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「綺麗な写真をアップすれば予約が入る」という時代は終わりました。 今のユーザーは、複数の施設を「保存」して比較検討します。目指すべきは「いいね」の数ではなく、未来の予約候補リストに入るための「保存数」の最大化です。
宿泊予約は、コンビニでお菓子を買うような衝動買いは起きません。 ユーザーは「いつか行きたい宿リスト」を作るために保存ボタンを押します。
単に客室の綺麗な写真を載せるだけでなく、「子連れ旅行で助かる貸出備品10選」や「カップルで過ごすお籠もりステイのモデルコース」など、ターゲットの悩みを解決する有益な情報を提供してください。「次の会議で提案しよう」「家族旅行の参考にしよう」と思わせる実用性が、保存数を劇的に伸ばします。
Instagramの発見タブで、ユーザーが手を止めるかどうかは「1枚目の画像」で0.5秒以内に判断されます。 ここで重要なのは、写真の美しさ以上に「情報の明快さ」です。 写真の中に「記念日に行きたい!絶景温泉宿」や「朝食が凄すぎるホテル5選」といったタイトル文字を入れてください。雑誌の表紙を作る意識で、写真の雰囲気と言葉の訴求力を組み合わせ、「これは私のための情報だ」と瞬時に認識させることが、クリック率(CTR)向上の鍵です。
フィード投稿は最大10枚の画像を選択できます。 1枚ですべてを伝えようとせず、カルーセル機能を活用して滞在のストーリーを描きましょう。
1枚目で客室の絶景を見せて興味を惹き、2枚目で夕食のメインディッシュ、3枚目で貸切風呂の雰囲気、4枚目でアメニティの詳細…というように、チェックインからチェックアウトまでの時系列で紹介します。スワイプするごとに宿泊体験のイメージが具体化され、予約への期待値が高まります。
そして、画像で視覚的な魅力を伝えたら、キャプション(本文)で情緒的な価値を補完します。 スペックの羅列ではなく、「このテラスで、波音を聴きながら飲む朝のコーヒーは格別です」といった、感情に訴えるエピソードを添えてください。 そして最後に必ず設置すべきなのが、CTA(行動喚起)です。
「ご予約はプロフィールから」という定型文だけでなく、「今月の空室状況はハイライトで公開中」「公式サイト限定プランの詳細はリンクをチェック」など、具体的な次のアクションを提示し、高まった熱量を逃さず直販予約へ誘導します。
既存のフォロワーに情報を届けるフィードに対し、リール動画は「まだホテルを知らない潜在層」にリーチする飛び道具です。 アルゴリズムを味方につけ、フォロワー数が少なくても数万回の再生(バズ)を狙い、認知の入り口を広げましょう。
リールの役割は、まず「知ってもらうこと」です。
Instagram上で流行しているトレンド音源や編集フォーマットを取り入れることで、アルゴリズムに「おすすめ」されやすくなります。
落ち着いた旅館であれば、ゆったりとしたテンポのトレンド曲を選定するなど、施設の世界観(トーン&マナー)を壊さない範囲で流行を取り入れます。まずは多くの人の目に触れさせ、認知の母数を増やすことを最優先に考えましょう。
ユーザーはリールを高速でスクロールします。冒頭の1〜3秒で「面白そう」と思わせなければ、即座に離脱されるので、クライマックスを最初に持って来るのがコツです。
客室のドアを開けた瞬間のオーシャンビュー、ステーキが焼けるシズル感のある音、露天風呂に浸かる瞬間の表情。視覚・聴覚に訴える最も強いフックを冒頭に配置し、続きを見させる「掴み」を作ることが、完全視聴率を上げる鉄則です。
近年は、作り込まれたPVよりも、スマホで撮影したリアルな「Vlog(ブイログ)」形式が好まれています。 「映え」だけを狙った映像は広告として敬遠されますが、Vlogは「疑似体験」として受け入れられます。 「ホテル周辺の隠れ家カフェまでお散歩」「アメニティの使い心地を正直レビュー」など、ユーザー目線での「過ごし方」を発信してください。これにより、見た人の記憶に残りやすくなり、保存やシェアといったエンゲージメントに繋がります。
ストーリーズは24時間で消える特性を活かし、フィードやリールよりも「リアルタイム性」を重視します。 既存フォロワーとの接触頻度を高め、親密度を上げることで、予約の第一想起を獲得します。
ストーリーズの価値は、フォロワーとの距離を縮めることにあります。 完璧な編集は不要です。その日の天気、厨房での仕込み風景、生け花の手入れなど、ホテルの「日常」や「裏側」を気軽に見せてください。
接触頻度は信頼に直結します(単純接触効果)。毎日更新することで、フォロワーの画面上部に常に自社のアイコンが表示され、日常的にホテルの存在を意識してもらうことができます。
一方的な発信だけでなく、スタンプ機能を使ってフォロワーと「会話」をしましょう。 質問箱で「宿泊に関する疑問にお答えします」と投げかけたり、アンケートで「次の新メニュー、どっちが食べたい?」と意見を聞いたりします。 寄せられた質問に回答する様子をシェアすることで、他のフォロワーが抱える潜在的な不安(子供用アメニティの有無、送迎の可否など)も解消できます。予約前の懸念点を潰すこのプロセスは、コンバージョン率(CVR)向上に直結します。
実際に宿泊されたお客様の投稿(UGC)を、自社アカウントで積極的にリポスト(再投稿)して紹介しましょう。
公式情報よりも、第三者のリアルな感想の方が信頼性は高いです。 また、リポストと共に「ご宿泊ありがとうございます!」と感謝を伝えることで、投稿者のロイヤルティが高まり、リピーター化が促進されます。それを見た他のお客様が「自分も紹介されたい」と感じ、新たな投稿を生むという「口コミの連鎖」を作ることができます。
ストーリーズにはURLリンク(リンクスタンプ)を直接貼れます。 これを活用し、直近の空室情報やタイムセール情報を流して、具体的な予約アクションを促します。 「急なキャンセルが出ました!今週末、1室だけ空いています」といったリアルタイム情報は、ストーリーズならでは。「今すぐ予約しないと埋まる」という限定感と緊急性が、迷っているユーザーの背中を押し、直前予約による稼働率(OCC)の底上げに貢献します。
Instagram運用を「広報」から「集客」へ変えるポイントは、各機能の役割分担と導線設計です。
・フィード: カタログとして「保存」させ、比較検討の土俵に乗る。
・リール: 「発見タブ」で潜在層にリーチし、認知を広げる。
・ストーリーズ: リアルタイムな交流でファン化し、「予約」を決断させる。
これらを有機的に組み合わせることで、Instagramは単なる写真アルバムから、24時間365日稼働する優秀なセールスマンへと生まれ変わります。まずは明日、フィード投稿の1枚目に「タイトル」を入れることから始めてみてください。その小さな改善が、やがて大きな「直販予約」という成果となって返ってくるはずです。