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2023.11.21
2020.07.01
【Part1】地方ホテルの会話を一部公開!課題を解決するための集客戦略とは?はご覧いただけたでしょうか? 今回ご紹介する地方ホテルさんの集客・販売戦略は、【Part1】の会話形式の記事からの続きとなっています。
地方ホテルさんは経営状況が悪いわけではありませんでした。しかし、地方ホテルのオーナーさんは、今後の経営面や宿泊情勢を含め、「集客力の向上は必要だ!」と前々から考えていました。
ここからは、地方ホテルのオーナーさんのヒアリングを通して、年間400万円の売上改善を行なった内容を、解説込みで取り上げました。今回ご紹介する方法は、この書籍をダウンロードした全ての宿泊施設様が実践できる内容となっております。
地方ホテルさんは公式サイトの集客課題に限らず、OTAの予約キャンセル率も問題視しています。マーケティング(直接予約の強化)に費用をかける際に、同時に見直すべきなのが、OTA上での予約改善はできるかを考えます。
【OTAで見受けられるキャンセルの傾向】 ・キャンセル料が発生する宿泊日2日前の直前である3〜4日前に集中している |
地方ホテルさんの平均キャンセル率は45%くらいと、micadoが一緒にお仕事をしている宿泊施設と同等くらいのキャンセル率です。キャンセル傾向を分析すると、宿泊日の60日前以上に予約するお客様のキャンセル率は80%以上でした。
お客様の行動から、その地域に訪れることは高確率で決まっているとして、「キャンセル料が発生する前まで”良さそうな宿泊施設”を一旦キープしよう! もし、他に良い宿泊施設があればキャンセルして、そっちを予約しよう。」という考えが推測できます。
OTAでは掲載できる情報量が少ない分、外観による比較検討が主流なので、右にも左にもブレやすいのが予約キャンセルの原因ともいえます。さらに、無料キャンセルも柔軟的になっていることから、予約キャンセル率がより問題視されています。
上記のような懸念点を持っている地方ホテルさんでは、キャンセルで減少する客室数を勘案して、「オーバーブック販売」を行いました。売上の獲得という面では効果的があり、micadoのクライアントでも、この方法を取っている施設は約半数以上です。
【オーバーブック販売をする場合の注意点】 1.曜日ごとのキャンセル数の傾向を把握する |
さらに、キャンセル規約を徹底して、地方ホテルさんの予約キャンセル率は20〜35%程度に抑えることができるようになりました。
公式サイトの直接予約を改善するために欠かせないのが「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」という分析ツールです。略して「GA」と呼ばれていて、Webサイトを通じて商品・サービスの販売促進や集客を促進するために利用必須のツールです。
GAでは、公式サイトに訪れたお客様の行動を分析できるだけでなく、地域・性別・流入元などの細かい設定ができるので、それぞれのホテル・旅館が集客したいターゲットを絞り込んだ分析ができます。
最も予約される宿泊プラン、予約されにくい宿泊プランなど、売上に結びつく宿泊プランのデータを蓄積していくことで、ターゲット層に適切な宿泊プランを推奨ができ、直接予約が増える公式サイトに改善していきます。
地方ホテルのオーナーさんの会話の中で、「公式サイトは直接予約だけでなく、認知度の向上や施設ブランディングにも効果がある」と出てきました。
Google Analyticsを活用して、公式サイトに訪れるお客様が求めている情報、予約のキッカケになった情報などを細かく分析ができます。実際に地方ホテルさんの公式サイトを分析をしてみました。
最も閲覧される”トップページ”よりも、レトロモダンの部屋を主張している”お部屋ページ”からの方が、予約ページに遷移する割合が多いことがわかりました。
各OTAの口コミも分析したところ、お部屋に関連する口コミが多く、顧客満足度も高かったので、お部屋の情報は好材料になっています。
【改善策】 ・お部屋に魅力を感じて予約行動をしているユーザーの割合が多いので、より多くのユーザーに訪れてもらう機会を増やすために、Webサイトの入り口となるページからお部屋ページへの遷移ボタンを改善する。 ・トップページやお料理ページから予約を喚起できるように、画像や文言を見直して、どのようなレイアウトがいいのかA/Bテストで検証を行う。 |
地方ホテルさんの集客力を強化するために、ブランドを構築する流れを決めていく必要がありました。
公式サイトの分析では、お部屋を目的に予約するお客様が多く、競合施設の調査を踏まえて、地方ホテルさんのレトロモダンのようなお部屋を提供している施設がなかったので、そこで差別化できると考えました。
まだ認知度も高いわけではなかったので、Instagram、Twitter、Facebookページを開設し、「レトロモダンなお部屋」の写真を中心とした投稿を始めました。週2~3回の頻度でハッシュタグやストーリーズの活用をしています。
SNS上でエンゲージメント(反応)や宿泊予約に結びつけるためには、宿泊価値を発信することがポイントです。ホテル・旅館のSNS投稿では、施設側が発信したい情報が多く、ターゲットとなるお客様が求めている情報は投稿されていません。
地方ホテルさんのSNSアカウントでは、施設目線での情報発信を避けるために、宿泊客がお部屋で過ごしている写真、従業員が接客している風景など、画面越しでも親近感のある投稿を続けました。
【SNS投稿による成果】 お客様同士での拡散もされて、SNSの総フォロワー数は5ヶ月で3,000人を超え、SNSから公式サイトへの遷移数も増加しました。また、SNS流入による直接予約は、最大60件も獲得できる月もあります。 |
さらに、公式サイト上の顧客体験や宿泊価値を上げていくために、予約のキッカケにつながりやすい「お部屋コンテンツ」の作成も始めました。カップルやファミリーなどの協力もいただき、地方ホテルさんでの過ごし方や施設周辺の散歩などの記事を少しずつ投稿しています。
「OTA→公式サイト→OTA→予約」から「公式サイト→予約」の流れにさせるためには、宿泊プラン、宿泊料金、キャンセル規約の緩和などを工夫する必要があります。
宿泊料金を下げてしまうと、宿泊施設の価値も下がってしまう可能性もあるので、宿泊プランに着目しました。公式サイトに訪れたときに、公式サイトで予約しようと思わせる魅力を作ることでスムーズな予約行動を促すことができます。
地方ホテルさんでは、通常のチェックアウト時間より90分間遅らせることができる「レイトチェックアウトプラン」と、通常のチェックイン時間より90分間早くすることができる「アーリーチェックインプラン」を提供するにしました。
【公式サイトからの直接予約】 公式サイトからの予約数は3ヶ月で平均100件以上獲得できるようになり、OTA手数料が約30〜40万円ほど削減につながりました。 |
直接予約が増えた要因は、公式サイトの分析や改善、積極的なSNS投稿、宿泊価値を高めるコンテンツマーケティングなど、全ての取り組みが予約行動に結びついたことが考えられます。
Google Analyticsで調べてみたところ、Googleでのキーワード検索やSNS流入が増えていることが明らかでした。
季節やターゲットに絞った宿泊プランや興味を惹きつける工夫など、お金に換えることのできない価値を提供したことも直接予約が増加した要因の一つです。
地方ホテルさんの認知度や集客面の流れが良くなってきたところで、昨今の新型コロナウイルスの影響により、稼働率が大幅に低下してしまいました。
幸いにも地方ホテルさんは首都圏ほどダメージは受けておらず、1月から5月末までの平均稼働率は30%~40%と維持できているので、引き続き”マーケティングの強化”をして、認知度や集客力の向上を行っていきます。
国内旅行の需要も少しずつ回復してくるので、3蜜回避への対策や清潔面の見直しは定期的に行うこと、しっかりとコロナ対策をしていると発信することも信頼の獲得につながります。
しばらくの間は、日本人旅行者をターゲットにした集客戦略にシフトする必要があるでしょう。
加速していく宿泊情勢に対応しつつ、安定した集客戦略を実施するためには、公式サイトを活用したマーケティング強化が重要です。
新型コロナウイルスの影響で、万が一利用しているOTA会社が倒産してしまったら…というリスクも十分にあり得えます。日本人旅行客と外国人旅行客の集客比率などもバランス良く考えなければ、同じような状況になったときに、集客困難に陥ってしまいます。
まずは公式サイトでの予約数を増やす対策を行われてはいかがでしょうか? 今回ご紹介させていただいた地方ホテルさんの事例では、公式サイトから直接予約を15~20%にしたことにより、本来払うべきであった約30〜40万円のOTA手数料を削減することができました。
この先、約5割の宿泊予約を公式サイトでの獲得が実現できれば、マーケティングにさらなる投資ができるので、安定的な売上を維持することも可能です。
それぞれの宿泊施設様では成果が出る期間は異なりますが、5年後,10年後を見据えたときに、公式サイトは確実に力になるので、早い段階で見直しや改善に取り組まれてはいかがでしょうか?
今回ご紹介した取り組み事例以外にも、集客力の向上、予約キャンセル率を下げる方法など、ホテルマーケティングを取り上げた資料もございますので、ぜひご活用してみてください!