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2025.04.26

2025.04.17

宿泊客を増やす戦略とは?集客力UPの秘訣は”施策”ではなく「設計図」で決まる

「宿泊客を増やしたい」のに、なぜか成果が出ない…その原因は、場当たり的な施策にあるかもしれません。この記事では、集客がうまくいかない根本理由と、成功の鍵となる「戦略設計」の重要性を解説します。現状分析からターゲット設定、具体的な施策選定まで、集客を最大化するための「設計図」の描き方が分かります。小手先のテクニックではなく、持続的な成長を実現する戦略的アプローチを学びましょう。

なぜ宿泊客が増えない?戦略不在が招く6つの落とし穴

「様々な施策を試しているのに、なぜか宿泊客が増えない…」多くのホテルや旅館の経営者、マーケティング担当者が抱える深刻な悩みです。その根本的な原因は、個別の集客施策そのものではなく、その根幹にあるべき「戦略(=設計図)」の不在にあるケースが非常に多いのです。
ここでは、宿泊客の増加を妨げている、戦略不在のホテル・旅館に共通して見られる8つの落とし穴について、具体的な問題点とその影響を深掘りしていきます。

1.集客チャネルの偏り

宿泊客を集めるための経路、すなわち集客チャネルが特定のプラットフォームに偏りすぎている状態は、経営上の大きなリスクとなります。特に、多くの施設で陥りがちなのがOTAへの過度な依存です。じゃらんや楽天トラベル、Booking.comといった大手OTAは集客力がある反面、以下のような問題点を抱えています。

・高額な手数料負担
・価格競争の激化
・顧客データの獲得困難
・ブランドコントロールの限界

もちろんOTAは重要な集客チャネルの一つですが、依存度が高まりすぎると経営の自由度が失われ、不安定な収益構造に陥る危険性があります。自社公式サイトからの予約(ダイレクトブッキング)比率を高めること、そしてSNS、広告、メディア、地域連携など、複数のチャネルをバランス良く組み合わせる「チャネルミックス」の最適化が、安定した集客と収益確保には不可欠です。

2.価格設定の失敗

宿泊料金の設定は、ホテルの収益を左右する極めて重要な要素です。しかし、「なんとなく」「競合に合わせて」といった根拠の曖昧な価格設定を行っているケースが後を絶ちません。戦略に基づかない価格設定は、様々な問題を引き起こします。

・安易な値下げによる弊害
・高すぎる価格設定による機会損失
・需要変動への対応不足

適切な価格設定のためには、需要予測、競合施設の価格動向、自社の提供価値(立地、設備、サービス、ブランド力など)、そしてコスト構造を総合的に分析し、戦略的に料金を決定する必要があります。シーズンや曜日、残室数に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングの導入も、収益最大化のための有効な手段です。価格は単なる数字ではなく、ホテルの価値を顧客に伝えるメッセージでもあるのです。

3.ターゲットの不在

「すべての人に来てほしい」という考え方は、一見すると間口が広く見えますが、マーケティング戦略においては多くの場合、失敗を招きます。「誰に」自社のホテル・旅館の価値を届けたいのか、すなわちターゲット顧客が明確に定義されていない状態では、効果的なアプローチができません。

・メッセージの曖昧化
・チャネル選択のミスマッチ
・商品・サービスのミスマッチ

「どのような人に泊まってほしいのか?」を具体的に考えることが重要です。
年齢、性別、居住地、職業といったデモグラフィック情報だけでなく、ライフスタイル、価値観、旅行の目的、予算感、情報収集の方法といったサイコグラフィック情報まで掘り下げ、具体的な顧客像(ペルソナ)を設定することが、効果的な戦略立案の第一歩となります。ターゲットを絞り込むことで、より深く、的確にメッセージを届け、選ばれる理由を明確にすることができるのです。

4.情報発信不足

どんなに素晴らしい施設やサービスを持っていても、その魅力が潜在的な顧客に伝わらなければ、予約に繋がることはありません。自社のホテル・旅館に関する情報発信が質・量ともに不足している、あるいは発信方法が適切でない場合、顧客は存在すら認知できず、比較検討の土俵に上がることさえできません。

・公式サイトの情報不足・魅力不足
・SNS活用の欠如または非効果的な運用
・コンテンツマーケティングの視点不足
・口コミ・レビューへの無関心

情報発信は、単に情報を「出す」だけでなく、「届ける」「共感を呼ぶ」ことを意識する必要があります。ターゲット顧客が求める情報を、適切なチャネルを通じて、魅力的な形で継続的に発信し続けることが、認知度向上と予約獲得に繋がります。

5.顧客体験の軽視

宿泊客は、単に「泊まる場所」を求めているだけではありません。予約検討段階から始まり、チェックイン、滞在中、チェックアウト、そして帰宅後に至るまでの一連の「顧客体験(CX:Customer Experience)」全体を評価しています。この顧客体験の質が低いと、リピート利用に繋がらないばかりか、ネガティブな口コミが拡散し、新規顧客の獲得まで妨げてしまう可能性があります。

・予約プロセスの不便さ
・スタッフの接客品質
・アメニティや食事の質
・期待を超える「おもてなし」の欠如
・滞在後のフォロー不足

顧客体験の向上は、単なる「サービス改善」にとどまりません。顧客の期待を理解し、それを超える価値を提供することで、顧客満足度を高め、良い口コミを生み出し、リピーターやファンを育成するという、持続的な成長サイクルの基盤となるのです。アンケートや口コミを分析し、顧客の声を真摯に受け止め、改善を続ける姿勢が不可欠です。

6.競合分析不足

自社のホテル・旅館を取り巻く競争環境を正しく理解していなければ、効果的な戦略を立てることはできません。周辺の競合施設がどのような戦略を取り、どのような強み・弱みを持っているのかを把握しないまま運営している状態は、市場での自社の立ち位置を見誤り、効果のない施策にリソースを浪費してしまう原因となります。

・競合の特定と把握不足
・分析対象項目の偏り
・分析手法の欠如
・分析結果の活用不足

定期的な競合分析は、自社の現在地を確認し、進むべき方向性を定めるための羅針盤となります。競合の動きを常に把握し、市場の変化に対応しながら、自社ならではの価値を磨き上げ、競争優位性を確立していくことが重要です。

これらの6つの落とし穴は、個別の問題として現れているように見えても、その根底には「どのような顧客に、どのような独自の価値を提供し、それをどのように届けるか」という一貫した戦略設計が欠けているという共通の原因が存在していることが多いのです。次の章では、これらの課題を克服し、宿泊客を着実に増やしていくための具体的な戦略設計のステップについて解説します。

宿泊客を増やす戦略設計5つのステップ

多くのホテルや旅館が、様々な集客施策に取り組んでいるにもかかわらず、思うように宿泊客が増えない現実に悩んでいます。その原因は、施策そのものではなく、それらを導く「戦略=設計図」が描けていないことにあります。バラバラにアイデアを実行しても、大きな成果にはつながりません。大切なのは、明確な戦略に基づき、すべての施策を一貫性のある流れに乗せることです。

ここでは、持続的に宿泊客を増やすために必要な戦略設計を、5つのステップでわかりやすく解説します。

ステップ1:現状分析(自社の強みと弱みを把握)

まず必要なのは、自社の現状を冷静に見つめ直すことです。感覚ではなく、客観的なデータに基づいて、強みと弱みを整理します。
強みとは、たとえば「絶景を楽しめる露天風呂」「駅近でアクセス抜群」「地元食材を使った料理」など。他と比べて優れている点です。逆に弱みは、「施設が古い」「人手不足」「特定サイトへの依存度が高い」など、改善が必要なポイントです。
さらに、外部環境も確認します。たとえば「インバウンド需要回復」や「ワーケーションの流行」といったチャンス、「新しい競合施設の出現」や「景気悪化」などのリスクにも目を向けましょう。ここをしっかり行うことで、今後どこに力を入れるべきか、判断しやすくなります。

ステップ2:ターゲット設定(誰に届けるかを決める)

次に、「誰に来てもらいたいか」をはっきりさせます。全員に好かれようとすると、誰にも響かないホテルになりがちです。
自社の強みに共感し、価値を感じてくれる人を具体的にイメージしましょう。例えば、「静かな環境で癒されたい30代夫婦」「子供と一緒に思い出を作りたいファミリー層」などです。
ターゲットが明確になると、どんなプランやサービスを用意すべきか、どの広告媒体を使うべきかも自然に見えてきます。

ステップ3:USP設定(選ばれる理由を作る)

次は、「なぜこのホテルを選ぶべきか」という明確な理由(USP:Unique Selling Proposition)を作ります。
単なる特徴ではなく、ターゲットにとって「これこそ欲しかった!」と思える独自の価値を言葉にしましょう。例えば、「源泉かけ流しの貸切露天風呂付き客室で、静かな記念日ステイ」など。
USPが定まると、広告やウェブサイト、SNSなどすべての発信が一貫し、ホテルのブランド力も高まります。

ステップ4:時間軸設定(短期と中長期をバランス良く)

戦略を考えるときは、短期(すぐの売上)と中長期(ブランド育成やリピーター作り)の両方を意識することが大切です。
短期施策には、直前割引や季節限定キャンペーンなどがあります。
一方、中長期では、ホームページの強化、口コミの育成、スタッフ教育などが挙げられます。
短期だけでは疲弊し、中長期だけでは売上が立ちません。両輪をうまく回す計画を立てましょう。

ステップ5:施策選定(戦略に沿ってアイデアを選ぶ)

最後に、これまで整理してきた現状・ターゲット・USP・時間軸をふまえて、どの施策をやるかを選びます。
「流行っているから」「思いついたから」で動くのではなく、「この施策はターゲットに刺さるか?」「USPを強く伝えられるか?」という視点で判断します。
そして、各施策には「どのくらい予約が増えたか」「どれだけ売上に繋がったか」など、効果を測る指標(KPI)を設定し、必ず結果をチェックしましょう。うまくいった施策は続け、効果が弱いものは改善する。このPDCAサイクルを回し続けることが、成功への近道です。

まとめ|アイデアだけではダメ。戦略に沿った施策で勝つ!

宿泊客を着実に増やすために必要なのは、ひらめきや流行りではありません。
いま求められているのは、現状を冷静に見極め、ターゲットに響く独自の価値を描き、それを確実に届ける「戦略=設計図」です。
これからの宿泊業界は、ただ部屋を売るだけでは生き残れません。顧客体験を磨き、ブランドを築き、ファンを育てる戦略的な取り組みが不可欠になります。

今こそ、目先の集客に追われるのではなく、未来を見据えた一歩を踏み出しましょう。設計図を描き、着実に行動できる施設こそが、時代の波を越え、選ばれ続ける存在になります。未来を変える力は、間違いなく、あなた自身の手の中にあります。

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最後に、宿泊施設の魅力を最大限に引き出し、適切なターゲットに届けるためには、データに基づいた現状分析が欠かせません。

☑︎自社のマーケティング施策が本当に効果を発揮しているのか?
☑︎競合と比べて強みや課題はどこにあるのか?
☑︎OTAやSNSの運用は最適化されているのか?

こうした疑問に対して、定量的なデータと専門的な視点から導き出された答えがあると、次の一手も自信を持って打つことができます。

micadoの「現状分析」は、宿泊業界に特化した視点で貴社のマーケティング課題を可視化し、具体的な改善策を提示するサービスです。

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