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2025.10.23

【Expediaの価格戦略】割引の罠にハマらない戦略的プロモーション設計術

Expediaから次々と案内されるキャンペーンに参加し、気づけば管理画面が多数のプロモーションで複雑化…その結果、意図しない「二重割引」が発生し、想定以上に販売価格が下落してしまった経験はありませんか?割引は諸刃の剣です。戦略なくしては、予約は増えても利益は残らないという最悪の事態を招きます。この記事では、割引の罠にハマらず、施設の収益を最大化するための、プロモーションとキャンペーンの戦略的な使い分け、そして無駄な割引を減らすための具体的な管理手法を徹底的に解説します。

戦略的なプロモーション設計とは

OTA運用において、割引は集客のための強力な武器ですが、その管理を怠れば、自らの首を絞めることにもなりかねません。特にExpediaのように多様な販促ツールが用意されているプラットフォームでは、各施策の役割を正確に理解し、戦略的に使い分ける能力が収益を大きく左右します。ここでは、利益を確保しながら予約を最大化するための、プロモーション設計の根幹となる考え方を解説します。

プロモーションとキャンペーン、その違いを理解する

まず、言葉の定義を明確にすることが重要です。この二つを混同していると、戦略的な使い分けは不可能です。

・プロモーション: 施設側が主体となり、年間を通じて恒常的に設定する割引施策を指します。具体的には、「早割」「連泊割引」「会員割引(メンバー限定料金)」などがこれにあたります。これらは施設の基本的な価格戦略の一部であり、特定の顧客層に継続的にアピールするための土台となります。

・キャンペーン: Expediaが主導し、期間限定で実施される大規模なセールなどを指します。「シーズンセール」や「ブラックフライデー」などが代表例です。これらは、特定の期間にOTA全体の集客力を利用して、爆発的な予約数を獲得するための「お祭り」的な施策です。

問題は、これらが意図せず重複した際に発生する「二重割引」です。例えば、恒常的な「早割10%OFF」に、Expedia主導の「キャンペーン20%OFF」が重複適用されると、合計で30%近い割引となり、施設の利益を大きく圧迫する原因となるのです。

利益を守るためのプロモーション管理術

二重割引のリスクを理解した上で、次にそれを回避し、利益を能動的に守るための具体的な管理手法を解説します。これは、守りのレベニューマネジメントとして極めて重要なスキルです。

「メンバー限定料金」は費用対効果が高い

数あるプロモーションの中でも、まず設定すべきは「メンバー限定料金」です。これは、Expediaグループのロイヤリティプログラム会員に対してのみ表示される割引で、リピート率や予約単価が高い優良顧客に直接アプローチできます。一般公開される割引よりも露出が限定的であるため、ブランドイメージを損なうことなく、かつ高い費用対効果が期待できる、まさに「基本のキ」と言える施策です。

キャンペーンの重複回避

Expediaから大規模なキャンペーンへの参加案内が来た際、参加ボタンを押す前に必ず自施設のプロモーション設定を確認する習慣をつけましょう。もし、キャンペーンの割引率と重複することで利益を圧迫すると判断される既存のプロモーション(例えば、割引率の高い早割や連泊割引など)があれば、キャンペーン期間中だけそれらを「一時的に停止する」という判断が必要です。これにより、割引率の上限を自らコントロールし、意図しない過度な安売りを防ぎます。

マーケットの把握

Expedia Partner Central内の「Marketplace Insights」は、自施設が属するエリアの需要動向を予測するための強力なツールです。このデータを活用し、例えば「3ヶ月後の連休は、検索数が前年の2倍に達しており、高い需要が見込まれる」といった予測を立てます。このような需要の高い時期には、無理に割引を適用しなくても予約は自然と入ってきます。むしろ、プロモーションを停止または弱めることで、客室単価(ADR)を最大化するという「攻めの判断」が重要になります。割引は、あくまで需要を喚起するための手段であり、需要がすでにある場所で使う必要はないのです。

賢い割引戦略の立て方

場当たり的な施策の追加は、管理の煩雑化と収益の悪化を招くだけです。ここでは、長期的な視点に立ち、持続的に成果を上げるための、賢い割引戦略の構築方法とその運用サイクルについて解説します。

「プロモーション」の体系をシンプルに整理する

戦略の第一歩は、複雑化した既存のプロモーションを見直し、整理することから始まります。現在設定されている全てのプロモーションをリストアップし、「これは本当に必要か?」「この割引は誰に届けたいのか?」を一つひとつ自問自答しましょう。例えば、「早割」「連泊割引」「メンバー限定料金」の3つを基本の柱とし、それ以外の効果が不明瞭なものは思い切って停止するなど、管理可能なシンプルな体系を再構築することが、全ての土台となります。

予約に繋がっていないものは思い切ってやめる

プロモーションは設定して終わりではありません。四半期に一度など、定期的に効果検証を行う日を設けましょう。Expediaのレポート機能を活用し、各プロモーション経由の予約数、売上、平均単価などを分析します。もし、ほとんど予約に繋がっていないプロモーションがあれば、それは顧客のニーズに合っていないか、魅力が伝わっていない証拠です。改善の余地がないと判断すれば、それを廃止し、より効果的な施策にリソースを集中させる「選択と集中」の考え方が不可欠です。

割引重複のリスクを下げる「選択と集中」が重要

良かれと思ってプロモーションの種類を増やしすぎると、管理の目が届かなくなり、意図せぬ割引の重複や、どの施策が本当に効果を上げているのかが分からなくなる「分析のブラックボックス化」を招きます。施設のターゲット顧客層に最も響くであろう、数種類の効果的なプロモーションに絞り込み、それを継続的に改善していく方が、結果的には大きな成果に繋がります。あれもこれもと手を出すのではなく、自施設の強みを活かせるプロモーションに集中投資する勇気を持ちましょう。

プロモーションごとの分析をする

一歩進んだ分析として、プロモーションごとの予約特性を深掘りしてみましょう。例えば、予約レポートを分析し、「早割60」経由の予約は、平均リードタイムが長く、平均単価も高い優良顧客が多い、といったインサイトを発見できるかもしれません。
逆に、「直前割」は単価は低いが、空室を埋めるのに貢献している、といった特性も見えてくるでしょう。このように、各プロモーションがどのような性質の予約を呼び込んでいるかを理解することで、「早割の対象期間をさらに延長して優良顧客を囲い込もう」あるいは「直前割は週末だけに限定しよう」といった、より精度の高い施策の最適化が可能になります。

まとめ

本記事では、Expediaにおけるプロモーションとキャンペーンの戦略的な使い分けと、無駄な割引をなくし利益を最大化するための具体的な管理手法について解説しました。割引施策は、もはや単なる集客ツールではありません。それは、施設の利益構造を深く理解し、市場の需要をデータに基づいて予測し、意図しないコスト増を回避しながら、収益を最大化するための、極めて戦略的なレベニューマネジメント活動そのものです。

重要なのは、「プロモーション」と「キャンペーン」の違いを明確に理解し、それらが重複しないよう管理を徹底すること。そして、何よりも「割引ありき」で考えるのではなく、自施設の価値と市場の需要を見極め、「割引をしない」という判断も含めた柔軟な戦略を立てることです。管理画面上の数%の割引率が、最終的な損益計算書に大きな影響を与えます。この記事が、皆様の施設を「割引の罠」から救い出し、より高い収益性を実現するための一助となれば幸いです。

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