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OTA レベニューマネジメント

2026.01.21

2025.04.01

平日・週末の料金戦略とは?ホテル収益を最大化するレベニューマネジメント

「平日の稼働率が上がらない」「週末は満室になるが、もっと単価を上げられるのではないか」といった悩みを抱えていませんか。多くの施設が、週末も平日も「稼働率100%」という単一の目標を追いかけ、結果として利益の最大化を逃しています。

レベニューマネジメント(RM)の本質は、満室にすることではなく、利益を最大化することです。そのためには、平日と週末で「需要の質」が全く異なることを理解し、戦略を明確に使い分ける「二軸思考」が不可欠です。この記事では、稼働と単価を両立させ、収益構造を最適化するための戦略的思考法を解説します。

「需要の質」の違い(レジャー vs ビジネス)

平日と週末の戦略を分ける根拠は、ターゲットとなる顧客層、すなわち「需要の質」の違いにあります。この違いを無視した価格設定は、平日の空室と週末の機会損失を生み出します。

週末の需要の多くは、観光や記念日を目的とした「レジャー客」です。彼らは「特定の日に、特定の体験(例:豪華な食事、景色の良い部屋)」を求めており、その目的が達成できるならば、価格が多少高くても予約します。つまり、「価格弾力性が低い」顧客層です。彼らにとって重要なのは価格の安さよりも、滞在の「付加価値」です。

一方、平日の需要の中心は、出張目的の「ビジネス客」や、混雑を避ける「シニア層」です。ビジネス客は「立地」「Wi-Fi環境」「(経費精算しやすい)素泊まり」といった「機能性」を重視します。シニア層も「お得な平日料金」を前提に旅行を計画します。彼らは総じて「価格弾力性が高い」(=価格に敏感で、安ければ泊まるが、高ければ泊まらない)顧客層です。

レベニューマネジメントの基本

レベニューマネジメント(RM)の基本は、この「需要の質」と「需要の量(泊まりたい人の数)」の違いに合わせて、「価格」と「プラン(商品)」を最適化することです。価格弾力性の低いレジャー客(週末)には「高単価・高付加価値プラン」を。価格弾力性の高いビジネス客(平日)には「低単価・機能性プラン」を。この使い分けが全ての戦略の起点となります。

多くの宿泊施設で陥りがちな失敗が、施設のブランドイメージを維持したいという思いから、平日でも週末と同じ「レジャー客向けの高単価プラン」だけを販売し続けることです。しかし、平日にその価格帯で泊まりたいという「需要」そのものが存在しないため、結果は「高単価なままの空室」が続くだけです。これは利益を生むどころか、固定費すらカバーできない最悪の経営判断となります。

平日の戦略:「稼働率(OCC)」の確保

平日戦略の目的は、単価(ADR)を追求することではありません。
「売れない日」のダメージを最小限に抑え、いかに固定費をカバーしてRevPAR(販売可能客室収益)を積み上げるか、という「守り」の戦略です。

客室は、空室のままでも人件費や光熱費といった「固定費」がかかり続けます。平日戦略のゴールは、ADR(客室単価)を戦略的に下げてでも、価格弾力性の高い顧客(ビジネス客など)を取り込み、稼働率(OCC)を確保することです。1室も売れなければ売上はゼロですが、たとえ低単価でも販売できれば、その分が固定費のカバーに充てられ、施設全体の利益(GOP)に貢献します。

まずは需要予測に基づき、平日の価格ランク(販売カレンダー)を週末とは明確に区別し、「下げる」意思決定を行います。競合施設の平日価格をベンチマークし、ビジネス客やシニア層が「これなら泊まれる」と感じる価格帯を設定することが重要です。

価格を下げるだけでなく、平日の「需要の質」に合わせた「プラン(商品)」を設計します。

例)
・法人需要を取り込むための「領収書発行可・素泊まりプラン」
・時間に余裕のあるシニア層向けの「平日限定・特典付きプラン」
・建設需要や長期出張者向けの「連泊割引(ウィークリー)プラン」

これらの「低単価プラン」は、集客力のあるOTAにも積極的に供給し、稼働率の確保を最優先します。

注意点:価格競争による顧客離れのリスク

ただし、稼働率を追い求めるあまり、価格を下げすぎること(=底値の価格競争)は危険です。あまりに平日価格が安いと、週末に正規料金で宿泊した顧客がそれに気づいた際に「不公平感」を抱き、ブランドへの信頼を失う(ブランド毀損)リスクがあります。
また、一度下げすぎた価格を元に戻すのは困難です。あくまで「戦略的な値下げ」であり、「固定費をカバーする」という目的を見失ってはいけません。

週末の戦略:「単価(ADR)」の最大化

週末戦略の目的は、平日とは真逆です。高い需要が予測される「売れる日」に、いかに機会損失を出さず、客室単価(ADR)を引き上げ、施設全体の「利益を稼ぐ」か、という「攻め」の戦略です。

週末は、価格弾力性の低いレジャー客が「高くても泊まりたい」という強い需要が発生します。この最大の収益機会を、「平日の安い価格」や「低単価プラン」で売り切ってしまうことは、経営的な機会損失に他なりません。マネージャーの使命は、この日に単価(ADR)を最大化し、平日の売上不振をカバーするだけの利益を稼ぎ出すことです。

価格ランク(販売カレンダー)は、需要予測に基づき「上げる」一択です。重要なのは、その後の「予約ペース(売れ行き)」の監視です。例えば、60日前の時点で、設定した高単価にもかかわらず予約ペースが例年より早い場合、それは「まだ価格を上げられる余地がある(=安すぎた)」というサインです。需要の強さを確認しながら、価格を「段階的に」さらに引き上げていく意思決定が必要です。

プラン戦略:「低単価プラン(素泊まり等)」の販売を「停止」。「高付加価値プラン(記念日、美食、体験付)」の比率を高める

価格を上げるだけでなく、「プラン(商品)」の構成も変えます。週末には不要な「低単価プラン(ビジネス素泊まりなど)」の販売は「停止」します。代わりに、レジャー客が求める「体験価値」を組み込んだ「高付加価値プラン」の比率を高めます。

例)
・夕食をアップグレードした「美食プラン」
・スパークリングワインやケーキが付いた「記念日プラン」
・地域の体験(例:果物狩り)とセットにした「体験付プラン」

これらは、高い価格設定の「ロジック(理由)」となり、顧客の満足度と単価を同時に引き上げます。

「公式サイト」の高単価プランへ誘導

週末の在庫コントロールは、利益設計の神髄です。まず、手数料(コスト)が高いOTAへの「低単価プラン」の在庫供給は停止、あるいは最小限に絞ります。そして、最も利益率の高い「公式サイト」や、前述した「高付加価値プラン」に在庫を集中させます。これにより、高い需要を「最も利益の出る場所」で「最も高い単価」で販売することが可能になります。

まとめ

宿泊施設の収益最大化は、「満室」という単一の目標を追うことでは達成できません。「需要の質」という根本的な違いに基づき、戦略を使い分ける「二軸思考」こそが、マネージャーに求められる視座です。

平日は、価格弾力性の高い「ビジネス・シニア需要」に対し、価格を下げてでも「稼働率(OCC)」を確保し、固定費をカバーします。

週末は、価格弾力性の低い「レジャー需要」に対し、「高付加価値プラン」を軸に「単価(ADR)」の最大化を追求し、利益を稼ぎ出します。

この二軸(OCC重視の平日とADR重視の週末)のバランスを、データに基づいて設計し、実行し続けること。それこそが、感覚的な価格調整から脱却し、施設の収益構造を最適化するレベニューマネジメントの本質です。

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