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Webサイト最適化 直接予約

2025.11.20

2025.11.20

なぜユーザーは予約直前で離脱するのか?ホテルの公式サイトで見直すべき3つのポイントを紹介

宿泊施設のマーケティング責任者にとって、「サイト流入は順調なのに、CVR(予約転換率)が目標値に届かない」という悩みは深刻です。特に、プラン詳細ページまでは閲覧されているにもかかわらず、予約完了直前で離脱されてしまうのは、最大の機会損失と言えます。

お客様が離脱する理由は、デザインが古いからではありません。予約行動のプロセス上に「価格への不安」「導線の分かりにくさ」「入力のストレス」といった、心理的な「つまずき」が存在するからです。本記事では、これら3つの主要なボトルネックを解消し、サイトを最強の“販売装置”へと変貌させるためのUX改善策を、データドリブンの視点で解説します。

OTAと同じ?「価格・プラン」の見せ方

ユーザーが公式サイトを訪れる最大の動機は「OTA(Online Travel Agent)と比較するため」です。この比較検討の段階で、「価格への不安」や「プランの分かりにくさ」を感じさせてしまうことが、CVRを低下させる最大の要因です。いかにして安心感と分かりやすさを提供するかが鍵となります。

公式サイトがOTAより「高い」または「分かりにくい」

現代のユーザー行動(ショールーミング)において、OTAで施設を認知・比較し、公式サイトで最終確認と予約を行う流れは一般的です。しかし、この最終確認の場で「OTAのポイント分を考えると、あちらの方がお得かもしれない」「プランが多すぎて、自分に最適なものがどれか分からない」というストレスを感じた瞬間、ユーザーは躊躇なく離脱し、使い慣れたOTAに戻ってしまいます。

特に、指名検索で訪問した熱量の高いユーザーを逃すことは、収益上、致命的です。サイトのUX設計は、「OTAより不利」な要素を徹底的に排除し、「公式サイトで予約する明確な理由」を提示することから始まります。

公式サイトが「ベストレート(最安値保証)」であること

ユーザーが抱く「OTAの方が安いかもしれない」という価格不安を払拭する、最も強力で即効性のある施策が「最安値保証(ベストレートギャランティ)」の明記です。これは、「当サイトからのご予約が、どの予約サイトよりも一番お得です」という施設側からの公式な宣言であり、ユーザーに絶大な安心感を与えます。

重要なのは、その存在に「必ず気づいてもらう」ことです。具体的には、サイトの全ページで表示される「ヘッダー」領域や、プラン一覧、予約ボタンの直近など、ユーザーの視線が必ず通る場所に、テキストだけでなく「公式最安値」といったアイコンやバッジで視覚的に配置します。この「安心のシグナル」が、価格比較のための無駄な回遊(離脱)を防ぎます。

プラン一覧の「比較しやすさ」を担保する

価格不安を解消した次にユーザーが直面する壁は、「プランの分かりにくさ」です。プランが10も20も無秩序に羅列され、それぞれの違いが一目で分からなければ、ユーザーは比較検討を諦めてしまいます。特にOTAのUI(ユーザーインターフェース)は、プラン比較の機能性に優れているため、それに見劣りするレイアウトは致命的です。

予約エンジン(宿泊予約システム)のプラン一覧ページは、各プランの「プラン名」「主要な特典(例:ワンドリンク付、レイトアウト可)」「食事条件(例:2食付、朝食のみ)」「最低価格(税込)」が、整然としたグリッドレイアウトで一目で比較できる設計が不可欠です。ユーザーに「探させる」のではなく、「直感的に選べる」UXを提供することがCVRを左右します。

プランページが見られているか確認する

これらの改善が効果を上げているかを検証するには、データ分析が不可欠です。Microsoft ClarityやMouseflowといった無料または安価なヒートマップツールを導入することで、ユーザーがサイトのどこを熟読し(赤く表示)、どこをクリックし、どこで離脱しているかを視覚的に把握できます。

プラン一覧ページで、価格表示の周辺ばかりが赤く熟読されている場合、ユーザーが価格に強い不安や関心を持っている証拠です。逆に、プラン詳細ページまで進んでいるのに予約ボタンがクリックされていない場合、プラン内容の魅力が伝わっていないか、予約フォームへの遷移に問題がある可能性が疑われます。感覚ではなく、データに基づいてボトルネックを特定することが改善の第一歩です。

ファーストビュー(FV)の「よくある失敗」

サイトに訪問したユーザーが、そのサイトに留まるか離脱するかを判断する時間はわずか3秒と言われています。この「最初の3秒」で表示される領域(ファーストビュー)の設計ミスが、熱量の高い「今すぐ客」を逃しているケースは少なくありません。

FVに「予約ボタン」または「空室検索窓」がない

指名検索(施設名での検索)で公式サイトにたどり着いたユーザーの目的は、多くの場合「予約」または「空室確認」です。彼らはすでに宿泊の意欲が高まっており、その行動を最短で完結させるための「入口」を探しています。

にもかかわらず、ファーストビュー(スクロールせずに表示される領域)に「ご予約はこちら」といったCTA(行動喚起)ボタンや、「空室検索」のカレンダー窓が存在しないサイトは、この「今すぐ客」の期待を裏切り、即時離脱の原因を作っています。ユーザーに「予約ボタンはどこだ?」と探させるストレスを与えた時点で、マーケティングの勝負には負けているのです。

失敗例:施設の伝えたいことが整理されていないケース

ブランドの世界観を伝えるために、美しい全画面動画や、施設の哲学を綴った情緒的なキャッチコピー(ポエム)をファーストビューに大きく配置するデザインは多く見られます。ブランド訴求は重要ですが、それが「コンバージョン(予約)」という最大の目的を阻害しては本末転倒です。

動画やコピーが美しすぎるあまり、ユーザーが「これは宿の公式サイトだ」と認識するのに時間がかかったり、最も重要な「予約ボタン」が画面の外(スクロールしないと見えない位置)に押しやられたりしているケースは、典型的な設計ミスです。「美しいサイト」が「売れるサイト」とは限らないことを、マーケティング責任者は強く認識する必要があります。

改善策:ユーザーが次の行動(=予約)に移れる設計にする

優れたファーストビューの条件は、「3秒で理解でき、行動できる」ことです。

  1. 【認知】ロゴや施設名から、探していた宿の「公式サイト」であると瞬時に分かる。
  2. 【価値】写真やキャッチコピーから、その宿の「最大の魅力(例:絶景、料理)」が直感的に伝わる。
  3. 【行動】「予約ボタン」や「空室検索窓」が最も目立つ場所に配置され、次に何をすべきかが明確である。

ユーザーの視線は、PCでは「Z字」や「F字」に動く傾向があります。左上にロゴ、中央に価値を伝えるビジュアルとコピー、そして右側や中央下部にCTA(予約ボタン)を配置することが、この視線誘導の理にかなった「黄金配置」の一つです。

スマホでは特に「予約ボタン」を最優先に

中〜上級者が陥りがちなのが、「レスポンシブデザインだから大丈夫」という思い込みです。PCで最適なデザインが、スマホで最適とは限りません。特に宿泊予約サイトのトラフィックは、今や7割以上がスマートフォン経由です。

PCではファーストビューに「空室検索窓(日付や人数を入力)」を設置するデザインが有効でも、画面が狭く入力が面倒なスマホでは、この検索窓自体がストレス要因となり得ます。

スマホのファーストビューで最優先すべきは、「入力」ではなく「タップ」です。「ご予約(プラン一覧へ)」といったシンプルなCTAボタンを配置するか、画面の下部や上部に「予約」ボタンを「追従(スクロールしても常に表示される)」させる設計が、スマホユーザーのCVRを最大化する上で極めて有効な戦略となります。

予約フォームの「ストレス」を解消する

お客様がプランを選び、日付を決め、「予約する」ボタンを押した瞬間。それは、最も予約完了に近い、熱量が最高潮のタイミングです。しかし、その直後に表示される「予約フォーム」が使いにくいという理由だけで離脱されてしまうことは、収益上、最も深刻な機会損失です。

予約完了直前での離脱をなるべく防ぐこと

EFO(Entry Form Optimization=入力フォーム最適化)は、予約フォームの入力ストレスを最小限に抑え、離脱を防ぐための専門的なUX改善技術です。プラン比較やファーストビューの改善でCVRを0.1%上げる努力よりも、この最終段階のEFOで離脱率を1%改善する方が、遥かに少ないコストで大きな成果(=売上)に直結します。

お客様は「この宿に泊まりたい」と決断しているにも関わらず、「入力が面倒だ」という理由だけで、使い慣れた(入力情報が保存されている)OTAに流れ、そこで予約し直すのです。この「最ももったいない離脱」を防ぐことが、マーケティング責任者の急務です。

多すぎる入力項目、使いにくいカレンダー(日付選択)

宿泊業界の予約フォームには、いまだにCVRを著しく下げる「典型的な落とし穴」が数多く存在します。

・「会員登録必須」の壁:予約のために「まず会員登録が必要」という導線は、最悪のUXです。ユーザーは「今すぐ予約したい」のであり、会員になりたいわけではありません。「ゲスト予約(会員登録不要)」の選択肢は絶対に必要です。

・多すぎる入力項目:「会社名」「FAX番号」「記念日の具体的な内容(任意)」「この宿を何で知りましたか?」など、予約確定に不要な項目が多すぎると、入力意欲は削がれます。

・使いにくいUI:カレンダーの日付が小さすぎてスマホで押しにくい。必須項目がどこか分かりにくい。エラー表示が不親切(どこが間違っているか分からない)。

改善策:「あと何ステップで完了するか」の表示

予約フォームの鉄則は「お客様に、考えさせず、手間をかけさせない」ことです。

・入力項目は「予約確定と連絡に必要な最小限(名前、電話番号、メールアドレス、人数)」に絞り込みます。

・「郵便番号」を入力すれば「住所」が自動入力される機能は、今や必須の機能です。

・「必須」と「任意」の項目は、色や記号で明確に区別します。

・「入力」→「確認」→「完了」といった「ステップ表示(プログレスバー)」を設置し、今どの段階にいて、あとどれくらいで完了するのかを視覚的に示し、心理的負担を軽減します。

予約エンジンの設定を見直し、改善に取り組むこと

予約フォームの根本的なUI(カレンダーの使い勝手など)を改修するには、予約エンジン(宿泊予約システム)自体の乗り換え(リプレイス)が必要となり、多大なコストと時間がかかります。

マーケティング責任者がまず着手すべきは、コストゼロでできる改善です。現在契約している予約エンジンの「管理画面」にログインし、「設定」や「フォーム項目管理」といったメニューを確認してください。「会員登録を必須にするか否か」「入力項目を追加・削除する」「必須/任意を変更する」といった設定は、多くの場合、管理画面から即時に変更可能です。

システム乗り換えを検討する前に、まずは現状のシステムでできる最大限のEFO(入力項目の削減)を実行することが、最もROI(投資対効果)の高いアクションです。

まとめ

公式サイトからの流入があるにも関わらず、直販予約に結びつかない「つまずき」の多くは、「価格」「導線」「入力」の3つのUX設計に起因しています。お客様が予約を完了するまでの行動プロセスを妨げる「不安」や「ストレス」を、いかに先回りして解消できるかが、CVR改善の鍵となります。

第一に、ヘッダーへの「最安値保証」の明記で、「OTAの方が安いかもしれない」という最大の「価格不安」を払拭すること。第二に、特にスマホにおいて、ファーストビューに「予約ボタン(CTA)」を最適配置し、「今すぐ客」の「導線」を最短化すること。

そして最後に、予約フォームの「入力ストレス」を最小限に抑えるEFO(入力項目の削減、ゲスト予約の許可)を実行し、最も収益に近い「カゴ落ち」を防ぐこと。これらの施策をデータ(ヒートマップやアクセス解析)に基づいて地道に改善し続けることで、公式サイトは単なる「案内板」から、真の「販売装置」へと進化します。

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