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Webサイト最適化 直接予約

2025.11.20

2025.11.20

公式サイトは予約ボタンで変わる!? 離脱されない最適な配置や見せ方でCVを改善

宿泊施設の公式サイトにおいて、どれだけ魅力的な写真やプランを用意しても、最終的にお客様が「予約ボタン」を押さなければ、CVR(予約転換率)は0のままです。このボタンは、単なるデザインの一部ではなく、お客様の予約行動を完結させる「最後の砦」であり、サイトの収益性を左右する最も重要なUI(ユーザーインターフェース)です。

しかし、多くのサイトが「なんとなく」の感覚でボタンを配置し、膨大な機会損失を生んでいます。本記事では、サイトを「デザイン」ではなく「UX(収益動線)」として設計する視点から、CVRを最大化する予約ボタンの戦略的な配置・設計・改善プロセスを、データドリブンに解説します。

鉄則:ヘッダー固定とFV(右上)配置

CVR改善の第一歩は、予約ボタンを「どこに置くか」という配置戦略です。お客様がサイトのどのページにいても、どの瞬間でも、「予約したい」と思った瞬間にその行動を完結させられるUIこそが、機会損失を防ぐ最強のUX設計です。

ユーザーの”視線誘導”を知ること

Webサイトを閲覧する際、ユーザーの視線は無意識に特定のパターンで動きます。横書きの文化圏では、左上から右上へ(Zの法則)、または左上から下へ視線を移し、興味のある箇所で右へ視線を動かす(Fの法則)のが一般的です。

どちらの法則においても、ページの「右上」は、ユーザーが情報を一通りインプットし、次の行動(あるいは離脱)を決定する際の「最終到達点」となりやすい黄金ポジションです。Amazonや楽天、あるいは多くのOTAサイトが、カートボタンやログイン、予約ボタンを「右上」に配置しているのは、このユーザー心理と視線誘導の鉄則に基づいています。ここに予約ボタンを配置することは、ユーザーにとって最も「自然」でストレスのない導線設計なのです。

いつでも予約に移れるように仕掛け

PCサイトにおいて「右上」にボタンを置くだけでは不十分です。ユーザーが客室や料理の魅力的な写真を見るためにページを下にスクロールした際、ヘッダーごと予約ボタンが画面外に消えてしまっては意味がありません。

コンテンツを読んで「泊まりたい」という感情が最高潮に達した瞬間、予約ボタンが画面外にあれば、ユーザーはわざわざページ上部まで戻るというストレスを感じ、その熱量が冷めてしまう可能性があります。

これを防ぐのが「追従ヘッダー」です。スクロールしても常に画面上部にヘッダーを固定表示させ、そこに予約ボタンを配置することで、ユーザーは「いつでも(=泊まりたいと思った瞬間に)」予約行動に移ることができます。この「いつでも予約できる安心感」こそが、機会損失を防ぐ上で極めて重要なUX設計です。

スマホの場合:ヘッダーまたはフッターに固定表示

スマートフォンの場合、画面領域がPCとは根本的に異なります。PCと同じ感覚で「右上」に大きな予約ボタンを配置すると、施設ロゴやメニューと干渉し、UIが破綻します。

スマホUIの鉄則は、「親指の操作性」を考慮することです。最も一般的なパターンは2つあります。

  1. ヘッダー固定:PC同様、ヘッダーを追従させ、右上には「予約」というテキスト、あるいはカレンダー型の「アイコン」を小さく配置する。
  2. フッター固定:画面の最下部(親指が最も届きやすいエリア)に、「プラン一覧」「ご予約はこちら」といったテキストが入った帯状のボタンを常に表示させる。

どちらが優れているかは施設のターゲット層やサイトデザインによりますが、重要なのは「スクロールしても常に予約への導線が確保されている」状態を設計することです。

ボタンは「色が塗られた」デザインにする

デザイン性を重視するあまり、背景色に溶け込むような「ゴーストボタン(枠線だけで中が透明なボタン)」を採用するサイトがありますが、これはCVRの観点からは悪手となるケースが多いです。なぜなら、ユーザーがそれを「クリックできるボタンである」と瞬時に認識できない可能性があるからです。

予約ボタンの役割は「目立つこと」そして「押せそう」だと直感させることです。サイトのブランドイメージを損なわない範囲で、しっかりと色が塗られた「ソリッドボタン」を採用し、他のテキストリンクとは明確に差別化された「ボタン」としての存在感を担保することが、クリック率(CTR)を高める基本です。

ボタンの「色」「文言」のABテスト

最適な「位置」にボタンを配置したら、次のステップは、そのボタンの「見た目(色)」と「言葉(文言)」の最適化です。これらは、ユーザーの心理に直接作用し、クリック率(CTR)、ひいては最終的なCVR(予約率)を劇的に変える力を持っています。これを感覚で決めてはいけません。

色の鉄則「目立つ色」(アクセントカラー)を使用する

予約ボタンの色は、サイトの「おしゃれさ」ではなく、「視認性(目立つこと)」を最優先に決定すべきです。サイト全体が青色や白色を基調(ベースカラー)としているにも関わらず、予約ボタンまで同系色の青色やグレーにしてしまうと、背景に埋もれてしまい、ユーザーに「ボタンの存在」を気づかせることができません。

ここで用いるべきは「アクセントカラー」です。サイトのメインカラーとは異なる、心理学的に「行動」や「注意」を喚起する色(例えば、ベースが青なら補色に近いオレンジや、安心感と進むイメージを与える緑など)を、予約ボタンやCVRに関わる重要箇所「だけ」に限定して使用します。これにより、ユーザーの視線は自然とボタンに誘導され、クリック率の向上が期待できます。

クリック要素は最も伝わる言葉を選ぶ

ボタンに書かれる「文言(マイクロコピー)」は、ユーザーが「ボタンを押した先に何が起こるか」を瞬時に理解させ、行動を促すための重要なトリガーです。どの文言が最適かは、施設の特性とターゲット層によって異なります。

・「空室検索」:日付や人数が未定の「検討層」や、日程ありきで探すビジネス客に有効です。ただし、日付入力の手間を感じさせる可能性もあります。

・「宿泊予約」/「ご予約はこちら」:最も一般的で、目的が明確です。

・「プラン一覧」/「プランを見る」:「まずはどんなプランがあるか知りたい」という、比較検討層の心理的ハードルを下げ、次のステップ(プランページ)へ誘導するのに効果的です。

・「RESERVE」/「BOOK NOW」:高級ホテルや外資系ホテルで、ブランドイメージの統一やインバウンド顧客を意識する場合には有効ですが、国内のシニア層などには伝わらないリスクもあります。

施設の主なターゲット層が、どの言葉なら迷わず「押したい」と感じるかを戦略的に選定する必要があります。

A/Bテストで、クリック率が最も高い色・文言を見つける

最適な色や文言は、施設ごとのターゲット層やサイトデザインによって異なるため、「絶対的な正解」は存在しません。そこで不可欠となるのが「A/Bテスト」です。

Microsoft Clarity(無料)や、かつてのGoogle OptimizeのようなA/Bテストツールを導入し、「パターンA(現在のボタン:緑色で『空室検索』)」と「パターンB(改善案:オレンジ色で『プラン一覧』)」を、サイト訪問者にランダムで表示し分け、どちらのボタンのクリック率(CTR)や、その後の予約完了率(CVR)が高いかを、実際の「データ」に基づいて検証します。

マーケティング責任者の役割は、感覚でデザインを議論することではなく、この「仮説→実行→検証→改善」のサイクルを回し続け、CVRを0.1%でも高めていく仕組みを構築することです。

【成功事例】プランページへの遷移率が1.5倍になったケース

私たちが支援したあるリゾート旅館では、ヘッダー固定ボタンの文言が「空室検索」でした。しかしアクセス解析の結果、多くのユーザーが日付を入れずに、まず「プラン」や「客室」のページを回遊していることが分かりました。

そこで「お客様は日付入力(検索)よりも、まずはプラン比較をしたいのではないか」という仮説を立て、ボタンの文言を「空室検索」から「プラン一覧へ」に変更するA/Bテストを実施しました。

結果、ボタンのクリック率(=プラン一覧ページへの遷移率)は1.5倍に改善し、プランページ経由のCVRも向上しました。これは、ユーザーの「まずはプランを見たい」という心理的ニーズと、ボタンの文言(マイクロコピー)が合致した好例です。

「押しすぎ」の落とし穴と最適な頻度

ボタンは「位置」と「見た目」を最適化すれば完了、というわけではありません。最後の論点は「頻度(数)」です。CVRを上げたい一心でボタンを多用しすぎると、かえってユーザー体験を阻害し、ブランドイメージを毀損する「落とし穴」に繋がります。

ボタンが多すぎるとユーザーの離脱に繋がる

サイトのあらゆる場所に「ご予約はこちら!」というボタンが点滅していたり、スクロールするたびにポップアップバナーが表示されたりするサイトを想像してください。ユーザーは「売り込み感が強い」「コンテンツが読みにくい」と感じ、施設に対してネガティブな印象(=安っぽい、必死だ)を抱き、サイトから離脱してしまいます。

特に、施設の「こだわり」や「世界観」を伝えるべき高級旅館やラグジュアリーホテルにおいて、過度なCTA(行動喚起)は、ブランド価値を著しく毀損する危険な行為です。ボタンは、闇雲に数を増やすのではなく、最も効果的な「タイミング」で提示するという戦略的な「引き算」の視点が求められます。

クリック要素を配置する最適なタイミング

では、ヘッダー固定以外で、ボタンを配置すべき最適な「タイミング」はどこでしょうか。それは、ユーザーがコンテンツを読み終え、その施設への興味・関心、すなわち「泊まりたい」という感情が最も高まった「直後」です。

例えば、「客室紹介」ページで、最もグレードの高いスイートルームの魅力的な写真と説明文を読み終えた直後。
ここに、「この客室に泊まれるプランはこちら」という、文脈に沿ったCTAボタンを配置します。「お料理」ページで、料理長のこだわりの会席料理の説明を読み終えた直下も同様です。

ユーザーの感情の「モーメント(瞬間)」を捉え、その感情が冷めないうちに次の行動(プラン比較・予約)へとスムーズに誘導する。これが、コンテンツとCVRを連動させる戦略的なボタン配置です。

まずは「ヘッダー固定」を最優先にすること

ボタン配置戦略の優先順位を整理します。
最優先:サイトのどのページ、どの階層にいても予約機会を逃さないための「ヘッダー固定ボタン(またはスマホのフッター固定ボタン)」の設置。これがCVRの土台となります。

次点:各コンテンツ(客室、料理、温泉など)の魅力を伝えきり、ユーザーの感情が高まった直下に配置する「コンテンツ連動型ボタン」。

マーケティング責任者は、まずこの「ヘッダー固定」という土台が、UIの鉄則(右上配置、目立つ色、適切な文言)に沿って正しく設計されているかを最優先で確認・改善すべきです。その土台を固めた上で、各コンテンツページからの導線を最適化していくのが、CVR改善の王道パターンです。

まとめ

宿泊施設の公式サイトにおいて、「予約ボタン」は単なるデザイン要素ではなく、サイトの収益を決定づける「最重要の戦略的UXパーツ」です。このボタンの設計一つで、CVRは劇的に変わります。

本記事では、その最適化のために不可欠な3つの視点を解説しました。第一に、ユーザーの視線誘導と機会損失防止の観点から、「ヘッダー固定(PCは右上、スマホはヘッダーorフッター)」という「位置」の鉄則。第二に、背景色から際立ち、行動を喚起する「アクセントカラー」と、ターゲットに響く「文言」を選定し、A/Bテストで検証する「見た目」の最適化。

そして第三に、過度な「押し売り」を避け、ユーザーの感情が高まった「タイミング」で提示する、「頻度」の戦略。これらを感覚ではなくデータドリブンに改善し続けることで、お客様が迷わず、ストレスなく予約完了できる“収益動線”が完成します。まずは貴施設の「予約ボタン」が、この鉄則に沿っているか、今すぐ確認してみてください。

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