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2024.01.11
世界的に観光客数の増加や、旅行に対する消費者の意識の高まりを背景に、新規ホテルの建設や既存ホテルのリブランドが相次いでいます。その結果、ホテル数は年々増加し、市場は飽和状態に近づきつつあります。しかし、飽和状態という逆境は、同時に”チャンス”でもあります。競争が激化する中で、生き残るためには、単に良いホテルを作るだけでは不十分です。
飽和状態でも成功を収めるためには、何が重要なのでしょうか? その鍵は、「独自性」にあります。
本記事では、ホテルが生き残るための戦略や、独自性を追求して差別化戦略を取ったことから成功したホテルの事例をご紹介していきます。競合施設との差別化をしたいけど、どうしたら良いかわからずお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください!
近年、ホテル業界におけるブランド数は急増しており、ブランド飽和状態になりつつあります。2023年だけでも、主要ホテルグループはMarriott’s StudioRes、IHG’s Garner、Spark by Hilton、Hyatt Studiosなど、一連の新しいブランドを導入しています。
ホテルブランド数の増加は、宿泊需要の拡大や投資家の関心、そして迅速に拡大できるフランチャイズ展開のシステムなどが主な要因として考えられ、ホテル業界にも大きな影響を与えています。
ホテルブランドが増えるほど、消費者はどのブランドが自分に最適なものか選ぶために時間を要するため、差別化戦略はとても重要となり、ブランド間の競争も激化することとなります。
関連記事:売上が上がらないのは立地のせいじゃない。戦略的になれば売上を改善できる理由とは
ホテルブランド飽和の中で生き残るためには、まず自社ブランドの価値を明確にする必要があります。ブランド価値とは、消費者がブランドに対して抱く価値やイメージのことです。ブランド価値を明確にするためには、以下の質問に答えることが重要です。
・どのような顧客に訴求したいのか?
・どのようなニーズを満たすのか?
・競合他社とどのように差別化されるのか?
続いて、ターゲット顧客を絞り込む必要があります。すべての人に訴求しようとするのではなく、自社ブランドに最も共感してくれる顧客層に焦点を当てることで、より効果的なマーケティング活動を行うことができます。
競合他社との差別化を図るためには、戦略を構築する必要があり、価格、サービス、立地、アメニティなど、さまざまな要素で差別化が可能です。
差別化ポイントやブランド価値をターゲット顧客に伝えるためには、効果的なマーケティング活動が欠かせません。広告宣伝、PR、SNSマーケティングなど、さまざまな手法を活用することでターゲットに刺さる施策ができます。
参照記事:https://skift.com/2023/12/15/hotel-brand-bloat-a-shakeout-is-coming/
続いて、ターゲットを明確にして各ターゲットに刺さる戦略を取って成功したホテルの事例をご紹介します。具体的な差別化施策を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
アマンは世界中に展開する高級リゾートホテルブランドです。アマンの差別化ポイントは、独自の哲学に基づいた、洗練された空間とサービスを提供していることです。
アマンでは、「静寂」・「自然」・「空間」・「サービス」という4つの柱を掲げており、これらの柱に基づいて、ゲストが日常から離れ、心身をリラックスできる空間を提供しています。
ホテルは自然豊かな場所に立地しており、周囲の環境と調和したデザインが特徴です。客室は広々としており、プライベート感と高級感が漂っており、細部まで行き届いた心配りが特徴です。ゲスト一人ひとりに専任のバトラーが付き、あらゆるニーズに対応してくれます。
アマンは、独自の哲学に基づいた差別化戦略によって、競争が激しい高級リゾートホテル市場において成功を収めています。
1 Hotelsは、環境に配慮したラグジュアリーホテルブランドで、持続可能性への取り組みを積極的にアピールすることで差別化を図っています。
1 Hotelsでは建設資材やアメニティ、エネルギーなど、あらゆる面で環境に配慮した取り組みを行っています。たとえば、客室の家具にはリサイクル素材を使用し、アメニティはすべてオーガニック製品を採用しています。
また、地域の環境保護活動にも積極的に取り組んでおり、地元の環境保護団体に寄付を行ったり、ビーチクリーンアップ活動を実施したりしています。
1 Hotelsは、環境配慮への取り組みを積極的にアピールすることでターゲットを明確にし、環境意識の高い顧客を獲得することに成功しています。
モクシーは、スタイリッシュでカジュアルなホテルブランドです。モクシーの差別化ポイントは、ミレニアル世代をターゲットに、手頃な価格で質の高いサービスを提供していることです。
デザイン性の高い空間が特徴的で、ロビーや客室にはカラフルな家具やアート作品が飾られており、遊び心のある雰囲気が漂っています。
また、モクシーでは、SNSを活用したマーケティングに力を入れています。InstagramやFacebookなどのプラットフォームを通じて、ミレニアル世代に訴求するような情報を発信している中で成功を収めています。
ホテルブランドの今後は、パーソナライゼーション・テクノロジー・サステナビリティの3つが鍵を握っています。
2024年以降の宿泊トレンドを紹介している記事でもたびたび触れていますが、顧客は、よりパーソナライズされた体験を求めるようになってきています。ホテルブランドは、顧客一人ひとりのニーズに合わせたサービスを提供することで、差別化を図る必要があります。
また、テクノロジーの進歩は、ホテル業界にも大きな影響を与えており、AIやIoTなどのテクノロジーを活用することで、顧客体験の向上や業務効率化が実現できます。
環境への意識の高まりから、サステナビリティへの取り組みもますます重要になってきているため、ホテルブランドは、環境に配慮した運営を行うことで、顧客の信頼を獲得する必要があります。
本記事を読んで、ホテル業界の現状と、生き残るための重要性について理解していただけたでしょうか?
ホテルブランドは、単に「良いホテル」を作るだけでは不十分です。飽和状態の市場で成功するためには、独自のコンセプトやストーリーを構築し、ターゲット顧客に明確に訴求することが重要です。
変化の激しい環境の中で生き残るためには、常に進化し続ける必要があります。ホテルマーケティング担当者は、最新のトレンドを把握し、効果的なマーケティング戦略を策定することで、ホテルブランドの成功を目指していきましょう。
ブランディングについては、「コンセプトだけがブランディングではない!ホテル・旅館に必要なブランド構築とは?」という記事でもご紹介しているので、ぜひ読んでみてください!