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2025.05.26

2025.05.26

【一休.com VS 楽天トラベル!?】ホテル・旅館が直面するOTAにおける”特定日依存”の深刻化

楽天トラベル「5と0のつく日」の喧騒、それはホテル集客の日常かもしれません。
しかし2025年、その常識を揺るがす変化が起きています。本記事では、プロの視点でOTA集客の最前線を読み解き、楽天・一休.comの最新戦略から、競争を勝ち抜き「自社主導で売上の山場をつくる」ための道筋を明らかにしていきます。

1.激化するキャンペーン合戦とホテルの苦悩

オンライン旅行代理店(OTA)市場で、主要プラットフォーム同士の競争が新たな局面を迎えています。楽天トラベルの強固な集客力に対し、一休.comやじゃらんも巻き返しを図る中で、ホテルは特定日に依存せざるを得ない構造に追い込まれつつあります。本章では、こうした業界の最新動向とホテル側の課題を整理します。

1-1. 楽天トラベルの揺るぎない集客基盤

現在のOTA市場において、楽天トラベルが持つ集客力は依然として絶大です。特に「5と0のつく日」のポイントアップキャンペーンや、年に数回開催される「楽天スーパーSALE」は、楽天経済圏の膨大なユーザーを旅行市場へと誘導し、宿泊予約の大きな山場を形成しています。多くのホテルが、これらの特定日に合わせたプラン提供や在庫調整を余儀なくされているのが実情であり、楽天トラベルが集客の主導権を握っている側面は否定できません。

1-2. 一休.comの戦略転換と楽天セールへの真っ向勝負

こうした楽天の動きに対し、首都圏ユーザーを多く抱え込む一休.comでは、「1のつく日」「9のつく日」「19のつく日」に、2025年に入り明確な戦略転換が見られます。
特筆すべきは、2025年3月以降、楽天スーパーSALE期間や「5と0のつく日」といった楽天トラベルの主要なセール日に、一休.comが意図的かつ大規模にセールや高率のポイントアップキャンペーンを重複させて展開するようになったことです。

この動きは、単なる偶然や一時的なものではなく、明確な戦略的意図に基づいていると考えられます。楽天が生み出すマスな旅行需要の波に乗り、その一部を自社プラットフォームへ誘導すること。また、高級志向の顧客層を維持しつつも、より幅広い層へのアプローチを強化し、市場シェアを拡大しようとする狙いがあるのかもしれません。いずれにせよ、一休.comの「真っ向勝負」とも言える戦略は、OTA間の競争を新たなステージへと押し上げています。

1-3. ホテルが直面する「特定日依存」の深刻化

一休.comの動きと呼応するように、じゃらんもまた、ホテルに対して「5と0のつく日」に合わせた施設発行クーポンの提供を積極的に働きかけています。これは、一休.comのセールによって喚起された旅行需要を、自社プラットフォーム内で確実に刈り取るための動きと言えるでしょう。

このOTA間の熾烈な競争は、ホテルの予約を特定日に極度に集中させ、レベニューマネジメントを複雑化。現場の疲弊と手数料負担増による利益率の圧迫という、深刻な経営課題を突きつけています。

2.ホテルが直面する「二極化」と「カニバリ」の現実

楽天、一休.com、じゃらんという大手OTAの戦略が複雑に絡み合う中で、ホテルはどのような経営判断を迫られているのでしょうか。そこには、「二極化」と「カニバリゼーション」という無視できない現実があります。

2-1. 価格競争の「買い手市場」か、独自価値の「売り手市場」か

OTA間のセール合戦は、必然的にホテルを価格競争が主導する「買い手市場」へと引き込みやすくなります。顧客はより安いプラン、よりお得なクーポンを求めてOTA間を回遊し、ホテルは割引による集客に頼らざるを得なくなる。これは、短期的な稼働率確保には繋がるかもしれませんが、長期的に見れば利益率の低下とブランド価値の毀損を招く危険な道です。

一方で、楽天が会員プログラムを強化したり、一休.comが高級路線を維持しようとしたりする動きは、価格以外の「独自の価値」で選ばれる「売り手市場」の可能性も示唆しています。ホテルが目指すべきは、この「売り手市場」で確固たるポジションを築くことではないでしょうか。

2-2. 顧客属性の分析と「カニバリゼーション」リスクの検証

各OTAの施策に乗る際には、それぞれのプラットフォームを利用する顧客の属性を深く理解することが不可欠です。楽天ユーザー、一休.comユーザー、そして自ホテルの主要顧客層は、それぞれどのような価値観を持ち、何を求めているのでしょうか。

例えば、楽天のセールに安易に追随することで、本来なら正規料金やより高い付加価値プランで予約してくれたかもしれない顧客が、割引プランに流れてしまう「カニバリゼーション(共食い)」が発生していないでしょうか。施設ごとの詳細なデータ分析に基づき、各OTAとの付き合い方、そして自社ブランドの守り方を戦略的に考える必要があります。

3.OTAセールは「危機」か「千載一遇の好機」か?

OTA間の顧客獲得競争は、ホテルにとってただの脅威なのでしょうか?私たちmicadoの分析は、そこに大きな「機会」が潜んでいることを示しています。重要なのは、その構造を理解し、戦略的に活用することです。

3-1. OTAセールの「ビルボード効果」を最大限に活用する

OTAの大型セールは、その強力なマーケティング力によって、普段ホテルを探していない層も含め、多くの人々の旅行意欲を刺激します。そして重要なのは、OTAで魅力的なホテルを見つけたユーザーの多くが、予約を確定する前に、より詳細な情報や公式サイト限定のプランを求めて、そのホテルの「公式サイト」を訪れるという行動パターンです。

これは、OTAがホテルの認知度向上に貢献する「ビルボード効果(広告塔効果)」と呼べる現象です。この効果を理解し、公式サイトを最高の受け皿として準備しておくことが、OTAの集客力を自社の利益に転換するための第一歩となります。

3-2. OTAセールに「被せる」自社予約戦略で予約数4.6倍の実績

では、このビルボード効果を最大限に活用すると、具体的にどのような成果が期待できるのでしょうか。

私たちのクライアント施設の協力を得て行った分析では、OTAの大型セール期間中に、公式サイトでも戦略的に同等以上の魅力あるキャンペーンを同時開催(つまり「被せて」展開)した場合、通常の自社キャンペーンのみを実施している期間と比較して、1日の平均自社予約数が約1.7〜4.6倍に増加するという顕著な結果が出ています。

このデータは、OTAの集客力をテコにして、手数料のかからない収益性の高い直接予約を大幅に伸ばせるという、ホテルにとって非常に明るい可能性を示しています。

4. 【実践戦略】OTA依存から抜け出す方法とは?

この最新のOTA動向とデータを踏まえ、ホテルは具体的にどのような戦略を構築すべきなのでしょうか。私たちは、OTAの波を巧みに乗りこなし、自社の主導権を確立するための具体的なステップを提案します。

4-1.OTAセールに「乗っかり」「差別化」する自社サイト戦術の徹底

まず基本となるのは、OTAセールという大きな波に賢く「乗っかり」、その集客力を自社サイトへ誘導し、さらにそこで「差別化」を図る戦術です。OTAセール日には、自社サイトでも魅力的なプランを「被せて」展開します。その際、単なる価格追随ではなく、公式サイトで予約するからこその明確なメリットを打ち出すことが重要です。

例えば、客室のアップグレード保証、レイトチェックアウト無料、館内利用券のプレゼント、あるいは次回利用可能な特典など、顧客が「公式サイトが一番お得で、特別な価値がある」と感じる独自性を追求します。
そして、これらのキャンペーン情報は、OTAセールが始まる前から、自社のウェブサイト、SNS、メールマガジンなどを通じて積極的に告知し、顧客を直接自社サイトへ誘導する努力が不可欠です。

4-2.楽天・一休”以外”に独自で集客ピークを設計する

次のステップは、OTAのセールカレンダーに振り回されるのではなく、ホテル独自の魅力や強みを活かして「自ら集客の山場を創る」という主体的な意識を持つことです。

例えば、その季節ならではの食材を活かした料理長の特別ディナーウィーク、地元アーティストや文化団体と連携した体験型イベント、特定のテーマ(ウェルネス、アート、歴史など)に特化した宿泊プラン、あるいは既存顧客向けのクローズドな感謝イベントなどを企画し、年間を通じて自社主導の集客ピークを戦略的に設計します。これにより、OTAのセール日に依存しない安定した集客構造を構築できます。

4-3.OTAに依存しない「ブランド」と「顧客管理」の強化

目先の集客施策と並行して、長期的な視点でホテルの「ブランド価値」を高め、顧客との継続的な関係、すなわち「エンゲージメント」を築く努力が、OTA依存からの真の脱却には不可欠です。
そのためには、まず自ホテルの独自の魅力を伝える質の高いコンテンツマーケティング(例えば、ブログでのストーリー発信、SNSでの日々の魅力発信)を継続的に行うことが重要です。

また、CRM(顧客関係管理)システムを活用し、顧客データを分析し、個々の顧客に合わせたパーソナルなコミュニケーションやオファーを提供することで、顧客ロイヤルティを高め、リピーターを育成します。強力なブランドと熱心なファンは、OTAの価格競争とは無縁の、安定した集客基盤となります。

まとめ:”自社で集客の山場をつくる”が今後のキーワード

楽天トラベル、一休.com、じゃらんをはじめとするOTAの戦略は、今後も絶えず変化していくでしょう。この大きな潮流を正確に読み解き、その動きを逆手にとって自社の利益に繋げるしたたかさと、同時にOTAに過度に依存することなく自社のブランドと集客力を高めていく主体性が求められます。

「自社で集客の山場を作る」という意識を持つこと。それこそが、OTA依存から少しでも抜け出すために欠かせない取り組みであることと、OTA運用以外のブランド認知拡大や顧客ロイヤルティを高めるマーケティング活動が鍵となります。

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最後に、宿泊施設の魅力を最大限に引き出し、適切なターゲットに届けるためには、データに基づいた現状分析が欠かせません。

☑︎自社のマーケティング施策が本当に効果を発揮しているのか?
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こうした疑問に対して、定量的なデータと専門的な視点から導き出された答えがあると、次の一手も自信を持って打つことができます。

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