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2025.10.15

2025.10.15

一休.comの手数料に潜む罠とは?ポイント依存と価格崩壊が招く集客リスクを解説

多くのラグジュアリー施設にとって、一休.comは重要な販売チャネルです。しかしその裏側で、施設の利益体質を静かに、しかし確実に蝕んでいく「手数料問題」が深刻化しています。売上という表面的な数字に安堵し、ポイント施策やセールへの参加を繰り返した結果、気づいた時には利益の出ない構造に陥っていた──。 この記事は、そんな最悪のシナリオを回避するための警鐘です。手数料の本質を理解し、短期的な売上に依存する運用から脱却するための、戦略的思考を解説します。

一休.comの「実質手数料」はその場で見えない

一休.comの運用における最初の罠は、契約書に記載されている「基本手数料」だけを見て、コストを判断してしまうことです。実際のコストは、日々の運用の中で、様々な施策によって雪だるま式に膨れ上がっていきます。

固定ではなく「変動」する手数料構造の恐怖

一休.comの最終的な手数料、すなわち「実質的な販促コスト」は、基本手数料に加えて、施設が任意で選択する各種施策のコストが上乗せされることで決定します。具体的には、以下の要素が加算されていきます。

  • 施設負担のポイントアップ分
  • 施設発行のクーポン割引分
  • 広告プログラム参加による手数料上乗せ分
  • セール参加に伴う実質的な割引負担

これらは全て、施設の利益から直接差し引かれるコストです。例えば、基本手数料が10%の施設が、セールに合わせて5%のポイントアップを行い、さらに広告プログラムに参加(+5%)した場合、その予約の実質手数料は20%に達します。この「見えにくいコスト」の積み重ねが、売上と利益の乖離を生む最大の原因なのです。

ポイント依存が引き起こす「負のスパイラル」

一休.comの「ポイント即時利用」は、ユーザーにとって非常に魅力的な機能であり、強力な予約促進ツールです。しかし、この強力さ故に、施設側は危険な「ポイント依存」という麻薬的な状態に陥りやすいのです。

【第1段階】ポイントアップによる短期的な成功体験

閑散期の売上を補填するため、あるいは競合に対抗するために、施設はポイントアップ施策を実施します。ポイントの魅力により、狙い通り予約は増加し、短期的な売上目標を達成。「ポイントは効果がある」という成功体験が生まれます。

【第2段階】顧客の「ポイント待ち」学習と、通常期の販売不振

ユーザーは極めて賢明です。「この宿は、特定の日にポイントアップする」ということを学習すると、彼らは正規価格での予約を控え、ポイントデーまで予約を待つようになります。その結果、ポイント施策を実施していない通常期の販売が鈍化し、施設は売上を確保するために、再びポイントアップに頼らざるを得なくなります。

【第3段階】常態化する高ポイントと、利益構造の崩壊

このサイクルが繰り返されることで、高ポイントでの販売が「当たり前」の状態になります。もはやポイントは販促の武器ではなく、販売するための必須コストと化します。売上を維持するために、施設は常に利益を削ってポイントを原資として捻出し続けなければならない、という極めて不健康な収益構造(=負のスパイラル)が完成してしまうのです。

価格破壊が招く、取り返しのつかない「ブランド毀損」

ポイントやクーポンによる実質的な割引が常態化することは、単に利益を圧迫するだけでなく、ラグジュアリー施設にとって最も重要な資産である「ブランド価値」を根底から破壊します。

「正規価格」が信頼を失い、付加価値が消失する

ポイント利用後の価格が顧客にとっての「実質価格」として定着すると、施設が提示する正規価格(定価)は、信頼性のない、不当に吊り上げられた価格に見えるようになります。顧客は、施設の提供する上質なサービスや空間、食事といった本来の付加価値で宿泊先を選ぶのではなく、「いかに安く泊まるか」という割引率だけで判断するようになります。これは、自ら築き上げてきたブランドを、自らの手で安売りしていることに他なりません。

優良顧客の離反と、価格至上主義の新規顧客

ブランド価値の低下は、これまで正規価格で満足して利用してくれていた、最も大切にすべき優良顧客(ロイヤルカスタマー)の離反を招きます。「あの宿も、安売りするようになったのか」と感じた彼らは、より高い品位を保つ別の施設へと去っていくでしょう。そして、代わりに集まってくるのは、施設のファンではなく、割引にしか興味のない価格至上主義の顧客層です。このような顧客層の変化は、客単価の低下、口コミの質の悪化、従業員のモチベーション低下といった、さらなる負の連鎖を引き起こすのです。

利益率重視の運用が生存戦略となる

結論として、我々プロフェッショナルが断言するのは、「売上」という幻想を追いかける時代は終わったということです。特に、一休.comの市場において、唯一の正義となる指標は「1予約あたりの利益率」そして「最終的に手元に残る利益額」です。

売上1億円で利益が500万円の施設と、売上8000万円で利益が1000万円の施設、真に成功しているのはどちらでしょうか。答えは明白です。

一休.comで持続的に成長するためには、以下の鉄則を徹底する必要があります。

1.実質手数料を常に可視化する
毎月、総売上に対して、ポイントやクーポンなどの販促費を差し引いた「実質手数料率」と「最終利益」を必ず算出してください。

2.販促施策に明確な「目的」と「出口」を持つ
ポイントやクーポンは、あくまで「閑散期の特定の部屋を埋める」といった短期的な課題解決のために、期間と対象を限定して使用する「戦術」です。恒常的な「戦略」にしてはなりません。

3.価格以外の「価値」で戦う覚悟を持つ
最も重要なのは、割引に頼らずとも顧客に選ばれる、施設の根源的な魅力を高め続けることです。料理、サービス、空間、体験。その価値を磨き、正しく伝える努力こそが、手数料問題や価格競争から脱却するための、唯一にして最強の王道なのです。

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