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2025.10.14

2025.10.14

楽天トラベル「宿カルテ」完全活用術|データ分析で導く売上最大化の次の一手

多くのOTA担当者にとって身近な存在である、楽天トラベルの「宿カルテ」。しかし、その豊富なデータの中から何をどう読み解き、具体的なアクションに繋げれば良いのか、悩んでいる方も少なくないでしょう。宿カルテは、ただ実績を確認するだけのツールではありません。それは、自施設の健康状態を客観的に把握し、的確な次の一手を導き出すための「羅針盤」です。

この記事では、感覚や経験則に頼った運用から一歩踏み出し、データという確かな根拠に基づいて戦略を組み立てるための、実践的な宿カルテ活用術を解説します。

宿カルテは宝の山!まず見るべき3つの重要指標

宿カルテは、自施設のパフォーマンスを多角的に示してくれる、いわば健康診断書のようなものです。この診断書を正しく読み解くことが、効果的な改善策の第一歩となります。まずは複雑に見えるデータの中から、最も重要な3つの指標に絞って現状を把握する思考法を身につけましょう。

宿カルテは施設の健康状態を示す「診断書」

「最近、予約の伸びが悪い気がする」といった感覚的な課題認識は、打ち手を誤らせる原因になります。宿カルテを使えば、「なぜ伸びが悪いのか」を具体的な数値で客観的に把握できます。データという共通言語を持つことで、チーム内での現状認識のズレを防ぎ、論理的な意思決定をすることが可能になります。まずは、この「診断書」と向き合うことから始めましょう。

「アクセス数・転換率・単価」の3つに分解して思考する

売上は、基本的に「アクセス数(PV) × 予約転換率(CVR) × 客室単価(ADR)」という式で成り立っています。宿カルテの数値をこの3つの要素に分解して見ることで、売上が伸び悩んでいる根本原因がどこにあるのかを切り分けて考えることができます。全ての数値を一度に見るのではなく、この3つの指標を起点に分析を進めるのが鉄則です。

「アクセス不足」か「ページの魅力不足」か課題を特定する

3つの指標に分解することで、具体的な課題が見えてきます。例えば、「アクセス数は多いのに、転換率が低い」のであれば、お客様は施設ページを訪れてはいるものの、予約に至るほどの魅力を感じていない、つまり「ページの魅力不足」が課題です。逆に「転換率は高いが、アクセス数が少ない」のであれば、ページの魅力は伝わっているものの、そもそもお客様に見つけてもらえていない「露出不足」が課題となります。このように原因を特定することで、打つべき施策が明確になります。

「競合」や「前年」との比較で自施設の現在地を把握する

施設の数値だけを見ていても、それが良いのか悪いのかを判断するのは困難です。そこで重要になるのが「比較」の視点です。宿カルテでは、エリア内の競合施設や、前年同月の自施設のパフォーマンスと比較することができます。例えば、「前年よりアクセスは増えているが、競合と比べると転換率が低い」といった発見ができれば、より具体的な改善目標を設定することができます。

データから課題を発見する具体的な分析手順

3つの重要指標と「比較」の視点を使って自施設の現状を把握したら、次はいよいよ具体的な課題解決のアクションプランを検討するフェーズです。それぞれの課題に対して、どのような施策が有効なのかを解説します。

アクセス数(PV)が低い場合:露出不足への打ち手を考える

競合や前年と比較してアクセス数が著しく低い場合、お客様が貴施設を発見できていない可能性が高いです。この場合の対策は、施設の「露出」を増やすことに尽きます。具体的には、楽天トラベルのリスティング広告や、季節の特集企画へ参画して強制的に露出を増やす方法や、前回の記事で解説したような掲載順位対策に地道に取り組み、自然検索での発見率を高めていくアプローチが有効です。

転換率(CVR)が低い場合:ページの魅力不足を改善する

アクセスはされているのに予約に繋がらない場合、プランページやカスタマイズページに何らかの課題が隠されています。「写真は魅力的か?」「プラン内容は分かりやすく、お得感があるか?」「カスタマイズページで施設の魅力が十分に伝わっているか?」といった観点で見直しを行いましょう。特に、宿泊予約の決め手となりやすい「食事」や「お風呂」の写真の差し替えは、即効性の高い施策の一つです。

客室単価(ADR)が低い場合:価格競争からの脱却を図る

競合と比較して客室単価が低い場合、不必要な価格競争に陥っている可能性があります。安易な値下げは利益を圧迫し、ブランドイメージを損なうリスクも伴います。この場合は、「記念日用の特典付きプラン」や「連泊者限定の体験アクティビティ付きプラン」など、価格以外の価値を上乗せした高付加価値プランを造成し、客単価の向上を目指す戦略が求められます。

スマートフォン比率を確認し、表示の最適化を徹底する

宿カルテでは、デバイス別(PC、スマートフォン)のアクセス比率も確認できます。多くの場合、アクセスの7割以上をスマートフォンが占めているはずです。この事実を軽視してはいけません。必ず自身のスマートフォンで、自施設のページがどのように見えているかを確認しましょう。「文字は読みやすいか」「写真は綺麗に表示されているか」「予約ボタンは押しやすいか」など、スマホユーザーの視点に立ったページの最適化は、転換率改善の基本中の基本です。

分析を「次の一手」に繋げるための思考法

データを分析し、課題を発見するだけでは意味がありません。その分析結果をいかにして具体的なアクションに落とし込み、成果に繋げていくか。ここでは、分析で終わらせないための戦略的な思考プロセスと、改善を継続させるためのヒントをお伝えします。

最も課題の大きい指標から着手する

分析を行うと、アクセス数、転換率、単価など、複数の課題が見つかるかもしれません。しかし、全て同時に取り組もうとすると、どれも中途半端に終わってしまいます。まずは、競合や前年との比較で、最も数値の乖離が大きく、改善インパクトが大きいと思われる課題を一つだけ選び、そこに集中してリソースを投下しましょう。選択と集中が、成果への最短距離です。

週に一度の定点観測で変化を捉える習慣を

宿カルテの数値は日々変動します。月に一度まとめて見るだけでは、細かな変化や施策の効果を見逃してしまいます。毎週月曜日の朝など、チームで時間を決め、週に一度は必ず宿カルテの主要指標をチェックする習慣をつけましょう。数値を定点観測することで、市場の変化や自施設のパフォーマンスの変動をいち早く察知し、迅速な対応が可能になります。

一度に全てやろうとせず、仮説検証を繰り返す

データに基づいた改善とは、「仮説→実行→検証→改善」のサイクル(PDCAサイクル)を回すことです。例えば、「転換率が低いのは、食事の写真が魅力に欠けるからではないか?(仮説)」→「シズル感のある写真に差し替える(実行)」→「翌週の宿カルテで転換率の変化を確認する(検証)」といった流れです。一度に多くの変更を加えず、一つずつ施策を実行し、その効果を確かめながら進めることが、着実な改善に繋がります。

「流入元分析」で強化すべきページを特定する

宿カルテの「流入元分析」機能を使えば、ユーザーがどのページを経由して自施設のプラン一覧ページにたどり着いたかを確認できます。もし「宿トップ(カスタマイズページ)」からの流入が多いにも関わらず転換率が低いのであれば、カスタマイズページの内容に問題がある可能性が高いと判断できます。このように、流入元データを分析することで、どのページの改善に注力すべきかを、より具体的に特定することが可能になります。

まとめ

楽天トラベルの「宿カルテ」は、日々の実績を確認するだけの単なるレポートではありません。それは、自施設の課題を客観的にあぶり出し、感覚や経験則に頼らない、データに基づいた戦略的な次の一手を導き出すための強力な武器です。

本記事で解説した「アクセス数・転換率・単価」という3つの視点で現状を分析し、課題を特定。そして、その課題に対して仮説を立て、具体的なアクションを実行し、再びデータで効果を検証する。このPDCAサイクルを粘り強く回し続けることこそが、OTA運用を科学し、持続的な売上向上を実現する唯一の道です。ぜひ、明日から宿カルテとの向き合い方を変え、データ活用の第一歩を踏み出してみてください。

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