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Expediaのプロモーション機能を「とりあえず割引を設定する場所」だと思っていませんか?Expediaの真価は、施設の課題に応じてターゲットをピンポイントで狙い撃ちできる、その戦略的な柔軟性にあります。この記事では、プロが実践する「誰に、何を、なぜ届けるか」という思考法に基づき、今日から使える代表的なプロモーションの活用法と、その効果を最大化するための運用のヒントを徹底解説します。
Expediaのプロモーションは、国内OTAのそれとは一線を画す、極めて戦略的なツールです。その最大の特徴は、大勢に向けた「ばらまき」の割引ではなく、施設の課題解決のために、顧客層や期間を細かく設定できる「一点狙い」の施策が可能な点にあります。この構造を理解することが、Expedia攻略の第一歩です。
Expediaのプロモーションは、単に割引率と期間を決めるだけではありません。「どの国のユーザーに」「どのデバイスを使っているユーザーに」「Expediaの会員ランクがどのユーザーに」といったように、ターゲットを非常に細かくセグメント分けしてアプローチできます。この柔軟性こそが、無駄な割引を抑制し、費用対効果を最大化する鍵となります。
施設の課題に応じて、多彩な打ち手が用意されています。「リピーターを増やしたい」ならロイヤリティの高い会員向けに、「直前予約を強化したい」ならスマートフォンユーザー向けに、「インバウンド需要を取り込みたい」なら特定の国・地域向けに、といった具体的な解決策をプロモーション機能一つで実行できるのが強みです。
Expediaでは、設定した複数のプロモーションが適用条件を満たす場合、割引が重複(スタッキング)して適用されます。例えば、「アメリカからの旅行者が、モバイルで予約した場合」に特別な割引を提供するといった、複合的なアプローチが可能です。これは、最も獲得したいターゲットユーザーに対して、競合よりも魅力的なオファーを提示するための強力な武器となります。
「平日の稼働が弱い」「特定の客室タイプだけが売れ残る」「特定の国からの予約が減っている」といった、施設が抱える個別の課題に対して、それを直接解決するための施策をピンポイントで打てるのがExpedia流です。プロモーションを「割引ツール」ではなく「課題解決ツール」として捉えることが、成功への思考転換となります。
ここでは、Expediaに用意された数あるプロモーションの中から、特に使用頻度が高く、かつ効果が出やすい代表的な4つの「基本ツール」をご紹介します。それぞれのツールの特性を理解し、「自施設のどの課題を解決できるか」という視点で読み進めてください。
Expedia Group(Hotels.comなどを含む)の会員にのみ表示される限定料金です。会員は旅行頻度が高く、リピーターになる可能性を秘めた優良顧客層です。彼らに特別なオファーを提供することで、安定した予約基盤を構築できます。まずは基本の5%〜10%割引から設定し、ロイヤル顧客へのアピールを始めるのが定石です。
スマートフォンやタブレット経由の予約にのみ適用される割引です。モバイルユーザーは、移動中や滞在先で宿を探すことも多く、比較的直近の予約を行う傾向があります。都市部のホテルが平日のビジネス需要を取り込みたい場合や、直前の空室を埋めたい場合に極めて有効な一手です。
宿泊日からのリードタイム(予約から宿泊までの期間)に応じて割引を提供する、最も基本的なプロモーションです。例えば「60日以上前の予約で15%OFF」といった早期予約割引は、先の予約を早期に確定させ、収益を安定させる効果があります。逆に「3日以内の予約で10%OFF」といった直前予約割引は、売れ残った客室を減らすための最終手段として有効です。
インバウンド戦略の核となるプロモーションです。特定の国や地域からのアクセスに対してのみ、特別な料金を表示させることができます。例えば、雪国にあるリゾートホテルが、スキーシーズンに合わせてオーストラリアからの旅行者限定の割引を設定したり、桜の季節に台湾や香港からの旅行者向け料金を設定したりと、極めて戦略的なインバウンド集客が可能になります。
これらの強力なプロモーションも、使い方を誤れば効果が出ないばかりか、収益を悪化させることさえあります。ここでは、数多くの施設を成功に導いてきたプロが実践する、効果を最大化するための3つの運用の鉄則と、1つの注意点をご紹介します。
プロモーション設定画面を開く前に、必ず目的を言語化しましょう。「誰に(例:オーストラリアからのファミリー層)」「いつ(例:1月〜2月のスキーシーズンに)」「なぜ(例:客室単価の高いインバウンド比率を高めるため)」という目的が明確であれば、自ずと最適なプロモーションの種類と設定値が決まります。この戦略設計こそが、運用の成果を9割決定づけます。
柔軟に組み合わせられるのがExpediaの魅力ですが、注意も必要です。意図せず複数の割引が重複適用され、想定以上に低い料金で販売されてしまうリスクがあります。特に初心者のうちは、まずは目的を一つに絞り、プロモーションも1〜2種類に限定して実施し、その効果をしっかり見極めることから始めましょう。管理画面のカレンダー機能で、どの期間にどのプロモーションが有効かを確認する癖をつけることが重要です。
Expediaの収益構造で忘れてはならないのが、航空券とセットで予約される「パッケージ予約」の存在です。パッケージ予約には、施設側が設定した特別な割引が適用されます。プロモーション料金は、このパッケージ割引の「前」に適用されるため、「プロモーション割引後の料金」から、さらに「パッケージ割引」が引かれることになります。この構造を理解せずに料金設定をすると、収益性が大幅に悪化する可能性があるため、常にパッケージ割引後の最終的な料金を意識してください。
プロモーションは「設定して終わり」ではありません。必ず週に一度、月に一度など、定期的にパフォーマンスレポートを確認しましょう。「設定した地域限定料金は、本当にその国からの予約を増やしているか」「モバイル割引経由の予約は、キャンセル率が高くないか」などを検証します。市場の状況や競合の動きは常に変化します。データに基づいて設定を微調整し続ける、この地道なPDCAサイクルこそが、持続的に成果を出すための唯一の方法です。
この記事では、Expediaのプロモーション機能を戦略的に活用するための基本的な考え方と、具体的な手法について解説しました。しかし、その効果を真に最大化するためには、競合施設の動向や市場データと自施設の状況を照らし合わせ、「どのターゲットに、何%の割引を、どのタイミングで提示するのが最適か」を導き出す、より深い分析と判断が不可欠です。
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