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Webサイト最適化 直接予約

2025.11.20

2025.11.20

公式サイト“使いにくい”をゼロに|速度・視認性・一貫性で直接予約を底上げ

多大なコストをかけて公式サイトをリニューアルしても、CVR(予約転換率)が上がらない。その原因は、デザインの美しさではなく、「使いにくさ(UX)」にあるかもしれません。お客様は、サイトが重い、ボタンが分かりにくい、と感じた瞬間に即離脱し、OTAに戻ってしまいます。

本記事では、数百の施設改善実績から導き出した、直販率向上に不可欠なUX設計の「3つの原則」を解説します。読者が「デザイン発注者」から「UX設計者」へ思考をアップデートし、サイトを収益動線として再設計する実践的ノウハウを提供します。

原則1:速度(3秒の壁)

UX設計の第一原則は、お客様を「待たせない」ことです。どれだけ美しいデザインも、表示されなければ存在しないのと同じです。特に、OTAと比較検討しているユーザーにとって、表示速度の遅れは致命的な離脱原因となります。技術的な快適性を担保することが、CVR改善の土台です。

サイトの表示速度が「3秒」を超えてはダメ?

マーケティングの世界では「3秒の壁」という言葉が広く知られています。Googleの調査によれば、モバイルページの表示に3秒以上かかると、53%のユーザーが離脱すると報告されています。これは、宿泊施設の公式サイトにとって他人事ではありません。

特に、OTAの高速な表示(最適化されたアプリやサイト)を体験した直後に公式サイトを訪れ、「重い」と感じさせてしまう。この0コンマ数秒のストレスが、お客様の期待感を削ぎ、比較検討の土俵から降りる十分な理由となってしまいます。CVR改善は、この「3秒」との戦いから始まります。

写真の圧縮方法でページ読み込みをスムーズに

宿泊施設のサイトが重くなる最大の原因は、「美しいが重い写真データ」です。高解像度のままアップロードされた客室や料理の写真は、ページの読み込み速度を著しく低下させます。

対策は「圧縮」と「次世代フォーマットの採用」です。TinyPNGのようなツールで画質を保ったままファイルサイズを圧縮するのは基本です。さらに中〜上級者向けには「WebP(ウェッピー)」形式での画像配信を推奨します。WebPは、従来のJPEGやPNGよりも高い圧縮率と高画質を両立するフォーマットであり、サイトの表示速度を劇的に改善します。

Googleが評価するSEO(検索順位)にもたらす影響

サイトの快適性は、今やSEO(検索エンジン最適化)の評価指標にもなっています。Googleは「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」という3つの指標(LCP:読み込み速度, FID:操作への応答性, CLS:レイアウトの安定性)を用いて、ページの「使いやすさ」を数値化しています。

このスコアが悪いサイトは、Googleから「ユーザー体験が悪いサイト」とみなされ、検索順位にも悪影響を及ぼす可能性があります。つまり、サイト速度の改善は、CVR(予約率)だけでなく、SEO(流入数)にも直結する、マーケティング責任者が最優先で取り組むべき技術的課題なのです。

自社サイトの速度を今すぐチェックする方法

自社サイトの健康状態を知るには、まず現状把握が必要です。Googleが無料で提供する「PageSpeed Insights(ページスピードインサイト)」というツールを使えば、誰でも簡単にサイトの速度とCore Web Vitalsのスコアを計測できます。

このツールで自社サイトのURLを入力し、特に「モバイル」のスコアを確認してください。多くの場合、PCよりモバイルのスコアが著しく低いことに驚くはずです。計測結果では「改善できる項目」も具体的に提案されるため、制作会社や開発担当者と共有する「改善の指示書」として活用できます。

原則2:視認性(一目で伝わるデザイン)

UX設計の第二原則は、お客様を「迷わせない」ことです。サイト訪問者が「次に何をすべきか」「どこに情報があるか」を瞬時に理解できなければ、ストレスを感じて離脱します。美しさや芸術性よりも、「一目で伝わる」情報設計(視認性)こそが、収益動線を支えます。

「どこを見ればいいか」迷わない情報設計

優れたUXデザインは、ユーザーの視線を意図的に誘導します。宿泊施設サイトで最も重要なのは、もちろん「予約ボタン」です。予約ボタンは、サイトのメインカラーとは異なる「アクセントカラー」(例:サイトが青基調ならオレンジ色)を使用し、常に目立つ位置(PCなら右上、スマホならヘッダーやフッターに固定)に配置するのが鉄則です。

ユーザーが「予約したい」と思った瞬間に、ボタンを探すことなく押せる状態を設計すること。これが「視認性」をKPI(CVR)に直結させる思考法です。

スマホでの「視認性」の重要性

現在、宿泊予約のトラフィックの7割以上はスマートフォン経由です。PCサイトのデザインをそのまま縮小しただけでは、致命的に使いにくいサイトになります。スマホのUX設計では、PC以上に「視認性」が重要です。

具体的には、「フォントサイズ(文字の大きさ)」は小さすぎないか。「ボタン」は親指で押しやすい大きさ(タップ領域)が確保されているか。「電話番号」はタップすればそのまま発信できるようにリンク設定されているか。これら「指先での操作」を前提とした最適化が、スマホ経由のCVRを左右します。

ターゲット層に合わせた色使い

視認性は、誰にとっての視認性かで基準が変わります。もし施設のターゲット層が「シニア層」や「富裕層」である場合、デザイン性を追求した細いフォントや、コントラストの低い(淡い色の背景に淡い色の文字)デザインは、可読性を著しく下げ、離脱の原因となります。

ターゲット層の年齢やリテラシーを考慮し、可読性を最優先したフォント選びや、明確なコントラストを意識した色使いが求められます。デザインとは、ターゲット顧客に対する「伝わりやすさ」の設計であることを忘れてはなりません。

「使いにくさ」と「安っぽさ」に繋がるケース

マーケティング責任者が陥りがちな落とし穴が、「おしゃれさ」の追求です。奇抜なレイアウト、意味のないアニメーション、説明的でないアイコンの多用。これらは一見「おしゃれ」に見えますが、ユーザーにとっては「どこをクリックすればいいか分からない」というストレスでしかありません。

さらに、あまりにトレンドを追いすぎたデザインは、数年で古びて見えたり、あるいは「使いにくさ」が転じて「信頼性の欠如(=安っぽさ)」というブランドイメージに繋がるリスクさえあります。「おしゃれ」であることと、「使いやすく、信頼できる」ことは、必ずしもイコールではないのです。

原則3:一貫性(迷わせないルール作り)

UX設計の第三原則は、お客様を「不安にさせない」ことです。サイト内でデザインや操作のルールが統一されている(一貫性がある)ことは、お客様に「このサイトは信頼できる」という無意識の安心感を与えます。この「信頼」こそが、最終的な予約決定の後押しとなります。

サイト内が一貫していることの安心感

サイト内を回遊している時、ページによって予約ボタンのデザインが違ったり、見出しの大きさがバラバラだったり、情報の配置(例:写真は常に左、説明文は右)が異なったりすると、ユーザーは混乱します。

「このボタンは押していいのか?」「これは見出しなのか?」といった小さな“ノイズ”が積み重なると、ストレスとなり離脱に繋がります。サイト全体で「重要な決定ボタンはこの色・形」「大見出しはこのサイズ」といったデザインルールを徹底し、一貫性を保つことが、スムーズなユーザー体験の基盤となります。

ユーザーの「学習コスト」を下げる

デザインに一貫性があると、ユーザーは「このサイトの使い方」をすぐに学習できます。例えば、「緑色の四角いボタンは、次のページに進むボタンだ」と一度学習すれば、他のページでも迷わず緑色のボタンを押すことができます。

逆に、一貫性がないサイトは、ページを移動するたびに「このページの使い方はどうなっているんだ?」とユーザーに「学習コスト(=考える手間)」を強いることになります。OTAが使いやすいのは、この「学習コスト」が極めて低く、誰もが直感的に操作できるからです。公式サイトも同様に、直感的な操作性を提供する必要があります。

ユーザーは不安になり離脱するポイント

これは宿泊施設サイトにおける「最大級の離脱ポイント」です。公式サイトは美しくリニューアルしたのに、いざ「予約する」ボタンを押したら、まったくデザインの異なる予約システム(予約エンジン)の画面に遷移する。これは、お客様に強烈な不安を与えます。

「別のサイトに飛ばされた?」「このサイトは安全なのか?」という不信感は、カゴ落ち(予約フォーム離脱)の最大の原因です。使用する予約エンジンが、公式サイトのデザイン(ヘッダー、フッター、色使い、フォント)と可能な限りシームレスに連携・統一されているか。これは、CVRを左右する最重要の技術的要件です。

一貫性のあるデザインは「イメージ」を向上させる

UXにおける「一貫性」は、単なる使いやすさ(ユーザビリティ)の問題に留まりません。一貫した色使い、フォント、写真のトーン&マナー、言葉遣いは、お客様の記憶に残りやすく、施設の「ブランドイメージ」を強力に構築します。

「この落ち着いた色使いが、あの宿の“らしさ”だ」と感じてもらうこと。サイトのUX設計を通じて、予約前から一貫したブランド体験を提供すること。これが、お客様のロイヤルティ(信頼・愛着)を醸成し、価格競争から脱却した「指名予約」に繋げる、上級マーケターの視点です。

まとめ

公式サイトの直販率(CVR)を高めるUX設計は、奇抜なデザインを導入することではありません。それは、「速度」「視認性」「一貫性」という3つの原則に基づき、お客様が感じる「ストレス」「迷い」「不安」を、地道に、かつ徹底的に排除していくプロセスです。

サイト表示の「速度」を上げ、お客様を待たせないこと。予約ボタンやスマホ表示の「視認性」を高め、お客様を迷わせないこと。そして、サイト全体から予約エンジンまで「一貫性」を持たせ、お客様を不安にさせないこと。

これらの「当たり前」の快適性を技術的に担保することこそが、OTAの使いやすさに対抗し、公式サイトを信頼できる“販売装置”として機能させるための本質です。まずは「PageSpeed Insights」での速度計測から、自社サイトのUX改善の第一歩を踏み出してください。

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