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2025.10.20

Expediaの売上アップはDPにあり!インバウンドの特性を理解して予約を増やす方法とは?

国内OTAでの成功体験が、時としてExpedia攻略の足枷になることがあります。なぜなら、Expediaの真価は、そのグローバルな販売網と、航空券とのセット購入文化を持つ「ダイナミックパッケージ(DP)」ユーザーの攻略にあるからです。

多くの施設がこの特性を理解しないまま画一的なプラン販売に終始する中、本記事ではExpediaの構造的な強みを解き明かし、インバウンド需要を確実に取り込み、安定した収益基盤となるDP予約を最大化するための、明日から実践できる戦略的アプローチを詳細に解説します。

なぜExpediaはインバウンドと相性が良いのか

Expediaを単なるOTAの一つとして捉えるのではなく、「グローバルな旅行プラットフォーム」として理解することが、攻略の第一歩です。国内OTAとは異なるユーザー層と予約特性を持つExpediaは、特にインバウンド集客において絶大な強みを発揮します。その理由を構造的に理解しましょう。

Expediaは、特に欧米圏からの旅行者に強い

Expedia Groupは、Expedia.comはもちろんのこと、Hotels.com、Vrbo、Orbitz、Travelocityといった多様なブランドを世界70カ国以上で展開する、巨大な旅行プラットフォームです。このグローバルネットワークを通じて、国内OTAではリーチできない膨大な数の海外旅行者にアプローチできます。

特に、個人旅行文化が根付いている欧米圏からの旅行者に強く、彼らが日本の宿泊施設を探す際の主要な選択肢となっています。この販売網の広さこそが、Expediaがインバウンド集客の要と言われる所以です。

Expediaはリードタイムが長い傾向がある

欧米圏からの旅行者は、長期休暇を利用して国を跨いだ旅行を計画するため、航空券の手配と同時に、数ヶ月から半年以上前に宿泊施設を予約する傾向があります。

これは、直前予約の割合が比較的高い国内旅行者とは大きく異なる点です。つまり、Expediaの主要ユーザー層は、リードタイムが非常に長い「早期予約優良顧客」である可能性が高いのです。この特性を理解し、早期予約者向けのプランを戦略的に提供することで、数ヶ月先の客室稼働を安定的に確保することが可能になります。

ダイナミックパッケージ(DP)が鍵となる!?

ダイナミックパッケージ(DP)とは、ユーザーが航空券と宿泊施設を自由に組み合わせて同時に予約できる仕組みです。海外旅行者にとって、交通手段と宿泊先を一度に確保できるDPは非常に利便性が高く、利用率が極めて高いのが特徴です。

そして、DP予約の最大のメリットは「キャンセル率の低さ」にあります。航空券は一度購入するとキャンセルや変更の規定が厳しいため、それに紐づく宿泊予約もキャンセルされにくいのです。宿泊単体予約に比べてキャンセル率が数分の一になることも珍しくなく、DP予約の構成比を高めることは、施設の収益予測の精度を上げ、安定した経営基盤を築く上で極めて重要です。

売上を最大化するDPの戦略

Expediaの特性を理解した上で、いよいよ本丸であるダイナミックパッケージ(DP)の攻略法です。DPは単なる予約経路の一つではありません。キャンセル率が低く、連泊傾向の強い優良顧客を獲得するための、極めて戦略的なツールです。ここでは、DP経由の予約を最大化するための具体的な戦術を解説します。

①DPの割引率を戦略的に設定する

DPユーザーは、航空券と宿泊をセットで購入してくれるロイヤリティの高い顧客です。彼らに対して、宿泊料金を少しだけ割引くことで、予約の後押しをします。Expediaの管理画面では、このDP利用者限定の割引を設定できます。
重要なのは、これは不特定多数への安売りではない、ということです。「航空券と一緒に購入してくれる特別なあなたへ」というメッセージを込めた、5〜10%程度の割引が効果的です。この小さな投資が、キャンセルリスクの低い優良な予約を呼び込むのです。

②連泊を促す特典を付ける

インバウンド、特に欧米からの旅行者は、一つの都市に数日から一週間滞在する長期滞在(ロングステイ)が基本です。この特性を活かし、連泊を促す特典付きのDPプランを造成しましょう。
例えば、「【DP限定】3連泊以上で無料朝食&空港までの片道タクシーチケット付き」といったプランです。これにより、平均宿泊日数(LOS: Length of Stay)が向上するだけでなく、付加価値の高いプランとして客室平均単価(ADR: Average Daily Rate)の引き上げも期待できます。

DPユーザー限定の特典を用意する

割引だけでなく、DP経由で予約してくれた顧客への「特別なおもてなし」を演出することも非常に重要です。長旅の疲れを癒すウェルカムドリンク、時差ボケを考慮した13時までのレイトチェックアウト、自国の言葉で書かれたウェルカムカードなど、コストをかけずとも実現できる特典は数多くあります。
こうした小さな心遣いが、顧客満足度を大きく向上させ、高評価のクチコミへと繋がり、さらなるインバウンド予約を呼び込む好循環を生み出します。

DP経由の予約はキャンセル率が極めて低い

繰り返しになりますが、DP予約の最大の価値はキャンセル率の低さにあります。宿泊日直前のキャンセルによる空室リスクは、レベニューマネジメントにおける大きな悩みの一つです。
DP予約の比率を高めることは、このリスクを大幅に低減し、数ヶ月先の予約状況を高い精度で予測可能にすることを意味します。確度の高い予約で先行して部屋を埋めることで、残りの部屋はより戦略的な価格設定で販売できる余裕が生まれます。DPは、施設の収益を安定させるためのまさに生命線なのです。

DPの改善と分析のヒント

DP戦略は、一度実施して終わりではありません。国際情勢や市場の変化に合わせ、継続的に施策を最適化していく必要があります。OTA担当者が実践している、持続的な改善と分析のサイクルを解説します。

インバウンド向けの特典付きプランを作成

まず、今すぐExpediaの管理画面を開き、「Package Travel」の割引が設定されているかを確認してください。もし未設定であれば、これが最優先事項です。5%でも構いませんので、まずは設定することから始めましょう。
これがDP戦略の土台となります。その上で、主要なターゲット国からの旅行者に響くような、前述の連泊特典や限定特典を盛り込んだインバウンド向けのプランを作成していく、というステップが最も効率的です。

最低でも3ヶ月に1度はプラン内容を見直す

インバウンド市場は、為替レート、国際線の増便・減便、各国の旅行トレンドなど、外部要因の影響を大きく受けます。例えば、円安が進めば欧米からの旅行者にとって日本はより魅力的な旅行先となり、需要の増加が見込めます。
逆に、特定の国からのフライトが減便されれば、その国をターゲットにしたプロモーションは効果が薄くなります。JNTO(日本政府観光局)の発表や航空会社のニュースリリースなどを定期的にチェックし、少なくとも3ヶ月に一度はプラン内容や割引率が市場環境と合っているかを見直す習慣をつけましょう。

過度な割引は利益を圧迫されてしまう

DP割引はその効果の高さから、つい割引率を上げたくなりますが、それは禁物です。DP割引は、あくまで「ロイヤリティの高い優良顧客へのインセンティブ」であり、利益を削ってまで獲得するものではありません。
過度な割引は、本来獲得できたはずの利益を損なうだけでなく、ブランドイメージを毀損するリスクも伴います。施設の利益構造を正確に把握し、無理のない範囲での「少しの還元」というスタンスを堅持することが重要です。

予約レポートから国籍別のデータを分析

Expediaの「予約レポート」は、インサイトの得ることができます。
このレポートから国籍別の予約データを抽出し、どの国からの予約が多いのか、その国からのゲストの平均宿泊日数や平均単価はどうかを分析しましょう。
例えば、アメリカからの予約が最も多いのであれば、彼らが好みそうなサービス(例:キングサイズのベッド確約、近隣のジョギングコースマップの提供)をプランに盛り込むことで、転換率はさらに向上します。データに基づいたパーソナライズこそが、グローバル競争を勝ち抜く鍵となるのです。

まとめ

本記事では、Expediaを攻略するための鍵が「インバウンド」と「ダイナミックパッケージ(DP)」にあることを、具体的な戦略と共に解説しました。
Expediaは、単に部屋を販売するサイトではなく、世界中の旅行者と繋がり、航空券と共に予約するキャンセルリスクの低い優良顧客を獲得できる、強力なグローバル・マーケティング・プラットフォームです。

そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、まずDP割引を設定し、インバウンド旅行者の長期滞在ニーズに応える魅力的な特典付きプランを造成すること。そして、為替や航空事情といったマクロな視点を持ちつつ、国籍別の予約データというミクロな分析に基づき、継続的に戦略を最適化していくことが不可欠です。
国内OTAの常識から一歩踏み出し、Expediaのグローバルな特性を理解し、活用してみてください。

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