ADR(Average Daily Rate)とは、ホテルの客室が1日あたり平均いくらで販売されたかを示す指標で、「客室単価」とも呼ばれます。これは、売上を評価し、価格設定(プライシング)戦略が成功しているかを判断するための、収益管理(レベニュー・マネジメント)において最も重要な基本データの一つです。
ADRは、「客室売上高を、実際に販売した客室数で割る」ことで算出されます。
たとえば、このADRの数値を高めることは、同じ数の客室を売っても、より多くの収益を得ることを意味するため、ホテル経営の大きな目標となります。
ホテル・観光業での具体的な活用事例としては、デジタルマーケティングにおいて、公式サイト限定の特典(例:ウェルカムドリンク)を付加し、「公式予約なら多少高くても価値がある」とお客様に感じてもらうことで、外部の予約サイト経由よりも高いADRを目指す施策が挙げられます。このように、価格競争ではなく、提供する価値を高めて単価を引き上げることが目標になります。
初心者が誤解しやすいポイントとして、「客室単価が上がれば、必ず収益が上がる」と捉えてしまうことがあります。しかし、ADRが高くても、客室がほとんど売れていなければ(稼働率が低ければ)、トータルでの利益は低くなります。そのため、ADRだけでなく、稼働率(Occupancy Rate)と掛け合わせた総合的な収益指標(RevPAR:Revenue Per Available Room)と合わせて評価することが非常に大切になります。