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2025.10.15

2025.10.15

一休.comポイント戦略の核心とは?「1・9・19のつく日」を利益に変えるプロの戦術

毎月定期的に訪れる、一休.comの「1・9・19のつく日」。多くのユーザーがこの日を狙って予約活動を行うため、OTA担当者にとっては売上を大きく伸ばすチャンスです。しかし、その裏で施設負担によるポイントアップが、知らず知らずのうちに利益を蝕んでいる危険性もはらんでいます。 この記事では、このポイントデーを単なる販促イベントではなく、顧客心理を巧みに利用した「需要喚起のトリガー」と捉え、その効果を最大化しつつ、リスクを最小限に抑えるためのプロフェッショナルな戦略を解説します。

なぜ「1・9・19のつく日」は強力なのか?

この定期開催されるポイントデーの強力さを理解するためには、一休.comのユーザー特性と、プラットフォームの根幹をなす「ポイント即時利用」という、他のOTAにはないユニークな仕組みと結びつけて考える必要があります。

「お得」が創り出す、ロイヤルユーザーの予約習慣

「1・9・19のつく日」は、ユーザーにとって「いつ予約すれば最もお得か」が明確に予測できる、定期的なお祭りです。これにより、一休.comのロイヤルユーザーは、「旅行の計画が固まったら、次の"イチキュウの日"を待って予約しよう」という、計画的な購買行動パターンを形成します。これは、施設側から見れば、特定の日に需要が集中する、極めて予測可能性の高い販促機会であると言えます。この日に向けて在庫やプランを戦略的に調整することで、売上を最大化することが可能です。

「ポイント即時利用」との相乗効果が生む予約決定力

この施策が他のOTAのポイントアップキャンペーンと一線を画す最大の理由は、一休.comの代名詞でもある「ポイント即時利用」機能の存在です。ユーザーは、獲得予定のポイントをその場で割引として利用できるため、「10万円の宿泊が、ポイントアップと即時利用で実質8万5千円になる」といった、極めて直接的で強力なインセンティブを享受できます。これは、未来の宿泊でしか使えないポイントよりも遥かにユーザーの心を動かし、特に高価格帯の予約における心理的なハードルを劇的に下げる効果を持ちます。

ポイントデーが顧客行動に与える2つの強力な影響

この定期イベントは、ユーザー心理に巧みに働きかけ、施設の売上に直結する2つの重要な行動変容を促します。このメカニズムを理解することが、戦略的な活用の鍵となります。

「賢い選択」をしたという顧客満足度の向上

「1・9・19のつく日」に予約するという行為は、ユーザーに「自分は情報をよく知っていて、最も賢いタイミングで予約できた」という一種の達成感や満足感を与えます。このポジティブな予約体験は、施設そのものへの満足度にも繋がり、再訪のきっかけとなり得ます。また、この日のためにポイントを貯め、利用するというサイクルは、ユーザーを一休.comというプラットフォームに強くエンゲージさせ、結果として貴施設へのリピート利用の可能性をも高めるのです。

「今、予約しないと損」という損失回避心理の喚起

複数の施設で迷っている、あるいは予約を先延ばしにしている検討層にとって、このポイントデーは強力なトリガーとなります。人の意思決定は「得をしたい」という感情よりも「損をしたくない」という損失回避の心理に強く影響されます。「この日を逃すと、得られるはずだった大量のポイントを失ってしまう」という感覚が、ユーザーの背中を強く押し、本来であれば数日後、数週間後だったかもしれない予約を「今すぐ」に前倒しさせる効果があるのです。

ポイント施策が利益とブランドを蝕む「依存」のリスク

ポイントデーの強力な集客効果は、その裏側に深刻なリスクを内包しています。このリスクを管理できなければ、売上は上がっても利益は残らないという、最も避けるべき事態に陥ります。

正規価格が「割高」に感じられるブランド力の低下

ポイントアップを常態化させてしまうと、顧客の中に「この宿は、"イチキュウの日"にポイントを使って泊まるのが当たり前」という認識(プライスアンカー)が形成されます。これにより、通常期の正規価格が不当に「割高」に感じられるようになり、ポイントデー以外の日には予約が入りにくくなるという、深刻な販売機会の損失を招きます。これは、施設が本来持つ価値(高品質なサービスや食事、空間)が、ポイントという割引要素によって覆い隠されてしまう、ブランド価値の毀損に他なりません。

「見えにくいコスト」による利益圧迫

施設が独自に上乗せするポイントは、言うまでもなく施設の利益から直接的に支払われる「販促コスト」です。1予約あたりのインパクトは小さく感じられても、月間、年間で集計すると、そのコストは決して無視できない金額になります。特に、他の割引クーポンやセールとの併用期間中は、意図せずして過剰な割引が発生し、売上は好調に見えても、最終的な利益は想定を大きく下回るという事態に陥りがちです。この「見えにくいコスト」を常に意識し、管理する視点がなければ、ポイント施策は単なる利益圧迫の要因にしかなりません。

ポイントは「短期集客策」に留め、戦略的に活用する

これまで見てきたように、一休.comのポイントデーは強力な効果と重大なリスクを併せ持つ、まさに「劇薬」のような施策です。プロフェッショナルとして、この劇薬を正しく処方し、利益を最大化するためには、明確な戦略が不可欠です。

ポイント施策は、施設の魅力を伝えるための「長期的・根幹的な戦略」ではなく、あくまで特定の経営課題を解決するための「短期的・戦術的な集客策」であると、明確に割り切るべきです。

例えば、「閑散期の平日の稼働をあと数部屋埋めたい」「新しく造成した高単価プランの初期費用をかけたい」といった、ピンポイントの課題解決のために、期間や対象プランを限定して活用する。そして、その投資(施設負担ポイント)によって、どれだけのリターン(利益増)があったのかを必ず検証する。

この「目的の明確化」と「費用対効果の検証」を徹底し、決して依存することなく、あくまで数あるマーケティングツールの一つとして冷静に使いこなすこと。それこそが、「1・9・19のつく日」を真に施設の利益に貢献させる、唯一の道となります。

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