「ゲストハウスを始めたけれど、Webでどう集客すればよいか分からない。人手も予算も限られている」。私たちmicadoはホテル・旅館のマーケティングを支援していますが、客室の少ない施設からは、こうした相談をよくいただきます。大きなホテル向けの集客の情報をそのまま当てはめようとして、広告もSNSも公式サイトも同時に手をつけ、どれも続かなくなってしまう例も少なくありません。小さな施設のWeb集客で大切なのは、施策の数ではなく、手をつける順番です。
この記事では、ゲストハウスや客室の少ない施設に絞って、Web集客をどの順番で整えればよいかを整理します。ホテル全般の集客施策の一覧は、別の記事で扱っています。
小さな施設のWeb集客は、大きな施設と何が違うのですか?
最初に、ゲストハウスや小規模な施設ならではの前提をそろえます。前提が違えば、正しい順番も変わるからです。皆さまの施設では、Web集客に使える時間を、1週間にどれくらい確保できているでしょうか?
人手と予算が限られるので、順番がすべてです
大きなホテルには、販売や広告を担当する部署があり、複数の施策を同時に動かせます。一方で、ゲストハウスや客室の少ない施設では、オーナーやスタッフが接客、清掃、予約の管理を兼ねながら、合間に集客を考えることがほとんどです。使える時間も予算も限られています。広告に月々の費用をかけ続ける余裕がない施設も多く、費用のかかる施設管理のシステムを入れても使いこなす時間がない、という声もよく聞きます。
私たちは、戦略が必要になるのは、達成したい目標があり、使える資源が限られ、そのために選ぶ必要があるときだと考えています。小さな施設は、まさにこの条件にあてはまります。すべてに手を広げるのではなく、効果が大きく、手間が少なく、続けられることから順に整える。この順番を決めることが、小さな施設のWeb集客の出発点です。逆に言えば、あとに回すことを決めるのも大切な判断です。広告やSNSの運用は、土台が整う前に始めても、成果につながりにくいことが多いからです。土台が整っていないまま広告で人を呼んでも、写真や説明が足りなければ、見に来た人はほかの施設を選んでしまいます。
小さいことは、伝わりやすさの強みになります
小さな施設は、不利なことばかりではありません。オーナーの顔が見えること、共用スペースで旅行者同士が交流できること、地域の人しか知らない店や過ごし方を案内できることは、大きなホテルにはまねしにくい魅力です。客室が少ないぶん、一人ひとりの旅行者と話す時間が取れることも強みになります。こうした魅力は、旅行者にとって施設を選ぶ理由になります。
大切なのは、すべての旅行者に向けて発信しないことです。にぎやかな交流を求める旅行者と、静かに過ごしたい旅行者の両方に選ばれようとすると、どちらにも伝わらない施設になります。どんな旅の目的を持つ人に泊まってほしいのかを決め、その人に向けて写真と言葉を選ぶと、少ない発信でも伝わりやすくなります。施設の中で当たり前になっている過ごし方や、オーナーがよく勧める近所の店も、初めて来る人にとっては選ぶ理由になります。ホテル全般で使われる集客施策の目的と効果は、ホテルマーケティングの集客10選の記事で一覧にしています。
まず、どこから手をつければよいですか?
ここからは、手をつける順番を具体的に見ていきます。私たちが小さな施設に最初に勧めるのは、新しい施策を始めることではなく、すでに旅行者の目に触れている場所を整えることです。皆さまの施設のの掲載ページは、写真と説明が最後に更新されたのはいつでしょうか?
の掲載情報を整えます
最初に整えたいのは、の掲載情報です。多くの旅行者は、で施設を探し、写真と説明と口コミを見て比べます。掲載情報を整えるのは費用がかからず、ほかの施設もやっている「載せるなら押さえるべきこと」なので、私たちは最優先に置いています。
具体的には、外観、共用スペース、客室、水回りの写真を十分な枚数そろえ、客室の広さ、ベッドの種類、共用部分の使い方、チェックインの時間、周辺の交通を、初めて来る人に分かる言葉で書きます。じゃらんでは、写真の枚数やプランの数が掲載内容の充実度の目安に含まれており、掲載の見え方に関わります。海外からの旅行者を迎える施設なら、海外の掲載も検討の対象になります。始め方は海外OTAでインバウンド対策を始める記事で整理しています。複数のに載せる場合は、料金と在庫の管理の手間が増えるので、最初は扱える数にとどめるのが安全です。料金や在庫の更新を忘れると、売り切れた日に予約が入るなどのトラブルにつながり、口コミにも響きます。
Googleマップと、公式サイトの予約の入口を整えます
次に整えたいのは、Googleマップの情報です。旅行者は、施設の名前を検索したり、地図で周辺の施設を探したりして、場所や写真、口コミを確かめます。営業時間、電話番号、写真、公式サイトへのリンクが正しく載っているかを確かめ、古い情報は直します。考え方はホテルにおけるGoogleマップの記事で扱っています。
公式サイトは、立派なものを作る必要はありません。大切なのは、施設の名前で調べた人が、空室と料金を確かめて、迷わず予約できる入口があることです。公式サイトから予約を受ければ、に払う手数料がかからず、顧客と直接やり取りできる関係も作れます。予約の仕組みは、と在庫を共有できるものを選ぶと、二重に予約が入る心配を減らせます。予約画面での離脱の減らし方は、公式サイトの予約完了率を上げる記事にまとめています。

図のように、の掲載情報、Googleマップ、公式サイトの予約の入口の順に、すでに見られている場所から整えます。
その課題、”自社の数字”を見れば打ち手が見えてきます。同じエリアの施設はもう動き始めています——気づかないうちの取りこぼしを止めませんか? 予約データを入れるだけで改善点が見えるLevitt Lite、その場で相談できるmicado AI、記事もツールもすべて無料。▶ **mintに無料で会員登録する**
土台が整ったら、何を足せばよいですか?
見られている場所が整ったら、次は施設の雰囲気を伝え、選ばれる理由を育てる段階です。ここで初めて、SNSや口コミへの取り組みが効いてきます。皆さまの施設では、口コミにどれくらいの頻度で返信しているでしょうか?
口コミとSNSで、施設の雰囲気を伝えます
小さな施設にとって、口コミはもっとも強い集客の手段の1つです。オーナーやスタッフとの会話、共用スペースでの出会いなど、小さな施設ならではの体験は、口コミに書かれやすい魅力です。書いてもらった口コミには、良い内容にも厳しい内容にも返信し、施設としての姿勢を示します。返信の考え方は口コミ返信の記事で扱っています。
SNSは、施設の雰囲気や地域での過ごし方を伝えるのに向いています。ただ、毎日投稿しようとすると続きません。週に1回でも、泊まってほしい旅行者に向けた投稿を続けるほうが、施設の印象は積み上がります。投稿の形式ごとの役割の分け方は、Instagram運用の3形式の役割分担の記事で整理しています。プロフィールに公式サイトの予約の入口へのリンクを置いておくと、SNSで興味を持った人が予約に進みやすくなります。泊まった旅行者の投稿を、許可を得て紹介させてもらうのも、少ない手間で施設の雰囲気を伝える方法です。
ここは率直にお伝えします
の手数料は、契約の率だけでなく、ポイントや割引、広告の費用が上に重なります。利用者の割合や売上の試算は、出典と前提を確かめられる公開の数字が見当たらないため、この記事では載せていません。自社で比べるときは、これらを足した負担を予約1件あたりで並べます。実際の負担の見方は、OTA手数料の上乗せの記事で扱っています。
もう1つ正直にお伝えすると、小さな施設がに頼らずに集客することは簡単ではありません。私たちは、をやめることを勧めているのではなく、で見つけてもらい、口コミと公式サイトで選ばれる理由を育てる、という役割の分け方を勧めています。また、空室を埋めるために料金を下げるのは最後の手段だと考えています。写真や説明、口コミへの返信といった、費用をかけずにできることを先に整えるほうが、施設の魅力を損なわずに予約を増やせるからです。最初の数か月は、の掲載情報を整える前と後で、閲覧数や予約数がどう変わったかを見るだけでも、次に何をすべきかが見えてきます。

効果が大きいか、手間が少ないか、続けられるか。この3つで選ぶと、限られた時間でも集客を前に進められます。
まとめ
ゲストハウスや客室の少ない施設のWeb集客は、施策の数より、手をつける順番で成果が変わります。人手と予算が限られるからこそ、すでに旅行者に見られている場所から整えます。
まずの掲載情報、次にGoogleマップと公式サイトの予約の入口を整え、そのうえで口コミへの返信とSNSで施設の雰囲気を伝えます。泊まってほしい旅行者を決め、その人に向けて写真と言葉を選び、料金を下げるのは最後に回す。この順番で進めれば、小さな施設ならではの魅力を、予約につなげられます。
読んで「なるほど」で終わらせていませんか?
施策は思いついても「どの順で・いつやるか」で止まっていませんか。いま売上を伸ばしている施設と、そうでない施設の差は、「どこで取りこぼしているか」に気づき、「いつ・何をすべきか」を数字で判断できているか。違いはそこだけです。
同じエリア・同じ規模の施設は、すでにデータを見ながら最適なタイミングで手を打ち始めています。一方で「分析する仕組みがない」「何から手をつければいいか分からない」と判断を後回しにしている間も、機会損失は静かに積み上がっていきます。
まずは”自社で実際に何が起きているか”を見るところから。それが、最適なタイミングで最適な一手を選べる施設への第一歩です。
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小さな施設で、何から手をつければよいか決められない、という段階でも構いません。いま掲載していると、公式サイトやGoogleマップの状況をお聞かせいただければ、手をつける順番の整理から一緒に始められます。