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Webサイト最適化 直接予約

2026.01.21

2026.01.21

公式サイトとOTAの役割とは?価格以外で選ばれないためにユーザーに伝えるべきこと

多くの宿泊施設が、OTA(Online Travel Agent)依存からの脱却を掲げながらも、「結局、OTAと同じ情報しか載せられず、公式サイトが価格比較の場になってしまう」というジレンマを抱えています。

OTAは「客室の広さ」「料金」「設備」といったスペックを横並びで比較するには最適です。一方で、その規格化されたフォーマット=“枠”の中では、本来その宿が持っている「体温」や「世界観」が削ぎ落とされてしまうのも事実です。

この記事では、公式サイトの役割を「販売ページ」から一歩進めて、「ブランド体験」と「ファン化」の場へと再定義するための戦略的アプローチをお伝えします。

OTAが”スペック表”なら公式サイトは”雑誌”

OTA依存から脱却するための本質的な戦略は、OTAと同じ土俵(=価格とスペック)で戦わないことです。OTAのフォーマットでは伝えきれない「価値」を、公式サイトでこそ丁寧に伝える。その役割の違いを明確に定義することから始まります。

OTAのフォーマットで削ぎ落とされる「なぜ」

OTAのページは、ユーザーが複数の施設を効率よく比較できるよう、情報がきれいに規格化されています。「客室○○㎡」「露天風呂あり」「夕食:和懐石」といった、What(何があるか)についての情報、つまり「スペック」は見事なまでに整っています。

しかし、その裏側にあるはずの Why(なぜ、そうしているのか) は、ほぼすべて削ぎ落とされます。

・なぜ、その土地の木材で家具をつくったのか
・なぜ、料理長は毎朝その漁港に通い続けているのか
・なぜ、このアメニティをわざわざ採用しているのか

この「なぜ」の部分にこそ、宿の哲学やこだわり、つまりブランドの芯が宿っています。そこが抜け落ちた状態では、「どこも良さそう、あとは値段とポイントで決めようか」という結論に流れてしまうのは自然な流れです。

なぜ「物語(ストーリー)」が宿泊動機になるのか

スペックだけを見比べる行為は、最終的にほぼ確実に「価格競争」へ行き着きます。ユーザーはより安く、より条件の良いOTA(ポイント還元やクーポン)を選ぶだけです。一方で、公式サイトで「物語」を伝えるということは、ユーザーに 価格以外の判断軸 を手渡す行為です。

・「あの料理長の料理を食べてみたい」
・「あの若女将の想いに共感した」
・「あの歴史ある建物の空気を体感したい」

こうした“共感”や“憧れ”といった情緒的な価値は、価格の差を乗り越える強い宿泊動機になります。物語は、サイト訪問者を「単なる価格比較者」から、「その施設のファン候補」へと変えていくスイッチなのです。

補完すべき情報:こだわり、歴史的背景、「人」の魅力

公式サイトが「雑誌」として補完すべき情報は、スペック表には載らない、まさに「特集記事」のネタとなる部分です。例えば、客室紹介ページに「設計士が語る、この部屋の窓から見える景色の切り取り方」といったコラムを加えます。

あるいは、「宿の歴史」ページで、創業時の苦労話や建物の歴史的背景を紹介します。そして最も強力なのが、「人」の魅力です。「料理長が語る今月の献立」「コンシェルジュが教える秘密の散歩道」「若女将のおもてなし奮闘記」など、施設で働くスタッフの「顔」と「想い」が見えるコンテンツが、宿の「体温」としてお客様に伝わります。

公式サイトが「雑誌」として補完すべきなのは、スペック表では表現しきれない部分、つまり特集記事の“ネタ”になる情報です。たとえば客室紹介ページなら、単なる間取りや設備一覧では終わらせず、「設計士が語る、この窓から見える景色の“切り取り方”」といったコラムを添えられます。

また、「宿の歴史」ページで、創業時のエピソードや、建物がたどってきた背景を紹介するのも良いでしょう。そして何より強いのが、「人」の魅力です。

・「料理長が語る今月の献立」
・「コンシェルジュがこっそり教える、早朝のおすすめ散歩コース」
・「若女将の、おもてなし奮闘記」

こうしたスタッフの「顔」と「想い」が見えるコンテンツは、画面越しにもちゃんと伝わる“体温”となり、宿の世界観を支えてくれます。

「写真」と「テキスト」による世界観の補完

OTAの枠を超える「雑誌」のような世界観は、戦略的に設計された「写真(情緒)」と「テキスト(物語)」という、2つの要素の組み合わせによってのみ実現されます。OTAと同じ素材をそのまま流用しているだけでは、決して「宿の体温」は伝わりません。

写真戦略:OTA(機能) vs 公式サイト(情緒)

OTAに掲載する写真は、「客室全体が明るく、広く見える」「料理がすべて写っている」といった、「機能」や「スペック」を正確に伝えるための「記録写真」が中心となります。ユーザーが比較検討し、失敗しないための写真です。

一方、公式サイトで使うべきは、「情緒」に訴えかける「世界観重視の写真」です。例えば、あえて薄暗い夕暮れのラウンジでグラスを傾ける様子、雨の日に窓辺のソファで読書にふける時間、湯上がりに裸足で歩く廊下の木の質感。こうした「体験」を切り取った写真は、「こんな過ごし方をしてみたい」という憧れ(宿泊動機)を直接的に喚起します。

写真点数:OTAの掲載枚数制限を超えた「詳細写真」

OTAには、掲載できる写真の「枚数制限」という物理的な枠も存在します。公式サイトでは、この制限を気にする必要は一切ありません。世界観を伝える情緒的な写真に加え、OTAでは載せきれない「詳細な写真」を徹底的に掲載すべきです。

例えば、アメニティのブランド名がわかるアップ写真、客室に備え付けられたコーヒーカップや茶器の質感、クローゼットの中の備品、シャワーヘッドの形状など。こうした「神は細部に宿る」を体現する詳細な写真こそが、宿のこだわりと「嘘のない姿」を伝え、お客様の予約前の不安を「信頼感」に変えます。

テキスト戦略:OTAには載せられない「読み物」コンテンツ

写真が「情緒」を伝えるとすれば、テキストは「物語」と「哲学」を伝えます。OTAのプラン説明文は、文字数制限やフォーマットの制約の中で、いかに「お得感(スペック)」を詰め込むかの勝負になりがちです。

公式サイトでは、そうした制約から解放された「読み物」としてのコンテンツを展開します。「料理長が今月の食材(例:〇〇漁港のノドグロ)を求めて生産者を訪ねた旅の記録」「若女将が語る、おもてなしの裏側と失敗談」「支配人が偏愛する、本当は教えたくない周辺の飲食店コラム」など。こうした「人」の体温が感じられるテキストは、OTAには絶対に載せられない、公式サイトだけの強力な差別化要因となります。

成功事例:「スタッフ紹介」で直販予約を生んだ例

私が改善を手掛けたある旅館では、公式サイトの「スタッフ紹介」ページを大幅にリニューアルしました。従来は「支配人 〇〇(顔写真)」といった形式的なものでしたが、それを「各スタッフの趣味、仕事への想い、お客様への一言」を丁寧にインタビューした「特集記事」形式に変更しました。

すると、驚くべきことに、公式サイト経由の予約フォームの「ご要望欄」に、「〇〇さん(スタッフ名)の記事を読みました。お会いできるのを楽しみにしています」といったコメントが入り始めたのです。これは、OTAの「評価」や「価格」では絶対に生まれない、「人」を動機とした直販予約です。まさに、「体温」がお客様に伝わり、「ファン」が生まれた瞬間でした。

「滞在の疑似体験」を設計する

スペック(OTA)を補完し、世界観(写真・テキスト)を伝えた上で、お客様の背中を押す最後の一手。それは、サイト訪問者にいかにリアルな「滞在の疑似体験」をしてもらい、「泊まった後の自分」を想像してもらうか、というUX設計にあります。

例えば、OTAには「泊まる場所(点)」の情報はあっても、「どう過ごすか(線)」の情報は不足しがちです。公式サイトでは、この「過ごし方」を具体的に提案する「1泊2日のモデルコース」ページが非常に有効です。

「15:00 チェックイン。まずはラウンジのウェルカムドリンクで一息」「16:00 夕暮れ前に、絶景の貸切風呂へ」「18:00 個室料亭で、料理長の特別懐石に舌鼓」…このように、時系列で具体的な滞在イメージを喚起することで、ユーザーの頭の中にある「予約への不安」が「滞在への期待」へと変わっていきます。これは強力な予約動機付けとなります。

動画コンテンツの活用

「空気感」や「臨場感」を伝える上で、静止画やテキストを圧倒するのが「動画」です。OTAではまだ導入が限られる動画コンテンツも、公式サイトなら自由に展開できます。

・客室のドアを開けてから窓の景色を見るまでの「30秒ルームツアー動画」
・ドローンを活用した、周辺の自然と建物の「圧巻の外観映像」
・料理の調理シーンや、湯気、音などを捉えた「シズル動画」

これらの動画は、ユーザーに「まるでそこにいるかのような」感覚を与え、滞在の疑似体験を劇的に加速させます。

「お客様の声」を「具体的なエピソード」として紹介

OTAの口コミは「星評価(点数)」と「短文の感想」が中心です。これは比較には便利ですが、信頼感を上げるには限界があります。公式サイトでは、お客様の声を「物語(エピソード)」として紹介するのも一つの選択肢です。

宿泊後のアンケートなどで得られたお客様からの感謝の言葉や、具体的な宿泊エピソード(例:記念日のサプライズが成功した話、スタッフとの心温まるやり取りなど)を、お客様の許可を得た上で、読み物コンテンツとして丁寧に紹介します。この「第三者による具体的な物語」こそが、何よりも雄弁に宿の魅力を伝え、訪問者の信頼感を醸成する「社会的証明」となります。

館内BGMのプレイリストを公開する

さらに踏み込んだ世界観の構築として、五感に訴える施策も有効です。例えば、公式サイト上で「実際に当館のラウンジで流れているBGM」のプレイリスト(SpotifyやYouTube Musicなどで作成)を公開・共有します。

サイトを訪問したユーザーは、その音楽を聴きながらプランを検討することで、聴覚からも宿の世界観に浸ることができます。「この音楽が流れる空間で過ごしたい」と感じてもらうことは、訪問前からお客様の期待感を高め、情緒的な結びつきを強める高度なUXテクニックです。

まとめ

OTA依存からの脱却とは、つまり「価格競争」から「価値競争」へのシフトです。
OTAが、必要十分な情報を並べた「スペック表」だとするならば、公式サイトは、雑誌のように物語や感情が出るコンテンツを充実させるべきです。

・OTAのフォーマットでは落ちてしまう「なぜ」というこだわり
・情緒に訴えかける、戦略的な写真の設計
・「人」の想いが届く読み物としてのテキスト
・滞在の疑似体験を描くモデルコースや動画
・そして、第三者の具体的なエピソードとしての「お客様の声」

これら、OTAの枠を超えたコンテンツUXこそが、 「どこが安いか」ではなく、「この宿で過ごしたい」と思ってもらう理由をつくります。

スペックで比較され、その結果として「価格」で選ばれるのではなく、 物語への「共感」によって、「この宿に泊まりたい」と指名される状態を目指すこと。

公式サイトを、「予約導線」だけではなく、 ファンを増やし、直販予約を生み出す装置として再設計すること。それが、OTA依存から脱却するための、もっとも確実で、もっとも息の長い戦略だと考えています。

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