説明と一緒に提案し、micadoのマーケターがそれをもとに動いています。

その出発点になるのが、に記録された予約データです。今のから出せるデータでどこまで分析できるのか、足りない項目が販売の判断にどう影響するのか。私たちが一緒に考えられるのは、こうしたデータを売上につなげる部分です。成果として確認するのは、売上目標にどれだけ近づけたか、予測と実績の差がどこから生まれているのかです。
「売上が伸びない原因が、データにあるのか販売の方法にあるのかもわからない」「を替えるべきか、今の使い方を見直すべきか迷っている」という段階でも構いません。
一度、私たちとお話ししてみませんか?
まずは現在の状況と、これから実現したいことをお聞かせください。皆さまの施設に必要なことと、私たちがお手伝いできることを、一緒に整理するところから始められればと思います。