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2023.11.21
2023.03.10
ホテル・旅館の売上には客室の価格設定が大きく関わっており、ダイナミックプライシングと呼ばれる料金のマネジメントが必要不可欠です。宿泊施設は季節や天候、社会情勢に売上が左右されやすいマーケットなので、需要を予測し最適な料金設定をすることで外部環境の影響を受けずに売上の最大化を目指します。
適正な価格設定をするためには、ダイナミックプライシングの特徴やホテル・旅館がどのような要因で売上が左右されやすいのか、何を指標に価格をコントロールしていけばいいのかなどの理解を深めておくことがポイントです。
今回の記事では「ダイナミックプライシング」に必要な知識と併せて、予約につながるマーケティング戦略について解説していきますので最後までぜひご覧ください。
ホテル・旅館の予約売上を伸ばすためには、他の宿泊施設の動向を把握する必要があり、他の記事で具体的な調べ方について解説していますので、ぜひ取り組んでいきましょう。
ダイナミックプライシングとは、需要に合わせて価格を設定する手法で、繁忙期や閑散期で予約の増減が激しいホテル・旅館はもちろん、航空業界でも活用されています。このようなマーケットで活用されている背景は、人件費や施設利用費・光熱費・消耗品費といった多くの固定費がかかるからです。
アパレル業界では商品が売れなければ翌日も販売できますが、ナマモノを扱う飲食店が売れ残りを処分しなくてはならないのと同じように、ホテル・旅館は持っている客室をすべて売らないと最大限の利益が出ないため、売上を上げるにはできる限り空室を残さないことが大切です。
祝休日や年末年始といった繁忙期には料金を高めにすることで、1室あたりの客室単価が上がって利益を最大化でき、平日やシーズンオフといった閑散期にはお得に泊まれるように割安に設定すると稼働率へと貢献でき、売上を狙うことができます。
料金が他の宿泊施設より高すぎると判断されてしまうと予約されにくくなるので、マーケットに見合った価格にする必要がありますが、勘だけでは難しく、データをもとに需要を予測して適正な価格設定をすることが重要です。
売上を上げるためには客室の稼働率を上げることが大切ですが、注意点があります。稼働率を上げようとして客室の単価を下げすぎると、1室あたりの収益が低くなり、利益が出なくなってしまうので、価格をコントロールするといっても下げすぎないように気をつけましょう。
ダイナミックプライシングをベースに価格設定をしながら、予約状況に応じて料金をコントロールする「レベニューマネジメント」の手法も併用して行うと売上を上げられます。レベニューマネジメントの重要性について解説した記事がありますので、あわせてご覧ください。
これまでご説明してきたとおり、マーケットや他の宿泊施設の動向をもとに戦略を立てて価格設定を行う必要があるため、常にあらゆる情報をキャッチアップしていくことが重要です。他の宿泊施設が価格を下げているのに自社で高い料金のまま販売していたら予約されなくなってしまった事例もあるので、注意が必要です。
2020年の5月頃から新型コロナウイルスの影響で旅行需要が低下し、多くのホテル・旅館で予約数・売上が落ちてしまったことから、価格を下げて少しでも利益を出そうと多くの施設が取り組みましたが、全員が焦って一気に行ったため価格競争になり、売上を伸ばすのが厳しい状況でした。
しかし、ラグジュアリーホテルや高級旅館は、2022年の秋頃から需要再開を見据えて戦略的なダイナミックプライシングを行ったため、価格を下げなくても予約が入る状況を作り出すことができました。
コロナ禍に各自治体が行っていた旅行支援では、割引が効いて「お得に泊まれる」という思いから宿泊需要が回復し、多くのホテル・旅館はダイナミックプライシングで料金を割高に設定することで売上を上げました。
マーケットの状況にあわせてダイナミックプライシングを行うと、少しでも利益増を図ることができますが、価格の上限を決めておかないと顧客満足度(口コミ)に影響する可能性があるので注意が必要です。
他の宿泊施設より価格を過剰に上げてしまうと宿泊者は不信感を抱く可能性があり、ホテル・旅館のイメージが悪くなってしまいます。「この価格だとイマイチ」とネガティブに感じてしまうこともある一方、「こんなにサービスが充実しているから満足」とポジティブな評価になることもあるので、宿泊者の反応も配慮しながら料金をコントロールしていきましょう。
戦略的なダイナミックプライシングを行うためには、ホテル・旅館の価格がどのような要因に影響されやすいのかを把握しておく必要があるので、確認しておきましょう。
同じエリア内にある宿泊施設が需要を見込んで料金を高く設定しているのに、自社の料金を安くしていると「安売り」することになってしまうので、競合施設の価格の動きとかけ離れないように気をつけましょう。
また、一番安い価格で販売されている施設が売り切れになった場合、宿泊需要があると判断できることから、料金が少し高くても予約をする人はいるはずです。価格を少し高く設定し、戦略的なダイナミックプライシングを行いましょう。
イベントやコンサートなどは、価格が高くても必要とする人が一定数いるために売れやすい傾向がありますが、あまり価格を高く設定してしまうと、他のエリアで価格が安い施設を探すことも考えられます。機会損失を防ぐためにも、競合施設の価格を調査しておくことが大切です。
台風・大雪による悪天候や、工事・人身事故といった運行休止などで予約のキャンセルが増える可能性があります。諸事情による減便の可能性が低い場合は価格を下げずにそのままの価格で利益増を図り、キャンセルが予想される場合には、価格を低くして少しでも予約を獲得できるようにしましょう。
ホテル・旅館は政治経済の動向にも影響を受けやすいため、常に情報をアップデートしておきましょう。円安による物価の高騰にあわせて価格を上げていかないと利益が出せないですし、円高になるとコストも抑えることができ、価格を下げやすくなりますが、あまり下げすぎてしまうと価格競争に陥りやすくなるため、注意が必要です。
コロナ禍のような急激な需要の変化においては、とりあえず価格を安くする方法しか対策はありませんが、多くの宿泊施設が価格競争に参入するなか、最適なマーケティング戦略に取り組んで前年比230%の売上を達成したホテルがあります。
利益を出すことが難しい状況でも、取り組み方次第では成果につなげることができるので、売上をあげたホテルがどのような戦略を立てていたか、ぜひ参考にしてみてください。
ダイナミックプライシングは、需要に合わせて価格を変動させることで収益の最大化を図る手法です。需要の予測・分析をしながら、ダイナミックプライシングを活用して適正な価格で客室を販売することが、売上アップのカギです。
価格設定は売上だけでなく顧客満足度にも影響するため、ホテル・旅館のイメージダウンを避けるためにも、市場の調査やデータ分析といったマーケティング力が大切です。今回紹介したダイナミックプライシングのポイントを押さえて、ホテル・旅館の予約につなげる戦略を立てていきましょう。
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