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2026.01.21

2026.01.21

【意思決定が変わる】数字で判断をするホテル・旅館の「KPIダッシュボード」設計術とは?

これまでGA4(Google Analytics 4)の様々な分析手法について解説してきましたが、多くの宿泊施設様で共通する最後の壁が「分析の属人化」です。Web担当者や分析パートナーだけがGA4の複雑な画面と格闘し、その分析結果が「次の一手」に繋がっていないケースは非常に多く見られます。

本記事では、GA4の複雑なデータから本当に見るべき数字だけを抽出し、チーム全員が「共通の目的を持って使えるKPIダッシュボードの設計思想と、Googleの無料ツール「Looker Studio」を使った実践的な活用法について解説します。

なぜ「専用ダッシュボード」が必要なのか

GA4は高機能で詳細な分析が可能ですが、その”高機能さ”と”複雑さ”こそが、チームでのデータ活用を妨げる最大の障壁となっています。データは、関係者全員に見られて初めて「共通言語」としての価値を持ちます。

GA4の標準レポート画面は、専門用語が並び、どこに何の数字があるのか直感的に分かりにくい構造をしています。Web担当者であれば日々触れるため慣れますが、多忙な支配人や経営層、あるいは他業務と兼任するマーケティングスタッフが、この複雑なGA4の画面を毎日開いて「見るべき数字」にたどり着くのは現実的ではありません。

結果として、サイトのパフォーマンスは「Web担当者だけが知っている数字」となり、社内会議では「肌感覚」や「OTAの管理画面」だけが議論の対象になってしまいがちです。

「見るべき数字」を”1つ”に集約すること

専用のKPIダッシュボードを設計する最大の目的は、チーム全員が「共通の指標」で会話できるようにすることです。

GA4に存在する無数の指標の中から、「KGI(最重要目標=売上・CVR)」と「KPI(中間指標=セッション数、客単価、チャネル別CVRなど)」を事前に定義し、それらの「本当に見るべき数字」だけを、1枚のレポートに集約します。これにより、支配人もマーケ担当も、「今月のCVRは前年比〇%だ」「スマホ経由の売上が目標未達だ」と、同じ数字(ファクト)に基づいた会話が可能になります。

優れたダッシュボードは、サイトの細かい分析表ではなく、ホテル運営で言えば「毎日の営業日報」のような役割を果たします。支配人やマーケターは、裏側の複雑なシステム(GA4)の仕組みをすべて理解する必要はありません。しかし、「稼働状況(=売上の進捗)」「残室数と販促の余力(=広告予算)」「急増するキャンセル(=CVRの急落)」といった重要な兆候は、一目で把握できる必要があります。

ダッシュボードは、この「一目で現状が読める」状態をつくり、施設の「営業状態に異常が出ていないかを、チーム全員が毎日・毎週確認できるようにするためのツールなのです。

レポートで簡易ダッシュボードまたは専用ツールを作成

ダッシュボードの作成方法はいくつかあります。GA4の標準機能である「探索」レポート(特に「自由形式」)でも、指標とディメンションを組み合わせた簡易的な表やグラフを作成し、それを保存・共有することが可能です。まずはここで「自分が見たい数字」をまとめる訓練をするのも良いでしょう。

しかし、より本格的に、複数のデータソース(GA4とGSCなど)を統合し、デザイン性高く、かつ自動更新されるダッシュボードを構築するには、Googleが提供する無料のBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Looker Studio」の活用が最適解となります。

Looker Studioの活用入門

“GA4は複雑すぎる”という課題を解決するために開発されたのが、「Looker Studio(ルッカースタジオ)」です。これは、GA4のデータを「より使いやすく、見やすく」加工・共有するための無料ツールです。

Looker Studioは、様々なデータソース(GA4, GSC, Google広告, スプレッドシートなど)に接続し、そこから必要なデータだけを抽出して、自由なレイアウトでグラフや表を配置できる「ビジュアライゼーション(可視化)ツール」です。

GA4の管理画面にログインすることなく、Looker Studioで作成した「1枚のレポート(ダッシュボード)」のURLを共有するだけで、チーム全員が最新のデータにアクセスできます。

Looker Studioの最大のメリットは「自動更新」と「デザインの自由度」です。
一度ダッシュボードを設計してしまえば、データはGA4と自動的に連携され、毎日(あるいは指定したタイミングで)最新の状態に更新されます。これにより、担当者が毎月Excelでレポートを作成し、メールで配布する…といった非効率な作業から解放されます。

また、GA4の標準レポートとは比べ物にならないほど、デザインやレイアウトの自由度が高いのも特徴です。グラフの種類、色、フォント、指標の配置などを自由にカスタマイズし、「自施設が最も見やすい」フォーマットをゼロから設計できます。

宿泊施設での活用例

宿泊施設のマーケティング責任者としてLooker Studioで設計すべきダッシュボードには、以下のような指標を盛り込むのが王道です。

・全体サマリー:直販売上(前年比)、CVR(前年比)、セッション数(前年比)、客単価

・流入チャネル分析:チャネル別(自然検索, 広告, SNS, 参照元)のセッション数、CVR、売上貢献度

・デバイス分析:PC vs スマホ のセッション数とCVRの比較

・コンテンツ分析:「CVRが高い(=売上に貢献している)プランページ」ランキング

・GSC連携:「施設名(指名検索)」の表示回数・クリック数、「地域名+〇〇」などの一般検索キーワードの動向

これらを1〜2ページに集約することで、サイトの全体像から詳細な課題までを俯瞰できる分析レポートが完成します。

Looker Studio導入のハードルはやや高い

Looker Studioは無料ですが、GA4とのデータ接続や、思い通りのグラフを作成するための「ディメンション」と「指標」の組み合わせなど、初期設定にはある程度の専門知識と慣れが必要です。

最も確実なのは、現在のWeb制作会社や分析パートナーに「Looker Studioで、これらの指標が見えるダッシュボードを作ってほしい」と、設計図(見たい指標リスト)を渡して構築を依頼することです。

役職別「見るべき数字」と「習慣化」のコツ

ダッシュボードは「作って終わり」では意味がありません。それをチームの「共通言語」として機能させ、日々の行動に落とし込むための運用ルールこそが、その成否を分けます。重要なのは、役職や役割に応じて「見るべき数字」を絞り込み、それを「習慣化」する仕組みです。

経営者・支配人向けの指標

経営者や支配人が毎日見るべきダッシュボードは、シンプルであるべきです。彼らが見るべきは「How(どうやって)」ではなく、「What(結果どうなったか)」です。

・売上(KGI):直販の売上目標に対する進捗率(前年同月比)

・CVR:サイトの「販売力」そのもの。前年同月比で改善しているか

・客単価:高単価プランが売れているか。前年同月比

・広告費用対効果(ROAS / CPA):広告費(CPA)に対して、どれだけ売上が上がっているか

これらの経営指標に絞り込み、異常値が出た場合にのみ、マーケ担当者に「なぜ」を問う、という運用が効率的です。

マーケティング担当向けの指標

一方、現場のマーケティング担当者は、経営指標に加えて、その「要因」となる「実務指標」を日々チェックする必要があります。

・セッション数(チャネル別):集客施策(SEO, 広告, SNS)が機能しているか

・チャネル別CVR:費用対効果の悪い(CVRが低い)広告チャネルはないか

・ファネル離脱率:予約フォームなど、CV直前での離脱(穴)が拡大していないか

・ランディングページ別直帰率:広告の受け皿ページ(LP)でミスマッチが起きていないか

これらの実務指標の変動をいち早く察知し、経営層に「変化の要因と対策」を報告するのが担当者の役割です。

まとめ

GA4という強力な分析エンジンを導入しても、その複雑なデータをチームの行動に変えられなければ、宝の持ち腐れです。
GA4のデータから「本当に重要な経営指標・実務指標」を抽出し、それをKPIダッシュボードという「チーム共通の認識」に落とし込むことです。

Googleの無料ツール「Looker Studio」を活用すれば、GA4やGSCのデータを統合し、自動更新される美しいダッシュボードを構築できます。
しかし、ツールは手段に過ぎません。最も重要なのは、経営者から現場まで、そのダッシュボードを「共通言語」として使いこなし、「数字から仮説」と「施策」を議論する習慣を組織に根付かせることです。

まずは、貴施設の「見るべき数字」は何かを定義し、それを1枚のダッシュボードに集約することから始めてください。
この活動こそが、感覚的なサイト運用から脱却し、チーム全員で直販率向上というゴールに向かうための羅針盤となります。

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